2004年10月16日ダイヤ改正の前日に当たる10月15日,仙石線の快速列車に与えられていた愛称である「うみかぜ」の使用が廃止され,翌日からは仙石線の快速列車は名無しとなりました。さて,そんな快速うみかぜ,ひいてはうみかぜが存在した時期の仙石線快速はどれくらいの本数が存在していたのでしょうか。
快速うみかぜのあらまし
1988年3月のダイヤ改正によりそれまで運行されていた仙石線の快速列車に愛称が与えられました。それこそが「うみかぜ」でした。この名は快速・特別快速両方に与えられ,仙石線の優等種別は全てがうみかぜと名乗っていました。
このうみかぜ号に対して,発足したばかりの東北地域本社はかなりの力を入れていたようで,波飛沫をイメージした専用のヘッドマークを用意して103系の前面に掲載するという方式を採用しました。快速うみかぜが登場した当初の103系は非冷房中心の転用車ばかりでしたが翌年の終わりからは大幅な更新が施された103系が入線し,以降の過渡期では更新編成が積極的にうみかぜの運用に入りました。時は流れ2002年には205系転入に伴いうみかぜも徐々に205系の運用となります。M2〜M5編成の2Wayシートを搭載した編成が積極的にうみかぜの運用に入って行き同時に103系との世代交代も進み7月には205系で統一,以後廃止までの3ヶ月間は205系で運用されていました。
画像出典 裏辺研究所様
うみかぜ号の本数
仙石線の快速にうみかぜの名が与えられた1988年の春ダイヤ改正では平日に7本,休日に9本の優等種別が存在し,休日の1本が特別快速とされました。この特別快速は仙石線の歴史上最速の列車であり,仙台〜石巻間ノンストップ,所要時間43分,表定速度は驚異の70.2kmを誇り,快速であっても所要時間50分,表定速度は60.4kmと,仙石間の速達志向ではまさにこの時が最盛期であり,1991年までこの体制は変わる事はありませんでした。車両面でも最高速度が95kmの103系が全力疾走していた事になり,103系のMT55主電動機の限界に挑んでいるかのような走りっぷりだったという事です。
1991年になると,快速の本数は13本となります。快速は松島海岸で交換を行うようになり,複数の停車パターンになって行きます。この時は3パターンが存在しており石巻方で徐々に停車駅が増えていきました。特別快速も速度が落ち表定速度は68.6kmに下がっています。1993年以降は石巻方各駅停車化や日中時間帯の石巻直通が全て快速になるなど,停車パターンが年を追うごとに複雑になって行きました。2000年ダイヤ改正,仙石線の地下化・あおば通延伸を果たしたこの改正で快速列車にも大きな動きがありました。ノンストップの特別快速が廃止となり全てのうみかぜ号が快速に統一されました。この時には2パターン,本数も12本に抑えられました。これ以降停車パターンは2つに抑えられる事になります。
うみかぜの末期に当たる2002年12月,前月に205系が投入された後では平日13本,休日18本存在し石巻方停車型より速達便が多くを占める最終期でもありました。そして2004年10月,遂にうみかぜの名が廃止になります。この時快速列車は平日13本,休日16本であり所要時間60分,表定速度は最速49kmにまでなっていたそうです。
旧塗装の103系。当初はうみかぜ色とも呼ばれた。
画像出典 Wikimedia commons 永尾信幸様
終わりに
快速うみかぜが廃止されて20年が経つ今日,うみかぜ号が居た時期の快速事情を改めて振り返ってみました。晩年は沿線事情もあり停車パターンが増えていったりしたものの,仙石間ノンストップの特別快速の存在は確実に仙石線,ひいては仙台支社の歴史に大きく名を残した事でしょう。