西武4000系 秩父鉄道直通快速急行乗車の思い出 | あさかぜ1号 博多行
2024-11-21 07:45:28

西武4000系 秩父鉄道直通快速急行乗車の思い出

テーマ:鉄活動日記 思い出編

先日、西武池袋・秩父線の飯能ー西武秩父間を中心に活躍している西武4000系に、同じく池袋・秩父線の貨物列車牽引で活躍していた電気機関車E851形の塗装を再現したリバイバルカラー編成が登場することについて取り上げましたが、今回はその4000系を使用して2020年3月のダイヤ改正まで運転されていた、西武池袋線池袋駅と秩父鉄道の三峰口・長戸路両駅を結ぶ直通快速急行に最後に乗車した時の思い出です。
この快速急行は、西武秩父線開業前の昭和30年代から池袋ー吾野間で運転されていた休日運転の「ハイキング急行」からの流れをくむ列車でした。
私が小中学生だった頃は、当時の主力車両だった101系などが「急行 奥武蔵」のヘッドマークを掲げて毎休日に池袋ー西武秩父間を6~7往復程度運転していたものですが、4000系登場後は同形式を使用する一部が秩父鉄道に直通するようになったもののヘッドマークは付かなくなり、いつの間にか本数も秩父鉄道乗り入れの2往復にまで減っていました。
そして2020年3月の西武鉄道・秩父鉄道のダイヤ改正により、この秩父鉄道直通快速急行が飯能始終着の各停に変更されることになりました。
私は秩父鉄道での乗り鉄や撮り鉄の時を中心に何度かこの直通快速急行を利用しました。特に元国鉄101系の秩父鉄道1000系の多様なリバイバルカラー編成の撮影や乗車にはまっていた時期には頻繁にこの列車を利用していました。
そのため、池袋への直通運転が廃止されると聞いて、廃止前にぜひ乗っておこうと思い立ちました。

2020年2月11日。
当日朝6:30過ぎに自宅を出発し、まずは4000系快速急行の始発駅池袋へ向かいました。
私の自宅は西武沿線なので、単に4000系に乗りたいだけなら途中駅からの乗車でも構わないのですが、この日の乗り鉄の趣旨からするとやはり始発の池袋から乗車しなければ意味がありません。
そして、この快速急行は西武線内を8両編成で走った後、横瀬駅で長瀞行と三峰口行(各4両)に分割されますが、考えてみると何度も利用する中で、秩父鉄道線内まで(から)利用するときはいつも三峰口発着の編成ばかり利用していたことに気づいたので、この時は長瀞行の編成に乗車することにしました。
7:30過ぎに池袋駅に到着し、一旦改札を出た後、駅員さんにサポートをいただきながら乗車券を購入します。
直通列車があるため、もちろん西武線内から秩父鉄道線内への乗車券を購入することも可能です。
私は快速急行に乗って長瀞駅に到着した後は、そのまま後続の普通電車に乗り継いで終点の羽生駅まで乗車する予定にしていたので羽生駅までの乗車券を購入しようとしましたが、西武池袋駅では羽生までの乗車券は購入できず、長瀞駅までの乗車券を購入して羽生駅で乗り越し精算をするという形になりました。
ともかく長瀞駅までの乗車券を購入して再び改札を入り、駅員さんの誘導をいただき、乗車する池袋8:05発の快速急行長瀞・三峰口行の発車する7番ホームへ移動。
やがて7番線に折り返し快速急行となる4000系が入線。
乗車する長瀞行は池袋発車時点では編成前半に連結されており、その先頭車両進行方向右手のクロスシートに腰掛けます。
定刻8:05に4000系快速急行は池袋を発車し、長瀞・三峰口までそれぞれ2時間あまりのロングラン(?)が始まります。
私の乗車した車両に限って言えば、池袋発車時点での車内はそれほど乗客が多い様には感じませんでしたが、石神井公園・ひばりが丘と停車していくにつれ乗客が増え、所沢からはかなり車内もにぎわってきました。
この日の時点では、まだコロナによる行動制限が本格化するぎりぎり寸前だったので、秩父方面への観光客もそこそこ多く乗車していたようでした。
快速急行は8:51に飯能駅に到着。ここでは社内に大きな人の動きはなく、やはりこの列車は池袋・所沢方面から飯能ー西武秩父間の中間駅、そして長瀞・三峰口方面への貴重な直通列車であることは一般の人にもよく認識されているのだということを感じました。
進行方向が変わって8:54に飯能を発車。ここからはそれぞれの終点まで各駅停車となりますが、その後も私の乗車車両からの大量下車のある駅はほとんどなく、賑やかなおしゃべりの声も聞こえ、気軽な行楽列車らしい雰囲気が車内に広がっていました。
9:41着の横瀬では、(飯能から先の区間で)前半4両の三峰口行と、私の乗車する後半の長瀞行との分割作業のため9分停車。先に発車していった三峰口行に続き、9:50に長瀞行も横瀬を発車、私にとっては初の踏破になる西武秩父線から秩父鉄道御花畑駅構内への連絡線を通り秩父鉄道線内へ入ります。
横瀬で西武秩父駅や三峰口方面へ向かうと思われる人が若干下車したようですが、私の乗車車両に限れば終着まで大きく乗車率が落ち込まないまま、4000系は定刻10:17に終着長瀞に到着しました。
長瀞駅ではやはり観光地長瀞の玄関口の駅というべきか、観光客と思われる人が多数下車し、池袋や所沢方面から乗り換えなしでベストな時間帯に観光地に到着するこの列車の存在価値を改めて感じました。

2020年の秩父鉄道直通列車の区間短縮は、おそらくは今後の4000系の老朽化による車両置き換えの問題や、ホームドア設置への対応の問題、そして観光客の特急利用への誘導が理由だったのではないかと思われます。
ただ、この時乗車してみて、やはり都内や所沢方面から長瀞・三峰口方面への直通列車、しかも乗車券のみで利用できる列車があることが、観光客にとっては利用する列車の選択肢を広げリーズナブルで楽に観光地まで行けるという点で魅力的だったのではないかと感じました。
同じように都内からの直通快速の消滅した東武日光線や東武鬼怒川・野岩鉄道・会津鉄道は、同区間に特急の運転があるので直通客にとっては料金アップは別として不便さはあまり感じないかもしれません。
しかし、西武・秩父鉄道直通列車の区間短縮の場合、池袋ー飯能間では代わりとなる特急などの運転がないので、現在は池袋や所沢などから長瀞や三峰口方面へ電車で向かおうとすると、必ず飯能、あるいは西武秩父駅と御花畑駅の徒歩での乗り換えのいずれか、あるいは両方が必要になります。
飯能駅での乗り換えの場合は同一ホームで可能なケースは多いものの、やはり直通列車の便利さにはかなわないし、西武秩父⇔御花畑駅間の徒歩連絡はなおさら不便です。(西武秩父駅付近には土産物などを販売する様々なお店や温泉施設もありますが)
そう考えると、秩父鉄道線内への観光客の誘客にはやはり都内や所沢方面といった駅から利用できる直通列車は何らかの形で復活する必要があるように思います。
来年度以降、4000系が東急からの譲受車両によって置き換えられると、それを機に西武と秩父鉄道の直通自体が廃止されるということも考えられなくはないですが、そうであればその元東急9000・9020系の一部を40000系をベースにしたロング・クロス転換可能座席を装備したセミクロスシート車に改造し、その編成を使用して池袋からの秩父鉄道直通列車の復活をしてはどうかと思います。

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