JR東日本、千葉・久留里線の一部廃止へ 赤字が続き - 日本経済新聞

 

 JR各社の赤字路線の存在は、新型コロナウイルス感染症をきっかけに一般にも知られるようになった。その中でも、JR東日本の久留里線の末端区間が有名であり、JR東日本千葉支社と地元自治体の間で存廃議論がされてきた。

 

 JR東日本がこの区間の廃止を決めたのは、ある意味当然のことである。以下の2つのネット記事をご覧いただきたい。この2つの記事では、2021年度の営業係数が取り上げられている。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2021年度のデータを使うことに抵抗を抱かれそうだが、ここにランクインする路線というのは、コロナ前からさほど利用者が多くなかったため、ドル箱路線ほどの変動はないはずである。

JR東日本 営業係数と赤字額 関東地方詳細 輸送密度低い区間の収支 | NHK

【赤字路線一覧】JR東日本が収支を公表した線区状況まとめ 赤字額・営業係数・輸送密度ランキング(2021年度版)

営業係数の大きい路線が必ずしも大赤字というわけではない。営業係数は、売り上げと経費の比率である。久留里線は営業係数は大きいが、売り上げが少ないため、路線の赤字額としては傑出しているというわけでもない。しかし、営業係数が大きいということは、鉄道の維持費に見合う運賃収入が全然入ってこない、すなわち利用者が極端に少ないことを意味しており、鉄道のもつ大量輸送という特性を発揮できていないことを示している。久留里線の末端区間の営業係数は、あと少しで2万に届いてしまうほど悪いものだ。久留里線は、東京都の隣県である千葉県内にありながら、東北地方のローカル線もびっくりするような数値である。

 

 そんな、JR東日本の中でもワーストな赤字路線である久留里線の末端区間の廃止を先送りにしてしまえば、そのほかの路線の廃止が困難となってしまう。少子高齢化等により、今後は鉄道の利用者が減っていき、経営の厳しさが増していく中、現存する赤字路線を今後も維持することなどもってのほかである。久留里線の廃止に成功したため、今後もJR東日本は他の赤字路線の廃止に向けて動くことができるようになった。

 

 最後に、久留里線のnの舞を演じそうな区間はどこになるのか。2021年度の営業係数と、その路線が置かれている状況を基に素人ながら予想して締める。どんなに営業係数が大きくても、貨物列車の通り道となっている路線は廃止対象とするべきではない。地方で生産された農林水産物や工業製品等を、東京や大阪などの大消費地に運ぶのには、トラックよりも貨物列車が適しているからだ。予想の基準としては、輸送密度や営業係数のみではなく、新幹線の利用に繋がる観光列車の有無も考慮している。そのため、五能線や八戸線が廃止対象になることは、しばらくはないと思われる。

 

・花輪線 鹿角花輪~荒屋新町

 

・山田線 上米内~宮古

 

・北上線 ほっとゆだ~横手

 

・陸羽東線 鳴子温泉~最上

 

・米坂線 今泉~坂町

 

・磐越西線 野沢~津川

 

・飯山線 戸狩野沢温泉~津南

 

・吾妻線 大前~長野原草津口

 

 山田線と吾妻線以外は、全て県境区間だ。いずれも貨物列車の運行はない。東北地方西部を横断する路線は、田沢湖線、仙山線と陸羽西線があれば十分に思える。乗り鉄に言いたいのは、乗って残すよりも乗らずにあっさりと潰す方が、鉄道会社のためになるということだ。本当に鉄道が好きなら、鉄道会社を苦しめるべきではない。

 

そういえば、久留里線でこれから余剰になるであろうキハE130系はどうなるのだろうか。車齢が若く、単行運転が可能であるため、良い譲渡先はたくさんあると思う。

 

キハ100・110系の置き換えが開始されるようだが、置き換え完了後に路線廃止が決まってしまうと、せっかく導入した新車に余剰が発生してしまう。そういった意味でも、利用が低迷している区間の廃止は早い方が良い。