今回紹介するのは、クモハ211-1011他です。元々は東北・高崎線向けセミクロスシート車として製造されました。東北・高崎線は、当時埼京線・湘南新宿ラインもなく大宮以南の増発が難しかったため混雑が著しく、セミクロスシート車とロングシート車の比率が1: 2で製造されました。
結局、セミクロスシート1000番台車は本車が最終で、JR化後の増備はすべてロングシート車になったと思われます。最後の近郊型らしい車輛と言えます。
本車の車歴です。
1986.6.24 近畿車輛製造 高シマ→ 1987.4.1 高タカ → 2014.2.21 長ナノ → 現在に至る
本車は、元々高崎・東北線用としてサハ211-1021, 1022 を挟んだ5輌編成でした。2006年に231系の進出と共に高崎・東北線系統でもグリーン車の連結が始まります。その際、当初 211系はそのままモノクラスで運用される予定でしたが、グリーン車の導入が好評だったため、211系も再編することになります。これは、東海道線からの113系の撤退で、113系用の2階建てグリーン車を東海道線の211系に転用し東海道線のグリーン車を総2階建てとして、そこから捻出されたグリーン車を高崎・東北線系等の211系に転用するとともに、ロングシート 5 輌基本編成を再編し、グリーン車つき10輌基本編成として再編しました。その際余ったサハ2輌は廃車となりました。再編されなかったロングシート5輌編成は房総地区へ転用、本車を含むセミクロスシートの 5 輌編成はそのまま付属編成として引き続き高崎・東北線系等で使われることになりました。この時小山区にいた211系はすべて高崎区に集約されます。
しかし、2013.6 高崎・東北線運用から撤退し、サハは廃車となり、しばらく浪人生活を送ったのち、中央東線・首都圏口の元八トタ 115系300代の運用を継ぐべく、長野に転属しました。実際の運用開始は、同年12月でした。
なお、元々は首都圏用でしたので、車内の路線図は首都圏のものが掲示されていますが、北陸新幹線全通で長野地区の運用数が減った影響か、現在は必ずしも高尾口に運用が限定されていないようです。おそらく長野地区からロングシート車だけでなくセミクロスシート車も配置して欲しいと言う声が出ていたものと思われます。