JR九州では、全国のJRグループの中ではこの九州のみ「ワンマン特急列車」の運行を行っておりまして、基本的には観光列車(D&S列車)を中心に2両編成で運行されてはおりますが、4両編成のワンマン特急列車も存在しております。
JR九州では、経営合理化のためにワンマン特急列車を一部の列車で運行しておりますが、この中でもD&S列車では客室乗務員が乗務する列車も見られておりますが、観光列車ではない列車でもワンマン特急列車は見られておりまして、そう言った所から簡素化へと進んでいる姿も見られております。
使用車両に関しましても、特急用の車両であります画像1のキハ185系気動車(「九州横断特急」)をはじめ、近郊型気動車でありましたキハ40系気動車、そして画像2にもありますように高千穂鉄道から移籍しましたキハ125形400番台気動車(「海幸山幸)」)まで使用されておりますし、4両ワンマン列車には特急用の783系電車・787系電車まで存在しているなど、使用車両も様々であります。
そう言った事で、今回は、現在のJR九州の「ワンマン特急列車」に関しましてまとめておりますので、皆様にご紹介してまいります。
現在の普段(閑散期を含めまして)ワンマン列車で運行されております特急列車は以下の通りであります(青字はD&S列車です)。
ハウステンボス 783系電車運行 早岐~ハウステンボス(ワンマン区間)


にちりん(一部) 787系電車運行 大分~南宮崎・宮崎空港


ひゅうが(一部) 787系電車運行 延岡~南宮崎・宮崎空港
九州横断特急 キハ185系気動車運行 別府・大分~熊本


あそ キハ185系気動車運行 熊本~阿蘇~宮地


きりしま(一部) 787系電車運行 宮崎~鹿児島中央など

指宿の玉手箱 キハ40系気動車運行 鹿児島中央~指宿
A列車で行こう キハ185系気動車運行 熊本~三角
かわせみ やませみ キハ40系気動車運行 熊本~阿蘇~宮地
海幸山幸 キハ125形気動車運行 宮崎~南宮崎~青島~油津~南郷


このうち画像のD&S列車であります、キハ185系気動車「A列車で行こう」・キハ125形気動車「海幸山幸」に関しましては、専用車自体が2両しかありませんので、基本的に2両ワンマンで運行される事になります。尚、検査時などにはこれら列車は運休となっておりまして、そう言った事もありまして予備車両を従わずに運行される形となっている事が伺わせております。
(キハ185系気動車「A列車で行こう」)~平成23年撮影、現在は上の画像のように高架ホーム発
(キハ125形気動車「海幸山幸」)
一方、キハ40系気動車で運行されております、鹿児島中央~指宿間「指宿の玉手箱」に関しましても、上の画像のように基本的に2両で運行されておりまして、この場合はワンマン列車としても運行されております。
ただ、多客期には3両で運行される事もありまして、増結に使用されます両運転台のキハ140形気動車(キハ140-2066)もこれら列車におきまして使用する場合もありますし、キハ47形気動車検査時にはキハ140ー2066+キハ47いずれかの組み合わせも見られております。
(キハ140-2066を先頭にしました、3両の「指宿の玉手箱」)

こちらの画像は、783系電車で運行します「ハウステンボス」に関しましては、ワンマン区間は早岐~ハウステンボス間のみとなっておりますが、ご覧の方もご存知のように、この区間はわずか1区間である上に、約6分間のみのワンマン区間であります。
(平成28年撮影)~現在は画像3にもありますように橙色に変わっております
(現在)

この列車は、博多~早岐間は臨時列車であります9*号以外は、画像3にもありますように特急「みどり」と併結しまして運行されている列車でもありまして、博多~早岐間では8両編成で運行されておりますが、早岐~ハウステンボス間では4両編成で運行されておりまして、その際4両編成のワンマン列車としても運行されております。
(行先)
肝心のワンマン装備でありますが、783系電車には特別そう言った装備は設けられておりませんので、画像のようにスイッチは乗務員室ドア横のスイッチを使う事になっておりますし、放送に関しましても従来の自動放送装置を設けられておりますので、ワンマンにふさわしいような形となっているようでもあるようであります。
一方、こちらは長い区間でワンマン運転を行います日豊線の「にちりん」でありますが、ワンマン運行に際しまして、4両編成の車両の車内及びデッキ部には防犯カメラが設けられております。
(これら画像平成29年撮影)
(デッキ部)
また、非常用のSOSボタンも増設されておりまして、先述の防犯カメラとともに防犯対策がなされている事がわかります。やはり、ワンマン化される事で乗務員も運転士一人だけになりますので、そう言った対策は当然である事が伺わせております。
さらに、各座席にはリーフレットが設けられておりまして、ここには「津波が予想される場合のお願い」と書かれたものが見られまして、非常時の対策が取られている事もわかります。この区間には、太平洋や日向灘など、海沿いの区間が多い訳ですので、乗客にも協力していただきたい事がわかるような姿ではないでしょうか。
そして、こちらの画像が「にちりん」が大分駅から宮崎空港駅へ向けて発車する所でありますが、この場合でも、運転士が外に出ましてドアの開閉を行っている事がわかります。やはり、この地区の運転士もワンマン運行は慣れてはいるようですが、2両と4両との違いや、客室の違いなどが伺える所ではないかと思いますので、まさに慎重かつ慎重ではないかとも思う所ではありましょうか。
ここで、残念ながら廃止となりましたワンマン特急列車もありますのでご紹介しますが、令和4年3月を持ちまして、鹿児島中央~隼人~吉松間で運行されておりました「はやとの風」が廃止されております。この廃止は、近年では臨時列車として運行される事がなかった事や、この年の9月より長崎線・佐世保線・大村線で運行されております「ふたつ星4047」に後述の「いさぶろう・しんぺい」に使用されておりましたキハ140-2125とともに転用されておりまして、現在は長崎地区に活躍の場を移しております。
こちらがその「いさぶろう しんぺい」であります。この列車は、熊本~八代~人吉間で運行されておりまして、人吉~吉松間は普通列車として運行されておりました。しかし、令和2年の「熊本豪雨」で運行区間変更を余儀なくされておりまして、「かわせみ やませみ」とともに博多~門司港間を運行した事もありましたが、その後は「小倉工場鉄道ランド」の送迎で運行されたりもしておりましたが、令和5年9月で運行を終了、現在はキハ125形気動車1両とともに、新たなD&S列車であります「かんぱち いちろく」として、博多~久大線~大分~別府間で運行されております。
こちらは、一時期ワンマン列車として運行も、需要が戻った事からワンマン運行しなくなった列車であります、博多~久大線~大分~別府間で運行の「ゆふ」であります。「ゆふ」は、元々3両で運行されておりましたが、「新型コロナウイルス」によりまして需要が減少した事から2両編成での運行もありました。けれども、インバウンド需要もありまして客足が戻った事から、再び3両で設定としまして、利用客が多い時には5両編成での運行も見られるようにもなっております。


ここまでご紹介しましたように、ワンマン特急列車も2両編成から4両編成と存在している事が伺わせております。ただ、2両編成の場合では編成が短い分目が届く所ではありますが、4両編成となりますと目が届きにくいのではないかと思いますし、ワンマン化前の問題とされておりましたキセル乗車も出ていてもおかしくはない所ではあります。そう言った面もありまして、日豊線特急列車では車掌さんが乗務する事もありまして、そう言った防止策も見られてもいるようであります。
今回は、10の列車で運行されております、JR九州のワンマン特急列車に関しましてご紹介しましたが、それだけ見られるようになっているのも、それほど需要が低い区間やワンマンで事足りる区間もある分、それらに対する合理化によってここまで見られている事が伺わせているようではありますが、それによりまして駅の無人化や営業時間の変更などにもありますようにサービスの低下、先述のようにキセル乗車につながる場合もあるなどデメリットな点も見られているJR九州のワンマン特急列車ではありますが、とにかく安全に乗客を運んでいただく事を願うばかりではないかと思う所ではあります。
