2020年から休止していました"滋賀県"カテゴリーを、4年ぶりに復活させます。詳しくはラストに書きますが、今後本格的(?)に、琵琶湖の周囲を色々と探索していきたいと思っております^
復活第1弾は、先日会社の先輩が滋賀へ訪ねてこられたので、その際訪ねた湖国の名刹・石山寺&三井寺をご覧頂きます。
そして、この2寺へ行くに欠かせない足・京阪電車大津線についても少し見ていきたいと思います。ではスタートします^
↑JR/京阪電車の石山駅から出発します(※滋賀県大津市)
JR/京阪の両駅は歩行者デッキで繋がっています。そこには↑芭蕉像も
JR駅の横を走る、路電サイズのかわいい京阪大津線の電車(※同線については後程、浜大津駅のところで)
まずは石山駅から2駅先の終点・石山寺駅へ
大津線東端の終着駅・石山寺駅到着。
これから行くのは勿論、石山寺です^
駅を降りると、横に瀬田川が現れます
駅→石山寺までは参道があるのでわかりやすい。約1km、徒歩15分程です
山門が見えてきました!
石山寺の正門・東大門です(※国重文)
両脇の仁王さんに睨まれまがら、境内へ^
門を入ると、↑もみじのトンネルをくぐります。紅葉の時季は美しいだろうと思います^
この少し奥から有料区域になるんですが、諸堂参詣の前に、この時同寺で開催されていた『大河ドラマ展』を見ます
受付横の↑塔頭・明王院を利用して開催されていました
NHK2024年の大河ドラマ・"光る君へ"が同寺ゆかりの源氏物語からという事でのタイアップ展。多くの観覧者で賑わっていました
世界初の長編小説とも言われる源氏物語、著した紫式部が同寺を訪れた際にその着想を得て執筆したとされていますが、これ程長編の小説を平安期に於ける女性1人ではたして書く事が出来たのか?という、源氏物語成立の謎は今もまだ解明されてはいません。それだけに、古代のロマンを秘めた恋愛絵巻が、長い時を経た現代でも多くの人を魅了するんでしょう
大河ドラマ館を出て、石段を登って本堂へ
瀬田川沿い、丘の斜面に建てられた石山寺。創建は8世紀、京都・東寺を総本山とする東寺真言宗ですが、創建時には奈良・東大寺との深い関連が伝わります。
西国三十三ヶ所の寺院でもあり、国宝建造物が2棟あるほか、国重文多数、近年は日本遺産に指定されています
本殿の基礎木組が斜面に見えます。清水寺にも似た感じ(?^)
本堂への途中、↑岩肌が露出した所があります。
これは・
境内にある巨大な岩肌、これは硅灰石といい、石山寺はこの鉱物で形成する岩盤の上に建っています。同寺の硅灰石は国天然記念物に指定されています
まさに、この岩石の丘に建つ同寺が、地名/駅名にもなっている『石山』の由来です
岩肌の上にある本堂へ
↑本堂(※国宝)、残念ながら堂内は撮影禁止です。ご本尊の如意輪観音が祀られています。伝11世紀築、滋賀県最古の木造建築物といわれています
本堂からさらに奥へ入っていくと・
↑多宝塔があります(※国宝)
鎌倉初期の1194年に築造されたとの書が発見されており、日本最古の多宝塔との事です
上下二層の対比が独特な感じ、内部には大日如来像が祀られています。
多宝塔の脇にある↑の石塔、これ『めかくし岩』と呼ばれ、法華経を埋納した経塚の上に建てられています。塔真ん中の円柱の岩を目隠しして抱くと願いが叶うと言われる事から、この名です
境内奥には↑紫式部の像や・
↑"天智天皇の石切り場"も。
当地の珪灰石を切り出し、奈良飛鳥・川原寺の礎石に使用したそうです。天智天皇といえば大津京を営じた滋賀ゆかりの天皇、水時計や大化の改新で有名ですが、岩にも造詣があったとは・^
他にも、重文級の貴重な諸堂が並ぶ境内、なかなか見応えあるお寺でした^
石山寺をあとに・
再び京阪大津線に乗ります。同線は路電発祥なので少し小さめな車両、2両編成です。ラッピング車も多くて楽しめます
車内シートの模様を変えてある車もあって、関西私鉄ならではの細やかさも感じます
同線の中心駅・びわ湖浜大津駅に到着
後半は三井寺を訪ねますが、その前に・^
ここで、京阪大津線についてWo流に纏めておきます
↑地図の右側が琵琶湖、下が石山寺、上が三井寺/比叡山方向です。↑中心あたりで分岐している所が浜大津駅です
(※浜大津駅は、2018年"びわ湖浜大津駅"に改称)
浜大津から西に分岐しているのが、県境を越えて京都・山科へ向かう京津(けいしん)線です。琵琶湖沿いに走る大津線(※正式名は石山坂本線)と共に、京阪軌道線を形成しています
"路電由来"と前述しましたが、同線の淵源は1913(大正2)年開業の『大津電車軌道』に遡ります。1925(大正14)年、京都側から延伸してきた京阪京津線と浜大津駅で合流し、大津電軌は京阪と合併します。
今作では乗ってませんが、京津線について少しふれます。
京津線はかつて、京阪三条駅で京阪本線と線路が繋がっていて、昭和期には専用車両を新造し、大阪~大津間で直通運転も行っていました(驚)
直通終了後も三条駅乗換で大津市内~京都市中心部の便利な足として活躍していましたが、1997(平成9)年、同線最大の節目が到来します
同年、京都市営地下鉄が二条~三条~山科間で開通。京津線は地下鉄と相互乗入(!)する事になり、並行区間となった御陵~三条間の併用軌道を廃止する事になりました
路電スタイルの車両が三条駅から姿を消し、京阪は京津線用に、地下鉄乗入対応の800型を新造。4両編成で編成長66m、路面走行の鉄道列車で日本最長となりました。又、"路電と地下鉄の直通乗入"というのも日本では他例ないはずです。
一方、琵琶湖沿いの大津線ですが、地下鉄開業による京阪本線との分離により、それまで同社線内で行けた大阪へは、地下鉄が別運賃になったため、所要時間は短縮されたものの割高となってしまいました
ではあと、浜大津駅付近の写真を数枚ご覧頂きまず^
浜大津駅は地平にホーム、駅舎は2Fでペデストリアンデッキが周囲の道路や大津港へ延びています
その歩行者デッキからは、京津線の電車が分岐していく光景が楽しめます。4連の電車が路面軌道をゆく様子は、大津へ来たなら見ておきたい光景です
現在の京津線は浜大津~上栄町駅付近が路面(※併用軌道)、県境から山科方面は専用軌道です。御陵駅の手前で地下へ潜り、地下鉄と合流します
びわ湖浜大津駅ですが、元々この場所、明治期に官営鉄道の駅が設置された事に始まります。
東海道線は開業当初、大津~長浜間で琵琶湖を運航する鉄道連絡船で結んでいた為、湖岸近くのここに終着駅が設置されたとの事。
後に大津電軌や旧江若鉄道(※変遷経て現在JR湖西線)が乗り入れ、大津市のターミナル駅となりました。
しかし官鉄(※現JR)は現在位置に移設、江若は湖西線転換により廃止されたため、京阪の単独駅に変化していったという経過を持ちます。現在の姿からは想像も出来ない、秘められた歴史です
ちなみに、↑の地下鉄乗入用800型ですが、路電~専用線~地下鉄の3モードに対応した機器や規格、地下鉄/京阪両方の信号システムに適合する機器に加え、逢坂山の県境を越えるため急勾配区間があり、それに対応する性能やブレーキも備えているため、鉄道車両として我が国屈指の高額な車だとの事。並行する車、当てたら大変かもw
一方、大津線の電車は、路電の名残も感じられるかわいい2両編成^
現在は大半が専用軌道化されていますが、びわ湖浜大津~三井寺間では併用軌道区間もみられます
実は地味に凄い、滋賀県大津の路電事情でございました^
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後半、三井寺を訪ねます
↑京阪三井寺駅です(※浜大津駅の隣)
大津/京津線はICカード対応、京都地下鉄から直通使用も可です。有人駅はフルの自動改札、無人駅は↑簡易式タッチ機です。
駅から三井寺への道、↑横には琵琶湖疏水が流れます
1890(明治23)年、びわ湖の水を京都市へ供給するため掘削された琵琶湖疏水。水利のほか、舟運や水力発電にも使われ、維新時の東京遷都で元気が無くなっていた京都は、この疏水で再び繁栄を取り戻しました。
現在も京都市民に必須な水源で、水力発電所も3ヵ所で稼働しています。今では↑観光船が運航しています
比叡山系の下はトンネルでくぐり、京都市内へ水を届け、最終的に宇治川まで続く疏水。滋賀県民が京都や大阪から馬鹿にされた時発するキラーワード「びわ湖の水、止めたろか!」の故郷ですw
そんな疏水の横を歩くうち、三井寺へ着きました
正式には園城寺、天台寺門宗の総本山です。
この"天台寺門宗"ですが、最澄が日本へ伝えた天台宗と淵源を同じくしますが、比叡山延暦寺の天台宗との二派に分れ、延暦寺は『山』、三井寺は『寺』と呼ばれて双璧をなしていたそうです。
石山寺と同じく山腹にある三井寺、↑石段を登ると・
同寺諸堂の中でもメインの一つ、観音堂が
江戸元禄期建立、国重文です。如意輪観音を祀ります。
近江八景にも数えられる"三井の晩鐘"、ちなみに先程の石山寺も"石山の秋月"として有名です。2019年upの滋賀県シリーズでは湖東三山も訪ねましたが、滋賀はホント名刹が多いと思います
石山寺以上に山内が広いです
別所も山内にいくつか入っています。↑は微妙寺、祀られている
十一面観音は国重文です。
↑同寺の中心、金堂です(※国宝)
1599年、桃山時代築。天台密教仏堂の名建築といわれます。
石山寺・三井寺共、山腹に位置するという事で緑も美しく、両寺院とも来訪の際には四季の自然や花木も是非味わっていってほしいと呼びかけています^
せっかく来たので、終点の坂本比叡山口駅まで乗ってみます^
途中の近江神宮前駅に車庫があり、浜大津から坂本方面列車の約半分は近江神宮前止の区間運転です(※特に日中、坂本比叡山口へは本数減るので注意)
近江神宮前駅を過ぎると、田園風景もあり、家並の間から琵琶湖もチラッと見えます^
終点の2つ手前・穴太(あのう)駅。城郭築造等で活躍した石垣職人の集団『穴太衆』の名で知られます。
そして・
終点・坂本比叡山口駅に到着
近年建替えられたのか、なかなか斬新な感じの駅舎
なお、同駅から日吉大社や、比叡ケーブルの駅へも徒歩で行けますが、延暦寺/日吉大社とも過去作で登場済みなので割愛します
坂本比叡山口駅のホーム隅に、↑のモニュメント。
これ『軌道形態』と名付けられ、現地解説板によると"未来にむかって回転している"イメージだそうです
上の造形を支えているレールは、1910(明治43)年に京阪が天満橋~五条間で最初に開通した時の歴史的なレールを使っているそうです
実は滋賀にも勢力を伸ばす京阪電車、大津市民や観光客に愛される足です
坂本比叡山口駅をあとに、帰途へ
滋賀県シリーズ復活第1弾、京阪大津線で巡る石山寺&三井寺でございました^
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なお、滋賀県シリーズ再始動にあたり、いつもご覧の方々へお知らせがあります
当別荘、2007年の創設以来、都内を中心に動いておりましたが、今後はここ滋賀県に居を移す事になりました。2017年に滋賀県カテゴリーをつくっていたのも、実は今日あるを見越して準備していたものでした。今後の当別荘は、琵琶湖周辺からの作が多くなっていきます。宜しくお願いします^
※これを機に分類名を、"美し湖(うましうみ)・滋賀県"に改称します
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☆関連過去作リンク↓
vol.318 2019・滋賀(前) 国宝と庭園の美 "3つの名刹" バイクで訪ねる湖東三山 | 旅ブログ Wo’s別荘
vol.319 2019・滋賀(後) 湖西ツーリング 琵琶湖を横目に 比叡~日吉~白髭~永原 | 旅ブログ Wo’s別荘