JR西日本は22日、有料座席サービス「うれシート」の導入線区や設定本数を10月5日(土)から増やすことを発表しました。今回はこれについてみていきます。

240822_00_paidseat.pdf (westjr.co.jp)

 

※記事中の図については、JR西日本ホームページ及びプレスリリースから引用しています。

 

1.うれシートとは?

 うれシートとは、既存の快速列車の一部座席を指定席とした有料座席サービスです。新快速に導入されている「Aシート」のような、指定席車両を連結しているのではなく、既存車両の一部座席をのれんで区分けして、そこを指定席とするというシンプルな方法がとられています。

 

 昨年10月に誕生した新しいサービスで、現在は関西本線(大和路線)の加茂→天王寺間で3本、おおさか東線直通の奈良発新大阪行き直通快速4本に導入されています。(設定時間帯は平日、土休日で異なる)

快速 うれしート(有料座席サービス) | 鉄道 :JRおでかけネット (jr-odekake.net)

 

2.「うれシート」設定拡充路線について

 10月5日(土)から、「うれシート」の設定が拡充されますが、どの路線でどのように拡充されるのかを見ていきたいと思います。

 

(1)東海道・山陽本線(神戸線)

 JR神戸線の「うれシート」は平日朝の快速大阪行き4本に設定されます。混雑悪化の影響を抑えるために、新快速ではなく快速に設定したと思われます。

 なお、この快速列車4本は、本来の快速停車駅である舞子・垂水・須磨を通過するというのが特徴です。

 

(2)奈良線

 こちらも平日のみの設定で、京都行き区間快速2本、快速1本に設定されます。京都への通勤・通学客をターゲットにしているとみられます。

 

(3)関西本線(大和路線)・おおさか東線

 前述の通り、既に「うれシート」が設定されていますが、新たにおおさか東線直通快速奈良行き4本と平日夕方のJR難波発奈良行き4本に設定されます。

 平日は通勤帰り、土休日は大阪や奈良への買い物客、行楽客が利用しやすい時間帯に設定されています。

 

(4)山陽本線(広島エリア:岩国→五日市→広島)

 10月5日(土)からは、なんと広島エリアでも「うれシート」が設定されます。設定されるのは山陽本線の広島行き上り列車で、平日1本・土休日2本となっています。

 平日は広島への通勤通学客、土休日は岩国や宮島から広島方面へ帰る行楽客をターゲットにしているとみられます。

 3年前にこの快速「通勤ライナー」に乗ったことがありますが、広島県に入って最初の停車駅である大竹駅で既に座席は埋まり、その先は横川駅まで乗客が増え続け、ぎゅうぎゅう詰めになるくらいとても混雑していました。「うれシート」の設定が五日市までになっているのは、混雑が捌けなくなるのを防ぐためとみられます。

 また、土曜日の夕方に宮島口駅から広島方面へ向かう列車にも乗りましたが、行楽客で立ち客満載の混雑ぶりだったので、平日・土休日いずれも「うれシート」の需要は大いにあると思います。

 

3.指定席車両「Aシート」の臨時増結

 現在、Aシートを連結して運行している新快速は6往復ありますが、10月12~14日、11月2~4日、11月23~24日は、定期6往復に加え、野洲~姫路間1往復でAシートが臨時設定されます。3連休や秋の行楽シーズンで、乗客の利用が多く見込まれることから設定するものとみられます。

 なお、「今後も行楽シーズンにはご利用にあわせて運転する予定」と明記されており、Aシートの営業にはこれからも積極的に取り組む方針であることがうかがえます。

 

4.まとめ

 いかがでしたでしょうか。「うれシート」が一気に他線区へ広がることになったのは驚きでしたが、混雑する区間や時間帯を狙って有料座席サービスを積極的に導入し、少しでも客単価を上げたいという意図がうかがえます。

 「うれシート」は、専用車両を新造する必要がなく、既存の車両をのれんで区分けするだけなので、とても導入しやすいサービスなのが特徴です。乗客側にも、座って快適に移動したいという需要は少なからず存在するので、ウィンウィンのサービスと言えるのではないでしょうか。

 ここにきて一気にその存在が広まることとなった「うれシート」。どのように利用されていくのか、今後に注目です。