北九州市にあります、JR九州の代表的な車両工場であります小倉総合車両センターで10月に行われました「小倉総合車両センター工場まつり」の訪問記録をご紹介しておりますが、前回は小倉総合車両センター内にあります「小倉工場鉄道ランド」に関しましてご紹介しておりました。
「小倉工場鉄道ランド」は、令和4年、当時日本の鉄道が150周年を迎える事を機に小倉総合車両センター内に開所したものでありまして、旧国鉄時代からの名称でもあります「小倉工場」時代からの資料やこの鉄道ランドの監修者でもありまして、自身の研究所であります「ドーンデザイン研究所」の開設50周年を迎えました水戸岡鋭治氏の作品を集めましたミュージアムもありまして、本来は工場内発着の団体列車利用者しか利用できませんでしたが、今回は一般に有料で開放されていたものであります。
この鉄道ランドのメイン施設であります体育館には、九州新幹線800系新幹線電車に採用されております座席や、JR九州の在来線の特急列車・近郊型列車などで採用されております座席の「座り比べ」もできておりまして、私自身も様々な座席に座りましたが、鉄道ランド内で流されておりますピアノ・バイオリン演奏で眠ってしまいそうなほどでもありました。
(800系新幹線電車座席)
また、戦後につくられたとされます模型を見ましても、正直ここまで精密に作られていたのには印象深かったように思います。それにしても、配線などが現在と変わりませんので、それだけ歴史がある工場である事が伺えますが、今後は東小倉駅がある所に移転する事も決まっているだけに、移転しましたらこの模型も大変参考かつ貴重なものになる事には間違いないようではあります。
そして、水戸岡鋭治氏デザインを見ましても、これまでも様々な車でも拝見しておりますが、やはり「水戸岡らしさ」も見られている事も伺えるのではないかと思います。それにしても、その下の画像にもありますように、800系新幹線電車や787系電車など、子供さんが描きたくなるようなデザインをと言う思いでデザインされたと言う事で、正直描きやすいデザインになっている事も伺えるのではないでしょうか。
ここまで、「小倉工場鉄道ランド」に関しました話題をご紹介しましたが、今回と次回は工場内の姿をご紹介してまいります。その3となります今回は、無料エリアの展示物を中心に、皆様にご紹介してまいります。
まずは、「小倉工場鉄道ランド」の向かいからも収める事ができておりました、485系電車クハ481-256であります。
クハ481-256と言いますと、NO.3114(その1)でもご紹介しました、JR九州最後の485系電車でもありましたDo32編成の鹿児島方先頭車でありまして、9年前(平成27年)の退役直前に運行されました小倉総合車両センターへの団体列車では画像のように先頭を務めておりました。
その後、他の4両が解体された中、この車だけが残りまして、小倉総合車両センター内で静態保存されております。私自身も9年ぶりの再会でもありましたが、貴重な車両でもありますので、よくぞ残ってくれたなと思う所ではありましたでしょうか。
カーテンがかかっていたため車内を拝見する事はできませんでしたが、乗務員室から以下画像の行先部分は拝見する事ができておりました。残念ながら、日豊線を中心としました南九州中心の行先に改められておりましたので、北部九州内の特急列車の行先は見られなくなっております。やはり定期運行末期の姿を考えますとわからなくもありませんが、それだけ南九州がメインの運行区間であった事を思えば致し方なかったでしょうか(詳しくは後日ご紹介します)。
それにしても、比較的いい状態を保っていた中ではありましたが、それでも「JNR」ロゴの部分は気になっておりました。こうした部分も引退から9年になるだけの事はありますが、とにかくこれ以上悪い状態へは至らない事を願うばかりではあります・・・。
ここからは、小倉総合車両センターの管理棟内の姿をご紹介します。まずは春に引退しまして、現在は活躍しました熊本県人吉市に戻りました、「SL人吉」の牽引機、8620形蒸気機関車58654号にありましたプレート類であります。この中でも目を引きましたのが「無 限」プレートでありましたが、これは平成22年に運行されました「SL鬼滅の刃」の時でありまして、映画「鬼滅の刃」の「無限列車編」にタイアップして運行されていたものでしたが、そのプレート姿が正直懐かしい所ではありましたでしょうか。
(運行時撮影)
また、以下画像にもあります本来の「SL人吉」運行時の姿に見られておりましたヘッドマークや、プレート・運行終了時の写真なども見る事ができておりましたが、私自身も「もう運行終了して半年になるのか・・・」と思ってならない所でもあります。それでも、先述のように人吉市に里帰りできた事に関しましては正直良かったとは思うだけに、あとは余生をその地で過ごしてもらうとともに、私自身もまた雄姿の姿を見に足を運びたいなとも思っております。
(レプリカプレート等)
(運行終了時の写真)
こちらの画像は、シュミレーターコーナーにありました模型であります。まずはキハ58系気動車で運行されておりました「ジョイフルトレイン長崎」であります。
「ジョイフルトレイン長崎」は、昭和63年のJR化1年後から運行されていたものでありまして、現在の「D&S列車(デザイン&ストーリー列車)」の原点として、国鉄時代からの総称「ジョイフルトレイン」の一種として運行されていたものでありまして、キハ58-7002(←キハ58 298)+キハ65-7002(←キハ65 12)の2両で構成されていたものであります。
車体は、「長崎くんち」をイメージしました龍の絵が全体に見られておりましたが、車内はリクライニングシートが装備されておりまして、乗務員室寄りにはテーブル付きの座席も設けられておりました。
(前方(乗務員室寄り)・テーブル付き座席)
(後方・リクライニングシート)
この列車は、旧長崎運転所に配置されまして、九州内各地の団体列車で運行されておりましたが、平成4年に旧熊本運転所に転属、「ジョイフルトレイン熊本」に改められましたが、平成6年のJR九州ジョイフルトレイン整理のために廃車となっております。それにしても、車内の姿からも「D&S列車」の原点が見える所ではありましょうか。
その横には、「ハイパーサルーン」と称しまして、現在も佐世保線を中心に運行されております、中央扉が特徴の783系電車の模型でありますが、この姿からもわかりますように3両編成となっている事がわかります。と言いますのも、昭和63年の運行開始当初は、現在は廃止となりました「有明」で運行されておりまして、博多~西鹿児島(現・鹿児島中央)系統が基本5両編成であったのに対しまして、博多~熊本・水前寺系統は3両編成が基本でありました。
尚、現在も見られます4両編成は翌平成元年から見られておりましたが、「有明」と言いますと、783系電車自体はその後熊本系統も5両編成化、そして783系電車末期時の平成30年には4両編成に戻りまして運行されておりましたが、この3両編成の姿は1年しか見られなかっただけに、正直カラーとともに懐かしい部分でもありましょうか。
(クモハ783形)
(モハ783形)
(クロハ782形)
ここからは、外の姿であります。画像はミニSLでありまして、この時はD51形蒸気機関車の縮小モデルの車が使われておりました。
このモデルとなりました車はD51220号機でありまして、調べますと昭和13年に小倉工場で製造、岡山県の旧新見機関区で廃車になった機関車でしたが、実は小倉工場初製造のD51形蒸気機関車であったとの事でもありまして、それだけ由緒ある車をミニSLとして走らせております。
この時には、石炭をくべるなどしまして蒸気圧を高めようとする姿が見られておりまして、煙も本来の蒸気機関車並みに出してもいました。先述のように、九州内では本来の線路を走る蒸気機関車は姿を消しましたが、このミニSLに関しましてはまだまだ健在の姿が見られている事もわかる姿でもあります。
尚、今回のミニSLは「あそぼーい!」カラーの3両でありまして、NO.3114(その1)でご紹介しました9年前は12系客車をモデルにしました青色のカラーの増結車もありましたが、今回は増結もなく運行されておりました。
(「あそぼーい!」カラー)~元は「サザンクロス」をモデルにしたものでした
ちなみに、石炭を入れる箱にはシルバーで「JR」のロゴが、またミニSLに関しました機材が入ったコンテナも存在しておりまして、いずれにも「小倉工場」の姿が見られている事もわかります。それにしても石炭を入れる箱には「九州小倉工場」とも書いておりまして、シルバー「JR」ロゴの横に書かれているのもユニークでありましょうか。
(ミニSL機材用コンテナ)
ここまで無料エリアでの姿をご紹介しましたが、ここからは有料エリアであります。今回は、有料エリアが1000円で立ち入る事ができておりまして、前回ご紹介しました「小倉工場鉄道ランド」が1500円でしたので、合計2500円を支払っての有料エリアでもありました。
今回は、以下画像のキハ40形気動車(キハ40 8126)の展示がありましたので収めるに至っておりましたが、この車は昭和56年に新潟鐵工所でキハ40 2126として製造されたものでありまして、新製は早岐客貨車区(現・佐世保車両センター)、大村線や長崎線・松浦線(現・松浦鉄道)で運行されておりましたが、昭和59年に唐津運転区(現・唐津車両センター)に転属しまして、唐津線・筑肥線・長崎線の他、廃止されました佐賀線・矢部線でも活躍しておりました。
平成2年に直方気動車区に転属しまして、筑豊線・篠栗線・後藤寺線・日田彦山線などで活躍しておりましたが、機関改造でキハ40 8126となりまして引き続き運行されておりましたが、平成18年に熊本運輸センター(現・熊本車両センター)に転属、鹿児島本線、肥薩線、三角線などで使用しておりましたが、令和4年9月改正で定期運用を外れまして、小倉総合車両センターに回送、現在も車籍は残したまま現在に至っております。
この車の台車です。九州には、空気ばね台車のキハ40系気動車もおりますが、この姿からもコイルばね台車である事がお分かりいただけます。
この車の運転台です。これまでも何度も拝見してきました、キハ40系気動車の運転台でありますが、初めて運転室に入りまして収める事ができておりました。よく見ますと、ATS-DK地上子も装備されておりますが、こちらも真近で収める事もできておりました。
(ATS-DK地上子)
また、ワンマン機器も残されておりました。運賃表はレシップ製の運賃表が残されておりますが、ワンマン機器の操作盤はこれまで通りの操作盤を使用する形になっている事がお分かりいただけます。
(レシップ製運賃表)
こちらは座席です。この時もいくつかの座席で休憩のために座られる方もいらっしゃいましたが、この時は画像の場所・その前の座席で席が空いておりましたので収めておりました。
今回は、その3としまして、「工場まつり」での無料エリア・一部有料エリアでの姿に関しましてご紹介しましたが、ご紹介した場所それぞれで楽しめたのが良かったと思います。それにしても、ご覧の皆様の中には783系電車運行の「有明」が当初は3両編成であった事も、1980年代生まれまでは存じている方もいらっしゃるとは思いますが、以降の方は存じていない方が主ではなかったかと思いますので、これで存じていただければとも思う所ではあります。次回最終回では、有料エリアでありました以下画像の場所を中心にご紹介する事にしておりますので、次回もご覧いただきたいと思います。