たまには鉄道と無関係な話題を一つ。
今年のプロ野球の日本シリーズは、シーズン91勝49敗でパ・リーグ1位のソフトバンクホークスが、71勝69敗でセ・リーグ3位のDeNAベイスターズに敗れるという劇的な結末を迎えました。セ・リーグ3位から勝ち上がっての日本一は史上初の快挙です。
第1戦・第2戦はホークスが下馬評通り連勝しましたが、第3戦に潮目が変わりました。ホークスの村上コーチと小久保監督が、ベイスターズのエース東投手を侮辱するようなコメントを出したのです。これを知ったベイスターズは一致団結し、怒涛の勢いで4連勝して見事に下剋上を成し遂げました。
野球に限らず、物事には作為義務(しなければならないこと)と不作為義務(してはいけないこと)がありますが、前者より後者を怠るほうが罪は重いというのが私の考えです。
小久保監督と言えば、2015年プレミア12で日本代表を指揮した際、準々決勝で韓国代表に歴史的な逆転負けを喫したことが思い出されます。あの試合、日本の先発の大谷投手は7回まで85球、1安打無失点と文句のつけようがない内容でした。
何もせずに不作為義務を遂行すれば十中八九勝てたのに、わざわざ則本投手へ継投し、回またぎをさせた9回に捕まって降板。尻拭いに駆り出された松井投手も増井投手も流れを止められず終戦しました。
今年の日本シリーズは、采配面ではホークスの作為義務の遅れが目立ちましたが、それ以上に問題なのはやはり小久保監督と村上コーチの失言でしょう。あれこそは不作為義務違反の極みです。
もちろん、ぶっちぎりでリーグ優勝したことは称賛されるべきですが、小久保監督はプレミア12の苦い経験から何も学んでいないようで、短期決戦の指揮能力にも人間性にも疑問が残ります。「下剋上」と「舌禍事件」の歴史をそれぞれ塗り替えたことで、今後長く語り継がれるに違いないシリーズとなりました。