これまでも当ブログでもご紹介しておりますように、福岡から宮崎への高速路線バスと言いますと、代表格は「フェニックス号」ではないかと思います。
そんな「フェニックス号」は、これまでも当ブログでもご紹介しておりましたように、昭和63年より運行を開始しました路線でありまして、陸路での福岡~宮崎間の代表格として君臨しておりまして、多客期には各社複数台運行するなど多くの利用者を誇る高速路線バスでもあります。
その「フェニックス号」自体も、運行開始から今年で36年になりますが、常に安定していた時がある訳でもなく、平成23年にはジェイアール九州バス(旧称)が運行を撤退、新たな自社路線「たいよう号」として運行、それに伴いまして運行区間がこの年よりこれまでの博多バスターミナル発から現在の西鉄天神バスセンター(→西鉄天神高速バスターミナル)発に改められているなど変化が見られておりましたし、新たなシートでありますセレクトシートが西鉄グループ(西鉄バス・西鉄高速バス)・宮崎交通で導入されておりました(画像1(6017・日産デPKG-RA274RBN)がその車です)。
そして、一部の系統では廃止に追いやるなどしておりまして、例えば夜行便に関しましては、都城経由に関しましては平成25年には廃止されておりますし(一度平成21年に休止後、平成23年「ドリームにちりん」廃止に伴い一度復活後)、名目なく運行されておりました延岡経由の夜行便も令和2年に「新型コロナウイルス」の影響で運休中に運行終了が発表、廃止へと至っております(画像2、宮崎交通元夜行専用車(現・「フェニックス号」専用車)、宮崎200か・489、日野2TG-RU1ASDA)。
また、平成20年代には後述のように福岡~宮崎間に複数の高速ツアーバスも運行されておりまして、料金が当時の「フェニックス号」よりも大幅に下回る運賃が設定されたりしておりましたが、その後「フェニックス号」自体が運賃を値下げ、さらに平成25年には高速ツアーバスも廃止されまして路線化を余儀なくされた事や、「フェニックス号」の運賃もネット割引など複数の運賃が導入されておりますので、新高速路線バスとほとんど変わらない形に改められております。
(南九州観光バス「サンマリンライナー」、(宮崎230い・108、いすゞLKG-RU1ESBJ))
現在の「フェニックス号」運行会社は以下の通りであります。このうちJR九州バスに関しましては一度撤退しておりましたが、その後再び復帰しております。
(西鉄バス、4503・LKG-MS96VP)
(宮崎交通、宮崎200か・458、日野2TG-RU1ASDA)
(九州産交バス、熊本200か・707、日野PKG-RU1ESAA)
(JR九州バス、644-22566、三菱2TG-MS06GP)
そんな各社様々な車によって運行されております「フェニックス号」でありますが、かつては「フェニックス号」の格安版も存在しておりました。今回はその格安版でありました、「学割・皆割フェニックス号」に関しまして皆様にご紹介してまいります。
(「皆割フェニックス号」・西鉄バス、9494・日産デPKG-RA274RBN)

(行先)

この「フェニックス号」の格安系統は、平成19年に「学割フェニックス号」が運行を始めたのがきっかけでありまして、当時は画像のようなポスターも見られておりました。

当時の「フェニックス号」は、先述のように福岡~宮崎間の運賃が6000円と割高でありまして、それに対抗するかのように先述の高速ツアーバスが運行しておりまして、宮崎・福岡地区の観光バス会社がそれぞれ運行の上、運賃は当時2900円~3300円と言う格安運賃で運行されておりました。つまり、主にそう言った高速ツアーバスを利用するのが学生などの若年層でありましたので、この高速ツアーバスに対抗したものでありました。
使用車両は、各社4列シート車が使用されておりまして、停車地も「フェニックス号」の速達系統であります「スーパーフェニックス号」と同等の停車地にて運行されておりまして、特に利用者が多い金曜・土日祝日・年末年始に3往復運行されておりました。
(西鉄バス、9719・日産デPKG-RA274RBN)~現在は廃車


この利用方法は、学生の場合は学生証を提示しますと、半額の3000円で利用する事ができておりました。しかし、学生証を提示しなかった場合、また一般の方は通常の6000円で利用するようになっておりました。やはり、こういう割引を行う事で高速ツアーバスに対抗していたと言っていいかと思います。
そして、さらに割引の門戸を開くべく、翌平成20年には「皆割フェニックス号」の愛称で、毎日運行の上、これまで通常運賃で利用するようになっておりました一般の方も利用できるようになっておりまして、行先表示に関しましても、宮崎交通を除きまして各社専用行先が用意されるようにまでなりました(宮崎交通は側面サボのみ)。
(九州産交バス行先)

運賃は、一般利用で3300円となっておりまして、半額に近い運賃で設定されておりました。尚、学生に関しましては、引き続き学生証提示で3000円で利用できておりまして、一般の方も利用できるようになった事でより高速ツアーバスに対抗していた姿が伺えておりました。
各社の「皆割フェニックス号」に使用されていた車両であります。使用車両は「学割フェニックス号」から引き続き使用されていた車も存在しておりまして、これら車は現在は別の路線で使用されている車もありますし、中には残念ながら廃車となった車も見られております。
(西鉄バス、4014・三菱KL-MS86MP)~その後日田バスに移籍、482号となるものの、現在は廃車となっています

(宮崎交通、宮崎200か・・57、日野KL-RU4FSEA)~現在は宮崎~宮崎空港~都城間などに使用

(現在)

(九州産交バス、熊本200か・258、いすゞKL-LV781R2)~現在は廃車

(JR九州バス、641-9971、いすゞKC-LV781R)~現在は廃車

このうち、九州産交バスではこのような姿が見られておりました。それが「SUNQパス」の表示の仕方でありますが、本来の使用路線であります「ひのくに号」に関しましては基本的に北部九州版と全九州版、「フェニックス号」系統は基本的に全九州版しか使用する事ができませんので、このように分けるような表示の仕方はわかりやすくて良かったのではないかと思います。

その後、平成23年に冒頭述べましたようにJR九州バスは撤退、また、「フェニックス号」の運行形態を改めさせるために「皆割フェニックス号」は廃止されまして、西鉄バス・(旧)西鉄高速バス・宮崎交通(一部)の担当便におきまして以下画像の3列&4列シートの「セレクトシート」が採用されるに至っております(その後宮崎交通は令和3年に廃止)。

今回は、当時運行されておりました高速ツアーバスの対抗策として運行されておりました「学割・皆割フェニックス号」に関しましてご紹介しましたが、現在のセレクトシート車両の前身であった事も伺えるのではないかとも思います。やはり、通常の運賃よりも格安で利用する事ができていた事がそう言える部分ではないかとは思いますので。それでも、現在の「フェニックス号」では、宮崎交通のようにセレクトシート廃止、シートに関しましても各社によりまして3列・4列各シートに統一と違いが見られておりますし、本数もピーク時よりは減便していると言った流れも見られますが、これからも引き続きの利用を望みたい所ではあります。