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2024年8月12日(月)
本日は、宿泊先の「宇和島第一ホテル」にて優雅な朝食バイキングからスタート。
品数はそれほど多くなかったものの、名物の「じゃこ天」をいただくことができ、また旅行中に不足しがちな生野菜をしっかり摂ることができたので満足です。さらに私はカレーが好きなので、朝から好きなだけカレーを食べることができたのも満足度高めでした!
チェックアウトし、650mほど歩いて宇和島駅へ。
本日はこれから予土線・土讃線経由で高知方面へ向かい、そのまま最終的には夜までに高松へと向かいます。
今回乗車するのは、宇和島9時33分発の予土線〔しまんトロッコ2号〕窪川行です。
予土線は窪川~宇和島駅間約80kmを結ぶ路線(正確には若井~北宇和島駅間)で、特急列車の運行はありません。また普通列車の本数も極めて少なく、全線を通して走る列車は1日わずか4往復のみです(このほか宇和島~近永・江川崎駅間の区間列車が1日計6.5往復)。
しかしそんな少ない本数の中でも予土線では観光列車が充実しており、今回乗車する「しまんトロッコ」もその一つ。元々は1960年代に製造された貨車を国鉄末期の1984年にトロッコ車両として改造し、現在は普通列車の後ろに連結して運行しています。
宇和島9時33分発の普通列車窪川行、これ自体は毎日運行されています。そしてしまんトロッコ運行日はこの定期列車の後ろにトロッコ列車を連結して走行するようになっています。しまんトロッコは全車指定席ですが、トロッコ運行区間は江川崎~土佐大正駅間のみのためそれ以外ではトロッコ車両に立ち入ることはできません。
普通列車の方もトロッコ車両に合わせた黄色の塗装がされており、こちらは乗車券のみで乗車可能です。キハ54形と呼ばれる2ドアの気動車です。
宇和島~江川崎駅間、および土佐大正~窪川駅間においてはトロッコ車両は「回送列車」扱いのため、指定席券も江川崎~土佐大正駅間のみで発行されます。宇和島駅を出るまでに指定席券はあらかじめ購入・発券をしておきましょう。
松山方面からやってきた特急〔宇和海5号〕(定刻宇和島9時30分着)が若干遅延していたようで、こちら予土線は接続を取ってから発車。乗り換え客が一斉に1両の気動車へ乗り込むと、座席はほぼ埋まり、立ち客も出るほどの混雑となりました。お盆という時期もあり、ほとんどが観光客といった様子です。
予土線は定刻よりも2分ほど遅れ、9時35分頃に宇和島駅を発車。次の北宇和島駅までは予讃線を走り、北宇和島駅を出ると右に分岐します。その先次の務田駅までは実に6.3km離れており、30.0‰もの急勾配が待ち構えています。
務田より先は鬼北町、松野町といった山あいの小さな町の中心地を通り、さらに内陸へ進みます。松丸駅では親子連れの乗客が一気に降り、車内に少し余裕が生まれました。
車窓に見える広見川には「沈下橋」が架けられています。これは欄干のない橋で、台風等で河川の水位が上がっても土砂をせき止めにくく、流木等も引っ掛かりにくいため壊れにくい造りとなっています。
その後愛媛県から高知県へと入り、10時43分頃に江川崎駅へ到着。当駅を始発・終着とする普通列車も設定されている主要駅で、1日平均乗降人員は50人ほどです。
さて江川崎駅からは車内を通り抜けてトロッコ車両に移動し、いよいよ「しまんトロッコ」の旅がスタートです!
トロッコ車両は4名1区画のボックスシートになっていますが、相席を覚悟であれば1名からでも購入できます。各区画には木のテーブルがありますが、椅子はというと背もたれもなく、座面には申し訳程度のクッションが取り付けられているのみ。もちろん「トロッコ」なので窓はなく、テーブルに物を置いているとたぶん風で飛ばされます。
江川崎駅を定刻よりも5分ほど遅れて、10時50分頃に出発。
この江川崎駅がある高知県四万十市江川崎は、ちょうど11年前の2013年8月12日に当時の観測史上最高気温である41.0℃を記録したことでも知られています。この記録は5年後の埼玉県熊谷市が41.1℃を観測したため1位の記録は塗り替えられてしまいましたが、今なお四国において屈指の「暑い町」として知られています。
なお気象庁によると、今回の訪問時の江川崎の気温は34.6℃(午前11時)であったとされており、史上最高気温と比べるとだいぶ涼しく感じます(バグ)。
ここから先、予土線は四万十川に沿って進んでいきます。予土線には「しまんとグリーンライン」の愛称が付与されており、その名の通り木々の色が水面に映る緑色の鮮やかな景色が楽しめます。
江川崎駅の一つ隣は「半家(はげ)駅」。その読み方のユニークさもあり珍駅名として知られています。余談ですがかつてJR北海道の留萌本線に「増毛(ましけ)」という駅があり、「半家→増毛」と移動する旅が薄毛の方を中心に人気となっていたようです。
上流へと向かう四万十川の流れはくねくねとしており、線路は何度も四万十川を橋で越えることになります。もちろんトロッコ車両なので冷房設備はありませんが、常に四万十川が近くを流れていることもあってか涼しい風が車内へ入り込んでくるため、それほど過酷な暑さではありませんでした。
車内では検札が行われ、記念乗車証と缶バッジが配布されます。ガタゴトと揺れの激しいトロッコ車両で、しかも何かの拍子にきっぷが外へ飛んでいってしまいそうになりながらも行われる検札はスリル満点です(笑)。
トロッコ車両に乗車できる江川崎~土佐大正駅間の距離は25.1kmで、ここを約50分かけて走ります。普段乗り慣れた首都圏の通勤電車と比べると実にゆっくりとしたスピードで、見える景色から車両の設備まで全てが都会とは真逆で、私にとっては非日常感にどっぷりと浸かることができる体験です。日本の夏ここにあり、まるで絵に絵に描いたような原風景をたっぷりと味わい尽くします。
また、先ほどの記念乗車証・缶バッジとは別に、7・8月の期間限定で乗客全員にオリジナルの不織布ショルダーバッグもプレゼントされました。たった530円の指定席料金のみで、歴史ある貨車に乗れるだけでも十分貴重なのに、こんなにいろいろもらえてしまって本当によいのでしょうか…!!
また、私は今回利用しませんでしたが、「しまんトロッコ2号」に限り乗車日3日前までに電話予約を行うことで江川崎駅にてお弁当を受け取ることができ、そのままトロッコ乗車中にいただくことができます。「四万十牛カルビ丼」「四万十牛肉みそしぐれ丼」の2種類(いずれも700円)で、実際にこの時も何名かの方が召し上がっていらっしゃいました。とても美味しそうではあるものの、常に風が吹き込む車両でのお弁当はややレベル高めかもしれません。
11時38分頃、定刻よりも1分ほど遅れて列車は土佐大正駅に到着。トロッコ車両の営業はここまでとなりますので、再び先ほどまで乗車していた普通列車の方に移動します。
土佐大正駅もまた、予土線の運行においては主要な役割を果たす駅の一つ。当駅では宇和島行の普通列車との行き違いを行います。この宇和島行の方には0系新幹線をイメージした「鉄道ホビートレイン」が充当されています。
11時42分、列車は土佐大正駅を発車。ここでようやく遅れを回復させることができました。引き続き四万十川に沿って走っていきます。
家地川駅を出てしばらく進むと、宿毛・中村方面からやってくる土佐くろしお鉄道の線路が左側から合流します。この合流地点は「川奥信号場」となっており、まもなくすると列車は若井駅に到着します。
最後の一区間である若井~窪川駅間は土佐くろしお鉄道となっており、予土線の普通列車を青春18きっぷ等で乗り通そうとするとこの区間だけ別途精算が必要となります。ただ、私が今回使用している「若者限定四国フリーきっぷ」については同区間もフリーエリア内に含まれるため心配はいりません。
宇和島を出てから約2時間30分、12時11分に列車は終点の窪川駅に到着!
窪川駅からは高知・阿波池田・多度津・高松・岡山方面に繋がる土讃線がのびており、当駅には特急列車もやってきます。
折り返し宇和島行の〔しまんトロッコ1号〕は窪川13時21分発となります。トロッコ車両への乗車区間は同じく土佐大正~江川崎駅間のみですが、2号と異なりお弁当の取り扱いは行っていません。
また、窪川駅の出札窓口はしまんトロッコ組成作業に伴い一時的に閉鎖されます。少ない人員で何とかやりくりをしている苦労が窺えます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。