1994年9月4日、完全な人工島では世界で初めての空港として泉州沖に関西国際空港が開港しました

対岸の大阪府との間には関西国際空港連絡橋で結ばれ、橋の上部は片側3車線の自動車専用道路である国道481号線、下部にはJR西日本の関西空港線と南海電鉄の空港線が複線の線路を共用する形で、それぞれ空港アクセスを担っています

 

本年9月4日に関西国際空港は開港30周年を迎え、開港と同時に運行を開始したJR西日本の「はるか」と南海の「ラピート」も共に運行30周年を迎えました

先日、所用で関空を利用した際に、30周年記念ラッピングの施された「はるか」をスナップする機会がありましたので、ご紹介します

 

 

 

まずは関西空港駅の改札を通り抜けると、「はるか」の歴史を振り返る写真コーナーがありました

一番左上にある写真は、京都駅でデビュー前の試運転の姿を捉えたものですが、当時はまだ巨大な京都駅ビルは完成しておらず、ホーム上方が広々としています

 

 

 

ハローキティの存在感に負けているような気がしないでもありませんが、車体の各所に281系のフォルムを象った30周年記念ロゴが掲出されています

ドア脇に配されたスクエアドットのイラストは「はるか」のシンボルにもなっていますが、列車の目的地が京都であることから、古都の碁盤の目を表現したものと捉えることもできそうです

 

 

6号車となるクハ281形の運転席後方には、かつて京都シティエアターミナル(K-CAT)で搭乗手続きを行った利用客向けの荷物スペースがありました

K-CAT廃止後はデッドスペースになっていましたが、2016年に荷物室ドアが落下する事故が発生したことを受けて封鎖されたため、いまではドアがあった痕跡を見つけることも難しくなっています

 

 

こちらは京都方の先頭車である1号車のクロ280形です

この角度から見ると、281系に特有の弧を描くインバースラインの造形がよく分かりますね

 

かつてK-CATが稼働していた時代は京都方がクハ281形でしたが、アメリカ同時多発テロ事件の影響もあって、K-CATは廃止されました

2002年に編成全体で方向転換が実施された結果、グリーン車が京都方を向くいまの姿に落ち着きました

 

結果として、同じ阪和線を走る「くろしお」とはグリーン車の連結位置と号車番号が反対になっています

 

 

JR西日本の設計・製造する特急型車両ついては、287系・271系・273系がそうであるように、681系の貫通型先頭車の流れを汲む電気釜スタイルに集約されつつあるいま、281系の個性的なスタイリングは稀有な存在であるといえます

 

 

登場以来、一貫して専用形式である281系によって運行されていた「はるか」ですが、2020年3月改正時に新しい仲間として271系が戦列に加わりました

インバウンド観光客が年々増加しつつあることや、東京五輪や関西万博を見据えて「はるか」の全列車を9両編成で運行可能とすべく増備された車両ですが、デビュー早々に新型コロナウイルス感染症の影響で、全編成が運用から離脱する羽目になってしまったのは諸兄もよくご存じの通りです

 

いまでは、こうして元気に運用に復帰して281系と手を取り合って、再びインバウンド観光客をせっせこと運んでいます

7年後にはなにわ筋線が開業する予定であり、登場から30年を迎えた281系については同線の開業までに置き換えが始まるのではないでしょうか?

 

 

3,000セット限定販売と聞いて、売れ切れては大変だと思い、DISCOVER WEST mallより「はるか」30周年記念入場券セットを注文しました

 

 

「はるか」の運行区間である野洲・京都~関西空港間の入場券に、開くと「はるか」のイラストが飛び出してくる記念台紙がセットになってお値段3,000円でした

せっかく関西空港駅に立ち寄ったので、「ラピート」記念入場券も買ってくればよかったと後悔しています