今回の『駅【アーカイブ】』シリーズは、
岩手県南東部の海沿いに位置する大船渡市の市街地北側にあった大船渡線の終着駅でしたが、2011年3月に発生した東日本大震災による津波で大船渡線の気仙沼~盛間が被災し、その影響で休止ののち大船渡線BRTに転換される形で鉄道駅としては廃止されてしまった、
盛駅 (さかりえき。Sakari Station) です。
尚、現在の盛駅に乗り入れる鉄道路線は、三陸鉄道と、貨物専業の岩手開発鉄道となっています。
また、今回はJR駅の現役当時の写真のみを掲載します(2007年撮影)。
現在はJR線の線路が撤去され、跡地にBRTの停留所として盛駅が設置されています。
そして三陸鉄道の駅、岩手開発鉄道の駅は、被災から復旧し、現在も営業しています。
⇒震災後の盛駅についての記事はこちら。
駅名
盛駅 (駅番号なし)
休止日/廃止日
2011年3月11日/2020年4月1日
所在地
岩手県大船渡市
路線
JR東日本:大船渡線
隣の駅
一ノ関方……大船渡駅
訪問・撮影時
2007年8月
駅舎です。東を望む。
国鉄時代に建てられたもので、JRになってからも使用され続けていました。
東日本大震災での被害が小さかったため駅舎は倒壊・流失を免れ、2012年にリニューアルされてBRT駅になってからも現役です。
左側には三陸鉄道の駅が隣接しています。
現在、大船渡線BRTに乗るにはJR駅舎を、三陸鉄道リアス線に乗るには三陸鉄道駅舎を、利用する必要があります。
駅前広場があります。
駅前です。西を望む。
市街地が広がっていますが、震災前の時点で空洞化が進行して活気が失われていました。
郊外の幹線道路沿いのロードサイド店が大船渡市における商業の中心となっています。
改札口です。当時も今も有人駅です。
列車別改札でした(現在は不明)。
『みどりの窓口』があり、現在も存続しています。
改札は自動化されておらず、『Suica』もエリア外でした。
現在、大船渡線BRTでは『odeca』をはじめ、『Suica』などの交通系ICカード全国相互利用サービス対応のカードも利用可能ですが、
鉄道路線との連続利用はできませんのでご注意下さい(運賃は鉄道から独立した体系です)。
当時、改札の先には1番線ホームがありました(現在はBRT降車場があります)。
ホームより改札口を望む。
いかにも北日本の駅といった雰囲気です。保温のため扉が設置されています。
駅名標です。
JR東日本の旧デザインに準じていました。
「ドラゴンレール大船渡線」のマークも小さく描かれていました。
当時のJR線・三陸鉄道線の盛駅は単式ホーム・島式ホーム各1面、計2面3線の地平構造でした。
さらに右前方には岩手開発鉄道線の盛駅があります。
駅舎に面した左の1番線と、島式ホーム左側の2番線がJR大船渡線が使用していました。
島式ホーム右側の3番線は当時も今も三陸鉄道線が使用しています。
駅舎・1番線と2・3番線は跨線橋で結ばれていて、バリアフリー非対応でしたが、現在は大船渡線BRTの路面を経由して車いすも2・3番線まで移動可能となっています。
1番線に面してJR線の駅舎・改札口および三陸鉄道線の駅舎・改札口があります。
三陸鉄道線に乗車する場合は三陸鉄道線駅舎の改札口を通り、一旦1番線に出てから跨線橋を渡って3番線へと進むルートになります。
すなわち、改札内はJRと三陸鉄道で共用となっていますが、1番線の三陸鉄道線改札前と1番線JR駅舎方の間には鉄柵と鉄扉があり、JR線の列車が2番線に発着する時以外は閉鎖されていました。
写真は終端方を望む。
気仙沼方・一ノ関方を望む。
左前方には三陸鉄道の車庫があり、その左で岩手開発鉄道線が左カーブで離れていきます。
また、現在はJR線の線路が撤去され、アスファルト舗装されてBRT専用道となっています。
大船渡線はこの先、三陸鉄道線と少し並走してから三陸鉄道線が左へ分かれ、大船渡湾沿いに南下して気仙沼を目指していました。
終端方を望む。
右手には3番線に停車中の三陸鉄道線の列車が見えます。右奥には岩手開発鉄道線の盛駅があります。
1番線と2番線はこの先までレールが延びており、前方の踏切の先で2つの線路が合流して、さらに先で途切れていました。引上線として機能しており、機回し線としても使用可能でした。
尚、引上線の右手を岩手開発鉄道線が並走していますが、JR線と岩手開発鉄道線は線路が繋がっていませんでした(JR線と三陸鉄道線は繋がっていました)。
あとがき
私がJR線の鉄道路線があった頃の盛駅で下車したのは2003年、2007年の計2度です。大船渡市の実質的代表駅で、三陸鉄道や岩手開発鉄道も乗り入れており、ターミナル駅として機能していました。しかし、2011年の東日本大震災により大船渡線の気仙沼~盛間がBRT化され、もう鉄路が復活することはなくなりました…。しかし駅舎やホーム跡など、鉄道路線時代の遺構は残っており、当時の雰囲気を少しは懐かしむことができます。
下車(乗車)時・・・2003年、2007年
廃駅訪問は(飛行機、レンタカー含む)
東京から・・・当日中に到達可能、日帰り往復可能
大阪から・・・当日中に到達可能、日帰り往復可能
食料・飲料 (2023年時点。駅から500m以内)
コンビニ・・・・・・あり
飲食チェーン店・・・なし
JR駅の鉄道駅としての廃止は残念ですが、実情を考えると仕方ありません。現役時に訪問できてよかったです。
もう鉄道駅として復活することはありません…。
(参考:地理院地図、Google地図、Wikipedia)