熊本市内では、現在は定期観光バスは運行されておりませんが、その代わりに熊本城などを回ります周遊バスは運行されておりまして、画像の熊本都市バスが運行しております「しろめぐりん」は最も知られております周遊バスではないかと思います。
この「しろめぐりん」は、元々は旧熊本市交通局（熊本市営バス）で運行されておりました熊本城周遊バス「むさし」・「とおりゃんせ」が発端でありまして、その後平成１８年に九州産交バスに熊本城周遊バスが移管、そして使用車両も上の画像の日野ポンチョ（熊本２００か・８４６、ＢＤＧ－ＨＸ６ＪＬＡＥ）に変わりまして現在の名称に改めて運行されておりました。
しかし、平成２３年に熊本市営バスの民間移譲会社でもあります熊本都市バスに再び移管されておりまして、現在は令和２年に画像２の電気バス（熊本２００あ・５０４、ＳＫＧ－ＨＸ９ＪＬＢＥ改～元徳之島総合陸運）も導入されているなど、熊本市内の観光にはふさわしい存在となっております。
塗装も、既存車両は白地の塗装でありますが、移籍車でもあります電気バスに関しましては黄地の塗装となっておりまして、差別化が図られている事がお分かりいただけます。
そんな「しろめぐりん」が最も知られております周遊バスではありますが、かつては同じ「めぐりん」としての愛称を持つ２つの定期観光バスも運行されておりました。今回は、過去の画像よりその２系統に関しまして皆様にご紹介してまいります。
その２系統は、いずれも平成２２年１０月から産交バスで運行されていたものでありまして、熊本市内定期観光バスとして「みずめぐりん」と「もりめぐりん」と呼ばれる定期観光バスが存在しておりました。
そんな「○○ めぐりん」と呼ばれる定期観光バスをご紹介しますと、まず「みずめぐりん」については、名称の由来はおそらくは湧水が豊富な熊本市内である事で「水の都」とも言われている事、「もりめぐりん」に関しましても、同様に「森の都」と呼ばれている事から、そういった名前がつけられたのではないかと思われますし、運行（観光）コースの中に、熊本城をはじめ、水前寺公園などと言った水や森に関係する所が観光コースに加わっているためではなかったかと思われます。
これらの運行コースは・・・
「みずめぐりん」 乗車地～水前寺公園（見学時間約４０分）～城彩苑＆熊本城（見学時間約１２０分）～降車地
「もりめぐりん」 乗車地～田原坂（見学時間約４０分）～七本柿木薩摩軍墓地（見学時間約５分）～七本官軍墓地（見学時間約１０分）～城彩苑＆熊本城（食事・見学時間約１８０分）～北岡自然公園（見学時間約３０分）～降車地
と言う運行コースで運行されておりました。
その「みず」・「もり」に使用されていました車両は、まず「みずめぐりん」は、元宮崎交通の元「シーガイアシャトルバス」専用車（熊本２００か・８１９、日野Ｕ－ＲＪ３ＨＧＡＡ）が使用されておりまして、元はその下の画像にあります塗装（２代目）もまとっていた車でもありましたし、引き続き宮崎交通に所有していた車も、「シーガイアシャトルバス」の後に「にちなん号」や「日南（ひな）めぐり号」などで使用されていた車でもありました。
（宮崎交通時代（「シーガイアシャトルバス」）の姿）
一方、「もりめぐりん」につきましては、元は九州産交観光の小型登録の三菱エアロミディ（熊本２２あ・３７２、ＫＣ－ＭＪ６２９Ｆ）が使用されておりまして、運行当初は画像６のように貸切塗装をまとっておりましたが、その後画像のように緑地の「もりめぐりん」カラー（ラッピング）に変わりまして運行されておりました。やはり、上の画像の「みずめぐりん」といい、この「もりめぐりん」といい、塗装から見てもイメージにぴったりではなかったでしょうか。
（貸切塗装時代）
この「みず」・「もり」は、運行開始後良かったようでして、翌平成２３年の九州新幹線全線開通後は熊本に来られる観光客も利用されておりまして、定期観光バスにふさわしい所が見られていたようでありました。
しかし、その後は利用者減もあったようでありまして、結果平成２６年に「みず」・「もり」こと「みずめぐりん」と「もりめぐりん」は残念ながら運行を終了しております。
この運行終了に伴いまして、「みずめぐりん」に使用されておりました車は廃車になりましたし、「もりめぐりん」に使用されていた車は阿蘇営業所に転属しまして、転属後に運行を開始しました「大観峰ライナー」の専用車として運行されておりましたが、その「大観峰ライナー」も平成２９年に運行を終了、使用されていた車もその後廃車となったようであります。
今回は、九州新幹線全線開通前から運行されておりました定期観光バス「みずめぐりん」・「もりめぐりん」に関しましてご紹介しましたが、これらも熊本の観光には大きな役割を果たしていたのではないかと思っております。やはり観光客が来るとなりますと何らかのおもてなしが必要ではありますが、その足としてこれらの運行があった訳でもありますので、この存在も大きかったのではないでしょうか。それにしても、特に宮崎交通からの移籍車のように、運行されなくなった今となりましてそう言ったバスも存在していたのかと思う所ではありますが、ご覧の皆様も実際に存在・運行していた事を存じていただければと思っております。
