(ポイント)
・以前の記事では、北海道新幹線が2030年度末に札幌まで延伸するという前提で時刻表を作成しました。しかし、その後の報道で、早くても数年、遅ければ2040年代まで開業がずれ込むとの観測がなされています。よって、新幹線の延伸を待たずに北海道内および対本州の競争力を高める改正案をここに示します。
・対本州の目玉は、札幌―仙台間に設定する夜行特急「サンライズ白鳥(仮称)」です。これを東北新幹線の上り「はやぶさ2号」および下り「はやぶさ47号」と盛岡で接続させれば、史上初めて東京―札幌間で鉄道が航空機の最終便の後に出発し、かつ始発便より早着できるようになり、世界一利益率が高いとも言われる羽田―千歳便の牙城の一角を崩せます。
・「サンライズ白鳥」と接続させるため、下り「はやぶさ47号」は盛岡まで延長します。上り「はやぶさ2号」は仙台始発から盛岡始発に変更し、かつ各駅の発着時刻を3分遅らせます。
・札幌―仙台間の在来線のうち、東室蘭―五稜郭は非電化、青函トンネルとその前後にある新幹線との供用区間が交流25,000V、その他の区間が交流20,000V(いずれも50Hz)の電化です。気動車ならば技術的には直通運転が可能ですが、青函トンネル内では防火や排気対策の観点から、エンジンの使用が認められていません。この問題を克服するため、JR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」に用いられているE001形に準じ、パンタグラフとディーゼル発電機を合わせ持つ複電圧車両「HC781系(仮称)」を新造します。
・E001形は10両中6両が走行用のモーターを備え、最高速度は110km/hですが、HC781系は電動車の比率を高め、JR東海のハイブリッドカーHC85系と同じ最高速度120 km/hの性能を確保します。
・北海道内では、札幌―稚内間に夜行急行「サンライズ利尻」、札幌―北見間に石勝線・釧網本線経由で「サンライズ丹頂」(いずれも仮称)を設定し、HC781系から複電圧機能を除いた「HC881系(仮称)」4両編成を充当します。うち3両を電動車とし、最高速度120 km/hを確保します。
・HC881系の付随車1両は「サンライズ出雲・瀬戸」用285系の2階建て個室寝台車「シングル」に準じた構造とします。ただし、かつてのJR西日本「トワイライトエクスプレス」の「シングルツイン」と同じく、ベッドを中間で分割して向かい合わせの1人掛けシート2つへ変形できるようにし、さらに座席時専用の上下可動式枕も設けます。
・同様に、電動車のうち1両は通路を挟んで2段式ベッドを左右に配置し、アコーディオンカーテンで仕切る簡易個室「プルマン(仮称)」とします。これもベッドを中間で分割して向かい合わせの4人掛けシートへ変形する機能を持たせます。残り2両には横4列のリクライニングシートを搭載します。
・HC881系は、かつての583系と同じく昼夜兼行車両とし、昼行特急「宗谷」「サロベツ」「オホーツク」および「きたみ(特別快速から急行へ昇格)」にも充当して運用効率を向上させます。
・その際、「シングル」はグリーン個室として使用します。ただし、グリーン料金は1室単位で設定し2人で乗車する場合は2人目に指定席特急料金のみを課して負担を軽減します。ベッドへの切り替え機能をリクライニングに応用し、1人利用時には完全フラット状態も認めます。
・「プルマン」の昼間時は先代の583系と同様、4人掛けのボックスシートとなります。これは当時から不評でしたが、背ずりの角度を深めに固定し、かつ座席時専用の上下可動式枕を個別に備え付ければ居住性が向上します。この車両を自由席車とし、リクライニングシート車2両は指定席に充当します。
・かつてのJR北海道の昼行特急の多くは最高速度130 km/hで速達性を重視していましたが、安全を軽視した事案がたびたび発覚したことから、近年はカーブ走行時に車体傾斜装置も使用せず、経費削減へと方針を変更しています。よって、HC881系の走行性能でも昼夜兼行運用は十分に可能です。
・「カシオペア」は上野発水・金・日曜日、函館発火・木・土曜日に運転します。専用車両のE26系客車の全般検査時には、HC781系の予備編成を充当して代走します。その際、直流電化区間はディーゼル発電で走行させます。
285系車両
・東京―松山間に「サンライズ伊予」、東京―新宮間に「サンライズきのくに」(いずれも仮称)を設定し、「サンライズ出雲・瀬戸」と併結運転します。使用車両は、併結相手の285系車両と同一仕様にします。
・大阪―南宮崎間に「サンライズ日向」、大阪―佐世保間に「サンライズあかつき」(いずれも仮称)を設定し、小倉で分割併合を行います。車両は285系の交直流版(交流20,000V60Hz/直流1,500V対応)の車両「585系(仮称)」を新造します。
・下り「サンライズあかつき」の接続を受けるため、新大村始発の「かもめ103号」を武雄温泉始発に変更します。
・長崎始発の「かもめ60号」を新設し、上り「サンライズあかつき」と接続させます。
・「サンライズあかつき」は上下とも早岐を二度通り、ハウステンボス経由で運転します。
・その他の大阪発着の夜行列車についてはこちら
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