今回の【駅】シリーズは、
三重県津市西部、雲出川沿いの山あいに位置する近鉄大阪線の駅で、戦前は近くに津や久居と伊勢川口駅を結んでいた中勢鉄道線の石橋駅があり、乗換が可能だった、
伊勢石橋駅 (いせいしばしえき。Ise-Ishibashi Station) です。
駅名
伊勢石橋駅 (D 59)
所在地
三重県津市 (旧・一志郡一志町)
乗車可能路線
近畿日本鉄道:大阪線
隣の駅
大阪上本町方……大三駅
伊勢中川方………川合高岡駅
訪問・撮影時
2020年12月
駅概要
駅形態……………地平駅ですが、伊勢中川方は盛土高架(1930年開業)。
駅舎………………×(ありません。2002年の無人化の際に駅舎が撤去されました)。
出入口……………北口(伊勢中川方面)、南口(大阪上本町方面)。構内に連絡通路なし。
南北間の移動は約50m西の踏切or約100m東のガードを利用。
バリアフリー……×(各出入口~各ホームの間は階段のみ)。
点字ブロック……駅舎内~改札~各ホームに設置。
駅前広場…………×(バス停留所は北口駅前にあります)。
伊勢石橋駅は相対式ホーム2面2線です。
以前は北側の下り1番線伊勢中川方面ホームに面して駅舎があり(西寄りにありました)、南側の上り2番線大阪上本町方面ホームとは構内踏切で結ばれていましたが、2002年、無人駅になった事に伴い駅舎と構内踏切が撤去され、1番線に面して北口が、2番線に面して南口が、それぞれ設置されました。
現在は構内での移動が不可能であるため、目的地方面のホームに対応した出入口を利用する必要があります。
各出入口の約50m西には踏切があり、南北間の移動は比較的容易です。
尚、伊勢石橋駅はバリアフリー非対応です。車いすで乗降の場合は事前に近鉄へお問い合わせ下さい。
写真は駅西側の県道549号線の踏切より伊勢中川方を望む。左が1番線、右が2番線です。
踏切の北側、線路沿いの道路(県道549号線)を東へ進むと、右側に北口があります。
(下写真のガードレールの途切れた部分)
写真は北東を望む。
北口出入口です。南東を望む。右手が踏切方です。
かつては手前に駅舎が鎮座していたと思われますが、跡形もありません。
奥には左へ延びるホームヘの出入口があります(階段のみ)。
以前は正面に構内踏切があり、下写真奥に写っている2番線と連絡していましたが、現在は前述の通り踏切等へ迂回しなければなりません。
駅前踏切です。南東を望む。
手前左が北口で、踏切を渡って左手が南口です。
1番線のホームヘの階段です。
スロープは設置されておらずバリアフリー非対応です。
北口駅前です。ホーム出入口より北西を望む。
かつては手前に駅舎がありましたが、今は駅前の県道まで通路が延びるのみです。
北口駅前です。駅西側の県道踏切より北西を望む。
駅北側には集落が形成されています。商店は見られません。
集落の西側は丘陵地で、ゴルフ場が多いです。東側は田園風景が広がっています。
また、東側約400mを雲出川が南から北へ流れており、近鉄線のすぐ北側に雲出川を渡る細い橋があります(石橋の潜水橋)。石橋の潜水橋を渡れば駅東側からも伊勢石橋駅へアクセス可能です。
雲出川対岸の台地上にはニュータウン(高野団地)があり、西端部は駅から約1.3kmで何とか徒歩圏内ですが、東端部は川合高岡駅が最寄りで、路線バスも川合高岡駅方面の便があるため、高野団地の近鉄ユーザーは川合高岡駅へ流れていると思われます。
そして、戦前は雲出川西側を川と並行する形で中勢鉄道線が延びていて、近鉄線をアンダークロスしていました。おそらくアンダークロスの北側、石橋の潜水橋の辺りに石橋駅が存在していたと思われ、伊勢石橋駅と乗換が可能だったと想像できます。
踏切の南側、線路沿いの道路(県道549号線)を東へ進むと、左側に南口の階段があります。
写真は北東を望む。
南口出入口です。北を望む。左手が踏切方です。
こちらは元から駅舎が存在せず、側道とホームの距離が詰まっています。
また、無人化されてホームヘ直接出入りする形態に変更されたのは2002年との事ですが、階段はどう見ても2002年より前から存在していたと思われます(写真は2020年撮影)。
非常用の階段を常設化したのか、有人駅時代からこの階段が利用可能だったのか、真相は不明です…。改札を設置するスペースはありませんし……。
階段を登って右への階段をさらに登ると2番線ホームです。
かつては正面に構内踏切がありました。
1番線のホームヘの階段です。
スロープは設置されておらずバリアフリー非対応です。
南口駅前です。南西を望む。右手に出入口があります。
正面が県道踏切方面です。
南口駅前です。上写真は駅前の県道踏切より南東を、下写真はホームより東を望む。
こちらの南口側にも集落がありますが、北口側より規模は小さいです。南東側や集落の南側は田園地帯です。
上写真右前方の森の中に石橋の日嶽山不動院があります。
下写真前方、奥に連なる丘陵地の手前を右から左へ雲出川が流れています。
また、約2.1km南西には誕生寺があります。
そして、雲出川の対岸、駅から約2.5km南には名松線の井関駅(いせぎえき)がありますが、乗換には適しません。それぞれ1駅東の川合高岡駅~一志駅が乗換に便利です。
伊勢石橋駅は駅舎がありませんので、各ホーム上屋下に改札機能が設置されています。
写真は1番線の設備です。
駅員配置………なし(無人駅。インターホンは未設置)。
自動改札機……△(ICカード専用簡易改札機のみ。左が入場用、右が出場用)。
ICカード………利用可能(『PiTaPa』エリア内)。
自動券売機……なし(ICチャージもできません。乗車駅証明書発行機もありません)。
自動精算機……なし(当駅にてICチャージは不可)。
トイレ…………なし。
付帯設備………集札箱(左端の小さな白い箱)。
売店……………なし(駅前に飲料自動販売機すらありません)。
コンビニ………なし(1km圏内に店舗はありません)。
伊勢石橋駅にてICカードのチャージはできません。『PiTaPa』や『モバイルICOCA』などポストペイやオートチャージ以外のプリペイド式ICカード利用で大三駅をご訪問の際は事前に残高に余裕を持たせておいて下さい。
また、ICカードやきっぷを不所持の場合はそのまま乗車し、車掌へきっぷをお求め下さい。
こちらは2番線の設備です。
1番線を反転させたようなレイアウトで、設備内容も1番線と同等です。
下り1番線ホームに設置の建植式駅名標です。非電照式です。
駅ナンバリング導入により取り替えられた新タイプですが、雨ざらしかつ直射日光に晒されているため、色褪せてしまっています…。
右側に駅ナンバリング「D 59」が大きく表示されています。
1番線の上屋下に設置の壁掛式駅名標です。非電照式です。
こちらは旧タイプを流用した駅名標と思われます。平仮名表記がありません。
当駅は1930年、前身の参宮急行電鉄により「参急石橋駅」として開業しましたが、1941年に親会社の大阪電気軌道と合併して関西急行電鉄になると、現在の「伊勢石橋駅」へと解消されました。
そして関急は戦時中の1944年に南海鉄道と合併して近畿日本鉄道(近鉄)になりました。
駅構造……地平駅。南西~北東方向。
配線………相対式ホーム2面2線。
左ホーム(北)は1番線で下り伊勢中川・伊勢志摩・名古屋方面、右ホーム(南)は2番線で上り名張・大阪上本町・京都方面です。
ホーム有効長……3両弱分(実質2両分。普通しか停車できず。急行は通過します)。
ホームドア………なし(2020年12月時点)。
『ひのとり』などの特急が高速で通過しますので要注意です。
ホーム幅…………全体的に狭いです。伊勢中川方の端(奥)は特に狭いです。
上屋(屋根)………各ホームとも中ほど大阪上本町寄りの約0.5両分。
ホーム上設備……前述の改札設備、ベンチ。
各ホーム大阪上本町方の端に階段があり、1番線側が北口、2番線側が南口です。
また前述の通り、両ホームを結ぶ構内踏切など連絡通路がありませんので、南北間の移動は駅西側の県道踏切を利用する必要があります。
上写真は1番線より、下写真は2番線より、全て伊勢中川方を望む。
上2枚は1番線より、下1枚は2番線より、全て大阪上本町方を望む。
ホームは手前側・伊勢中川方の端が特に狭くなっています。
ちなみに伊勢中川方には出入口がありません。
また、伊勢中川方で雲出川を渡るため、ホーム手前側は低い盛土高架上に位置します。
上写真は1番線より、下写真は2番線より、全て大阪上本町方を望む。
各ホーム端に階段と出入口があります。さらに先には県道踏切があります。
この先、ゴルフ場が林立する丘陵地の森の中を走るようになり、右カーブが続きます。途中、上下線が一時的に離れて短いトンネルをくぐります。その後、進路を西北西に変えると時折左手に雲出川を見下ろしながら引き続き丘陵地帯の中を走り続け、周囲が開けてきて集落に入り。国道165号線をオーバークロスすると大三駅へと至ります。
上写真は1番線より、下写真は2番線より、全て伊勢中川方を望む。
この先、盛土高架区間で田園風景の中を走り、中勢鉄道線跡を乗り越してから雲出川を渡ります。その後は右へカーブしながら丘陵地帯の森の中を進みますが、右手の丘陵上には高野団地があります。そして先に左側が開けてきて農村地帯を見ながら走り、進路を南東に変えるとやがて右側も開けてくると丘陵地が終わり、伊勢平野の平坦部を走るようになります。そして住宅と田園が混在した中を走ると、川合高岡駅へと至ります。約200m南に名松線の一志駅があり、乗換が可能です。但し名松線の本数が少ないため、事前に時刻を確認して下さい。
あとがき
下車(乗車)時・・・2020年
近鉄大阪線を乗り鉄時に下車(乗車)しました。2面2線の無人駅で、一大幹線である大阪線の駅にもかかわらず駅舎が無く、ホームも2両分と非常に短いのが印象的でした。駅前は北側に集落があり、南側は田園が広がっています。そして西側は丘陵地で、東側は雲出川が流れています。戦前は雲出川沿いを中勢鉄道線が通っていました。
鉄路のみで(ルートは一例です)
東京から・・・当日中到達可能、日帰り往復可能。
新幹線(名古屋)近鉄名古屋線特急(伊勢中川)大阪線普通。
大阪から・・・当日中到達可能、日帰り往復可能。
近鉄大阪線の阪伊乙特急(榊原温泉口乗換)普通。急行は通過。
食料・飲料 (500m以内)
コンビニ・・・・・・なし (1km圏内に店舗はありません)
飲食チェーン店・・・なし
東京からの到達難易度もさほど高くありません。近鉄大阪線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は伊勢石橋駅でも途中下車してみて下さい!
(参考:近畿日本鉄道のHP、Google地図、Wikipedia)
テーマ:近畿の駅(兵庫県を除く)