番外 現在は廃車となっている車、西鉄GP西工E-IIIボディ架装「1号車」、西鉄バス9495紹介 | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 

 西鉄バスの西日本車体(西工)E-III架装車と言いますと、平成18年より平成22年まで導入されました車でありまして、合計29台導入されている事は当ブログでもこれまでもご紹介しました。

 

 このE-III架装車の導入の経緯は、これまで導入されておりました中近距離高速・特急用車両でありますS型ボディが排ガス・灯火器規制に対応しておらず、そう言った事から新たなボディとしてスタンダードデッカーボディでありますE型ボディをベースとしてハイデッカー版として製造を始めましたのがE-IIIボディでありまして、西鉄グループ(西鉄バス・日田バス)におきましては日産ディーゼルスペースアローシャーシをはいているのが特徴でもありまして、これらの形式はPKG-RA274RBNであります。

 

 これら車の西鉄バスでの共通の特徴は、「火の鳥塗装」であるとともに、当時日産デイーゼルスペースアローで採用されておりましたトルコンAT、さらに4列シート・後部トイレ付となっておりまして、S型架装車で見られておりましたマルチステレオと言った装備はありません。けれども、その後西鉄高速バスの政策によりまして、日田バス・亀の井バス移籍車を含みまして全車コンセントが設置されましたし、さらにWi-Fiも導入されておりまして、車内で楽しみやすくする姿も見られております。

 

 (画像1、6025 画像2、6104)

 

 (9495車内)~平成31年1月撮影

 

 (後付け式のコンセント)

 

 

 西鉄バス本体として導入されました車両の導入内訳です。冒頭のように導入台数は29台に及びまして、これらはいずれも福岡~熊本線「ひのくに号」で運行を始めていた車でありました。その後、平成19年式の車が全車日田バス・亀の井バスに移籍しておりまして、西鉄バスには在籍しておらず、他にも平成20年式の9932が西鉄バス大牟田(→廃車)、9933が日田バス(現存)、5982が西鉄バス久留米(レールキッチンチクゴのラッピングバス)にそれぞれ移籍しておりました(その後福岡高速営業所に復帰)。また、平成18年~20年各式では廃車も見られておりまして、既に平成18年・19年は全廃、そう言った事から西鉄バス本体所有は現在11台となっております。

 

 【赤は西鉄バスで廃車・移籍されて在籍していない導入年】

 平成18年 1台(9495) 

 平成19年 13台(9618~9623、9711~9717)

 平成20年 4台(9932・9933・9934・9935)

 平成21年 6台(59826022~6026)

 平成22年 5台(6101~6105)

 

 (日田バス474号)~元西鉄バス9933

 

 (5982)~西鉄バス北九州時代、その後西鉄バス久留米に「ザ・レールキッチンチクゴ」のラッピングを施し移籍の後、福岡高速営業所に復帰

 

 (福岡高速営業所復帰後)

 

 

 そして、このうちのE-III架装車1号車であります、平成18年式の9495も既に廃車となっております。今回はその1号車であります9495に関しまして、これまでの画像より皆様にご紹介してまいります。

 

 

 この9495は、西鉄バスの西工E-III架装車の第1号として平成18年に福岡高速営業所に新製導入されておりまして、導入後は「ひのくに号」として運行されておりました。

 

 (平成22年撮影)

イメージ 2イメージ 3

 

 私自身も、導入当初の姿を覚えておりましたが、既に昭和自動車(昭和バス)や大分交通などに導入されておりました西工96MCE型架装車のハイデッカー版と言う意識がありましたので、それに近い形かなと思っていましたら上のような形であった訳でしたので、これまでのS型架装車としますとずいぶん様変わりしたなと言う印象さえも感じさせられていた事を覚えております。やはり、今後このスタイルがさらに増える事にもなる訳ですので、こう言ったスタイルが浸透して行くのかなとも思ったほどでした。

 

 

 平成24年、9495は「ひのくに号」から、当時日野セレガシャーシの西工S型架装車が多く見られておりました「させぼ号」系統にE-III架装車の中では最初に転用されておりまして、その際に福岡高速営業所内にありました旧西鉄高速バス福岡支社に移籍しました。

 

 この車は、「させぼ号」系統であります、福岡~佐世保・佐々間、上の画像・以下画像にもあります福岡~ハウステンボス間で活躍する姿が見られておりまして、私自身も佐世保訪問時に数度乗車・撮影歴さえもあったほどでした。特に「VI」ロゴの下にありますGroup表示が当時西鉄高速バスと言う事業者に所有していた証が見られていた事が伺える所ではあります。
イメージ 6イメージ 7

 

 

 しかし平成25年、「させぼ号」系統が旧西鉄高速バス直営から管理委託に移管された事から、車両は西鉄バス本体に再移管される事になります。それに伴いまして、9495も西鉄高速バス福岡支社から福岡高速営業所に転属となりました。転属となった事で、画像のように「Group」表示も消されておりまして、西鉄バス所有となっている事も伺えるのではないかと思います。

 

 尚、平成27年頃にヘッドランプが外側のランプに関しましては、小糸製LEDヘッドランプに交換されておりまして、見た目からも変化が見られている事がわかりますし、視認性が大幅に向上しております。
イメージ 11

 

 

 さらに平成28年には、「させぼ号」系統の旧西鉄高速バス管理委託から本体に一部が移管された事によりまして、9495も福岡高速営業所から博多営業所に転属となりました。そのため、表記が〇高から〇博に変更されておりまして、そう言った事からも博多営業所所属車両になっている事が伺わせておりました。

 

 (〇博表記)

 

 

 平成31年1月撮影の9495です。この頃には、画像にもありますようにバンパー部分や車体下には少々痛みがあるのが気になる所でもありまして、13年目の車である事を伺わせておりました。私自身も西鉄グループのE-III架装車1号車でもありますので、長くいてくれればとは思う所でもありました。

 

 (バンパー部分)~痛みも見られます・・・

 

 

 しかし、平成31年2月、博多営業所に「させぼ号」系統向けに新車が導入された事に伴いまして9495は福岡高速営業所に戻ってまいりました。転属に際しまして、この車の原点であります「ひのくに号」の専用車として入るようになりまして、画像はこの月「ひのくに号」に乗車しました際に偶然この車にあたった時でありましたが、7年ぶりに「ひのくに号」担当に戻った訳でもありましたので、私自身も正直驚いたほどでありました。

 

 (福岡高速営業所の表示となっています)

 

 (○博から〇高に戻っています)

 

 

 さらに、令和元年になりまして「サクラマチクマモト」が開業しました後にも引き続き「ひのくに号」に入っておりまして、私自身もこの車を利用しておりました。この画像の時も、相変わらずのトルコンAT車ならではの走りっぷりが印象的でありまして、車体に痛みが見られておりましたがまだ13年しかならない事もありまして、まだまだ健在ぶりが伺わせていたほどでありました。

 

 (令和2年1月撮影)

 

 

 しかし、令和2年に入りまして、春より「新型コロナウイルス」により「ひのくに号」は運休する便が見られておりまして、いくつかの乗番も運休へと至っておりました。それに伴いまして、「ひのくに号」最古参車にもあたっておりました9495も他の車両とともに那の津4丁目の車庫に長くとどまっておりまして、以下画像のように目立った姿さえも見られていたほどでもありました。

 

 (右から4番目が9495です)

 

 (隙間より9495)

 

 

 その後、この地で長らく留置していた間に運用離脱・廃車が明らかになりまして、その後解体へと至るまでには部品取りとして引き続き那の津4丁目の車庫に置かれておりました。この間には、窓ガラスなどといったものも外されていたそうでして、他の車に再利用された姿も見られていたようでもありました。

 

 

 今回は、西鉄バスのE-III架装車であります9495の車歴をご紹介しましたが、やはり何と言いましても西工E-III架装車の1号車でしたので、大変貴重な車であった事には間違いありません。しかも「ひのくに号」・「させぼ号」系統と2つの路線を担当しまして、所属先も変えてきていた訳でもありましたので、この14年もの間は大きな14年であった事には間違いないようであります。ご紹介しておりますように、残念ながらもうこの車を見る事はできなくなっておりますが、西鉄グループのE-III架装車の1号車でもあった訳でもありますので、ご覧の皆様もより記憶にとどめていただければとも思っております。