8月中旬に投稿した「KATO・TOMIX 処置が中途半端な電気機関車3題」(→こちら)から、KATO製のEF81・旧製品をベースに、国鉄時代にお召列車を牽引していた当時の81号機の姿を再現することにして、常磐無線アンテナを設置する作業を開始しましたが、途中でアンテナパーツを紛失する等、想定していた以上に時間と手間が掛かりました。今迄に途中経過を簡単に投稿してきましたが、漸く完成しましたので、改めて集大成として投稿することにしました。
今回の加工着手前の姿です。EF81-81お召機仕様の主な特徴は、側面に銀色帯追加、手摺/台車ブレーキロッドの銀色塗装、灰色Hゴムガラス、銀色ナックルカプラー、日章旗装着(磁石により着脱可→こちら)などで、既に対応済みです。未処置事項は無線アンテナの交換だけの筈でしたが、想定外の作業が追加されることになりました。
作業開始前には、製品付属のJR無線アンテナが装着してあります。当時の常磐線では、1962年に発生した三河島事故に伴い緊急整備された常磐線列車無線/防護無線が使用されており、現行のJR無線アンテナとは形状が異なる常磐無線アンテナが2基搭載されていましたので、交換することにします。
常磐無線アンテナは手持ちパーツの2個を使用する予定でしたが、加工途中に紛失してしまい、改めてASSYパーツで販売されているEF80 常磐無線アンテナ(品番Z03-1534)を購入し直しました。取付は一本脚(φ0.8mm)になります。
ボディを分解して、屋根板を取り外した状態で加工しました。
ネット上で見つけた1985年(昭和60年)のつくば万博に際し運行されたお召列車牽引中の姿を上方から撮影された写真によると、常磐無線アンテナの取付位置も現行のJR無線アンテナの位置とは異なっています。KATO製の現行製品「EF81 81 お召塗装機(JR仕様)」(品番3066-6)では、常磐無線アンテナを撤去した跡の台座と配管が黒色モールドで表現されており、旧製品の屋根にEF80用の常磐無線アンテナを単純に挿し込むだけでは、お召列車の牽引機を再現したことにならないことが判明しました。ここから、当初の目論見通りには行かない様相を呈し始めました。
常磐無線アンテナの取付位置は、上記の実機写真に加え、KATOのお召塗装(JR仕様)の現行製品(品番3066-6)やTOMIX製品の写真を参考にして決めました。アンテナ2基は、屋根上の黒色機器カバーにおいて、長手方向の両端から2.7mm、側面上端から中心に向けて1.8mmの位置に取り付けることにしました。
常磐無線アンテナの取付位置に、φ0.4mmのガイド穴を開けておきました。
不要になるJR無線アンテナの取付穴をランナー引き伸ばし線で塞ぎ、裏面側から瞬間接着剤で固定すると共に、2エンド側にあるJR無線アンテナの四角い台座(〇内の3ヶ所)は削り落します。
常磐無線アンテナの台座は、アンテナパーツの下部と同寸の円形(φ1.9mm)で、以前にTOMIXのキサシ180床板を加工した際(→こちら)にウエイト固定ピンとして使用したWAVE製のテーパー丸棒(φ1.0mm~φ3.0mm)の残材から、φ1.9mm付近を厚さ0.8mm位に切り出して、中心にφ0.4mmの穴を開けておきました。これを画鋲の針に挿した状態で、黒色機器カバー上のガイド穴に挿し込むことで位置ズレを防止を図り、瞬間接着剤で接着しました。
真鍮線の配管はミッチャクロンマルチを筆塗りしてから、台座を含め屋根全体を黒色塗料(Mr.カラーのNo.92 セミグロスブラック)で塗装しました。
次に、パンタグラフと高圧配線を銀色に塗装します。塗装に際してパンタグラフと高圧配線を固定する治具として、1mm厚のプラ板に所定の取付穴を開けたものを作りました。
治具にパーツを装着した状態でミッチャクロンマルチを吹き付けてから、GMのシルバー(No.19)を吹き付けました。更に、パンタグラフと高圧配線の碍子は白色だったことから、Mr.カラーの水性ホビーカラーでホワイト(H-1)を筆塗りしました。乾燥待ちにも治具を利用しています。屋根上の加工はこれで完了です。
引き続き、ボディの加工を行います。
ボディでは、上記の実機写真から運転台付近の屋根も黒色塗装されていることが判明しました。JR仕様の現行製品にはこの塗装が反映されていますが、当該品は車体色のローズピンクのままですので、黒色に塗替えることにしました。更に、当時のランボードはローズピンク(JR仕様では黒色)で、中央付近だけ灰色塗装されており、併せて再現することにしました。
マスキングテープを貼って、屋根上塗装の変更を行います。
黒色塗装(屋根と同一塗料)は運転台上屋根の水切りの内側、灰色塗装(GMのNo.9 ねずみ色1号)はランボード上面に長さ7mm(ランボードの中央から1エンド側に2mm,2エンド側に5mm)に吹き付けました。
次に、側面銀帯として貼り付けたアルミテープが経年劣化で端から剥がれ掛けているので、剥がれた箇所のテープ裏面にゴム系ボンドを爪楊枝の先端で薄く塗り付けてボディに貼り付けると共に。ボディ全体をクリアコートすることで、保全対策(保護処置)をしました。お召機は全ツヤ塗装でしたので、Mr.ホビーの光沢トップコート(B-501)を使用して、屋根の黒色箇所を除くボディ全体を塗装しました。
最後は下回りの塗装です。
実機は下回りも光沢塗装がされており、台車枠と床下機器にMr.ホビーの光沢トップコート(B-501)を吹き付けました。
今回使用したカラースプレーは、左からMr.カラーのセミグロスブラック(No.92) ,GMのねずみ色1号(No.9) ,Mr.カラーの光沢トップコート(No.B-501) です。
国鉄時代にお召列車の牽引機だった姿が漸く再現できました。更に、前面手摺の別パーツ化、暖房表示灯の形状変更やジャンパ栓を追加すれば精密感が増しますが、程々の所で止めておくことにします。
手前がEF81-81のお召列車牽引機(国鉄仕様)、奥側は改造ベースとなった旧製品のEF81 一般色(品番3021-1)です。
KATO製のお召列車・一号編成(品番10-418)の供奉車460号を連結してカプラー高さを確認、合格です。これでつくば万博に際して常磐線で運行されたお召列車を再現することができます。(完)
【関連パーツの参考情報】
一般色の通常製品を81号機に加工する際に必要な側面の銀帯は、トレジャータウンから「EF81 81 お召銀帯デカール」が販売されており、「常磐無線アンテナ」も品揃えがあります。
・【N】TTD310 EF81 81お召し銀帯デカール - 鉄道模型 トレジャータウン (treasuretown.co.jp)
KATO製の現行製品「EF81 81お召塗装機(JR仕様)」(品番3066-6)にはお召装備のパーツは付属しておらず、国鉄時代にお召列車を牽引した当時の姿を再現するための「EF81 お召仕様化パーツセット」(品番28-236)がホビーセンターカトーから2017年9月に発売されています。
・EF81 81お召仕様化パーツ (e-katomodels2.com)
TOMIXのHO情報室で、EF81のVol.10(通算348号)に81号機の「国鉄時代とJR後のお召塗装を再現」として、差異の説明と共に参考になる製品写真が掲載されています。
・EF81形 Vol.10|トミックスHO情報室||鉄道模型 トミックス 公式サイト|株式会社トミーテック (tomytec.co.jp)
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【現行製品】