tyoutyouuoの日記

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単線区間の多いJR四国のダイヤ設定術【松山・広島割引きっぷの旅⑫】

単線区間の多いJR四国では特急最優先のダイヤ+自由席拡充による特急の日常利用促進で頑張っています。

 

(JR四国のもう一つの看板であるものがたり列車)

JR予讃線普通列車・特急列車事情

 「伊予灘ものがたり」で伊予大洲駅について2日後、今日は博多へと帰る日です。「松山・広島割引きっぷ」の往路では呉駅から「スーパージェット」を利用して松山入りしたので、帰りは鉄道で松山駅から岡山駅まで出て、新幹線で岡山駅から博多駅まで帰らなければなりません。所要時間は往路と復路でそれほど変わらないのですが…。時速 300 km の新幹線は偉大です。

 

(伊予大洲駅を出ていく「伊予灘ものがたり」)

 

 伊予大洲駅からは特急「宇和海」号に乗車します。「松山・広島割引きっぷ」を自由周遊区間で利用する場合、普通列車のみ乗り放題ですが、特急券を支払えば特急列車にも乗車できます。JR予讃線松山駅宇和島駅間は、特急「宇和海」号が1時間に1本運転されている一方、普通列車の本数は少ないので、この取り扱いはありがたいですね。

 

(宇和島駅―松山駅間を結ぶ特急「宇和海」号)

 

 また、JR四国の路線では特急列車と普通列車の所要時間も大きく異なります。その理由は、JR四国では路線の大半が単線区間であることにあります。単線区間では、上り列車と下り列車の行き違いを考慮してダイヤを作る必要があります。その際にまず優先されるのが特急列車であり、特急列車の所要時間が短くなるように行き違いのパターンが考えられます。聞くところによると、JR四国の単線区間を複線化しても、特急列車の所要時間はほとんど変わらないそうです。

 

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 普通列車は、特急列車の運行を妨げないように運転されます。複線区間普通列車が特急列車を退避する場合、待避線のある駅で少し待つぐらいのことが多いですが、単線区間では待避線に対向の特急列車が入っている場合もあり、上下の特急列車から退避する必要があります。したがって、本当はもう少し先の駅まで逃げてから特急列車を退避すればよいところを、手前の駅で長時間待つといったことが起こります。このような事情で、JR四国の普通列車は、特急列車に比べて所要時間が大幅に長くなりがちです。

 

(「しおかぜ」号に使われることの多いN2000系)

 

 このような単線区間にみられる事情に加えて、予讃線松山駅伊予市駅伊予大洲駅間では、もう一つ特有の事情があります。この区間は海周りで走るもともとの予讃線を短絡するために、内陸部を通る内子線が建設されました。特急「宇和海」号は内子線経由で運行され、松山駅宇和島駅間を80‐90分、松山駅伊予大洲駅間を40‐45分間で結んでいます。一方で普通列車は海周りで運転される便もあり、そのぶん松山駅伊予大洲駅間の所要時間は伸びてしまいます。普通列車ではありませんが、前回乗車した「伊予灘ものがたり八幡浜編」では、松山駅伊予大洲駅間を2時間程度かけて走っていました。

 

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 普通列車内子線経由の便も設定されていますが、沿線人口が多くない分需要も限られており、本数は少ないです。所要時間の面でも、海周りの普通列車ほどではありませんが、特急列車に比べると大きく劣ります。

 そんなわけで、JR四国の路線では、ほかの線区に比べて、普通列車に対する特急列車の需要が高いようです。また、日常的に特急列車を利用するからか、指定席よりも自由席の需要が大きいです。その様な事情を反映して、JR四国の特急列車では、指定席よりも自由席を多く供給しています。3両編成の特急列車では指定席1両、自由席2両、2両編成の便では指定席0.5両、自由席1.5両といった具合です。JR東日本やJR北海道で、特急列車の全席指定席化を進めているのとは対照的ですね。