夜行需要は旺盛?
2024年7月12日。
やってきたのはバスタ新宿。
ここは日本最大のバスターミナルであり、各地へ向かう高速バスが多数発着しています。
現在は夜の22時過ぎ。中に入ってみると…
すごい混雑!
この時間は夜を徹して目的地へと走る夜行高速バスの発車でひしめき合う時間なのです。
今日は3連休前の金曜日の夜ともあって、普段以上に賑わいを見せているようです。
壁に掲げられているモニターには、いろんな行き先が書かれています。
もちろん多いのは京都・大阪・神戸といった関西方面、名古屋等の中京方面ですが…
それ以外の地域、例えば有名な上高地へ行くバスはこの時間なんと2台が運行されています。
しかもどちらもほぼ満席。
旺盛な需要が伺えます。
こちらがその上高地へ向かうバスです。
前がアルピコ交通、後ろが京王バスが運行する上高地行き。
多くの方が乗り込んでいきました。
この時期で上高地となると、やはり多いのは登山客でしょうか…?
登山となると1日がかりなので朝早くに登山口へ着くことが求められており、その点において夜中に走って目的地へと向かう夜行バスはぴったりな存在といえます。
でも……
個人的にはやはり移動するなら夜行バスより鉄道のほうがいいんですよね~
といっても、夜行列車が衰退して久しい今、鉄道で夜中移動なんて夢のまた夢…
いや、そんなことはありません。
復活!中央東線の夜行列車
やってきたのはバスタ新宿のお隣、新宿駅新南口。
すでに中央本線特急は全て終了しているはずですが…
今日は発車標に1つの列車名が書かれています。
その名は「特急 アルプス 白馬行き」。
23:58と日付が変わるギリギリに発車するこの列車、なんと6年ぶりに復活した夜行列車なのです!
ということで、今回はこの夜行特急アルプス号に乗車していきます。
特急アルプスが走る中央東線はもともと登山客輸送の夜行列車が伝統的に運行されてきた路線であり、国鉄時代には「急行」アルプスや夜行普通・快速が臨時列車も含め多数運行されていました。
急行アルプスは2002年12月1日ダイヤ改正で運行を終了し、その後は臨時快速ムーンライト信州が登山客輸送を担ってきましたがそれも2018年で運行終了。
それからしばらく中央東線の夜行列車の運行は花火大会輸送を除いて無く、もうこれから先設定されることはないのではないかと思われていました。
しかし…
2024年夏の臨時列車において、なんと登山客輸送のための夜行列車が復活…!
今回運行されるのは新宿→白馬間の「特急」アルプス。
急行から特急へと格上げされたものの、伝統の愛称「アルプス」の復活です!
運行日は7月~9月の3連休前日の金曜日、全4日。
久しぶりの夜行列車ということもあり、指定券の予約は困難でしたが…
10時打ちで取れちゃいました…!
5月の新潟駅開業120周年号に引き続いての10時打ち成功。
いつもいつも本当にありがとうございます!
さて、ホームに向かうところですが…
その前に、行っておきたい場所があります。
それがここ。
今回の列車名と同じ「アルプス」を掲げるトイレです。
実はこの場所には以前「アルプス広場」という広場があり、急行アルプスを始めとする中央東線の夜行列車を待つ旅客で賑わっていたといいます。
広場自体は2020年7月供用開始の東西自由通路の用地を提供するために消滅。現在は近くのトイレに「アルプス」の名が冠されていることでその名残りをとどめています。
よく見たら…
「アルプス」の表示とアルプス化粧室が一緒に撮れる…!
このコラボにカメラを構えるファンもいました。
ホームに上がります。
7番線は主に中央快速東京方面行きが使うホームで、特急列車が発車するのはけっこう珍しかったりします。
ホーム上にはすでに多くのファンや乗客で賑わっていました。
やがて…
「まもなく、7番線に当駅始発、特急アルプス白馬行きがまいります」と自動放送が流れました。
なんと愛称付きの自動放送…!
そして、ゆっくりと特急アルプスが入線してきました。
使用車両はE257系2000番台9両編成。
現在は主に「踊り子」に使われている車両ですが、以前は0番台として、特急「あずさ」「かいじ」に使われていた中央東線には縁の深い車両です。
先頭に行ってE257系の顔を撮影。
愛称表示器は「特急」単体。
急行アルプス表示が入っているらしいので期待しましたが、「特急」アルプスには対応していないようです。
側面も同じく「特急」単体。
ドアが開き、車内に入ります。
座席は伊豆の海をイメージした青色のモケット。
窓側にはコンセントが設置されていて、夜行列車としても嬉しい設備です。
座席前ポケットには「伊豆navi」の宣伝が入っていました。
普段は踊り子に使っている車両なので仕方ないですね(笑)
多くの方が乗り込み、車内は満員となりました。
23:58、列車は新宿駅を発車しました。
座席夜行の風景
新宿の街並みを見ながら列車は発車していきます。
すぐに0時を越え、2024年7月13日、2日目となりました。
前に中央快速が走っているためか、特急らしからぬゆっくりとしたスピードで走っていきます。
三鷹…を止まりそうなスピードで通過。
駅近くの三鷹車両センターを見ながらゆっくりと進んでいきます。
「おちこぼれフルーツタルト」の聖地でおなじみ東小金井を通過。
最初の停車駅、立川に停車しました。
立川を出て、しばらくすると、オレンジのラインを車体に巻いた車両がいっぱい並んだ車両基地が見えてきました。
豊田車両センターです。
営業開始前の2階建てグリーン車も止まっていました。
豊田車両センターを過ぎてすぐ、列車は八王子に停車。
横浜線のE233系が休んでいました。
ここを出ると、次は松本まで客扱い停車がありません。
誤って乗り越した場合も松本までの料金の精算が必要、と車掌さんが何度も放送で注意を呼びかけていました。
八王子を発車。いよいよここからは夜行列車の雰囲気になっていきます。
しばらく客扱い停車がない、ということでここで車内の減光を実施!
一部の明かりのみが灯り、薄暗くなりました。
E257系って減光できるんですね~
ちなみにこの列車の前身である快速ムーンライト信州では減光は行われていなかったそうです。
特急化して快適度が増しましたね。
列車は山梨県に入り、富士山麓電気鉄道富士急行線との分岐点・大月を通過。
富士急行線ホームにはJR東日本から譲渡された6000形(旧205系)が停泊していました。
景色を見るのはこれくらいにして寝ようと思いましたが…
…眠れない。
夜行のワクワク感のせいなのか、座席夜行だからか、それとも車内が完全には暗くないせいなのか…わかりませんがなかなか寝付けませんでした。
その間に列車は甲府に停車。運転停車です。
続いて富士見に運転停車。
ここの停車は長く、30分以上止まっていました。
富士見といえば2019年に運転された「諏訪しなの」の終点だった駅。
懐かしいですね。
↑諏訪しなのの乗車記はこちらから
さらに進み、上諏訪に運転停車。
ちょうど足湯の前に止まりました。
↑上諏訪駅足湯について詳しくはこちら
上諏訪を発車するころには空はもう白んでいて、
諏訪湖の湖面まではっきりと眺めることができました。
列車は塩尻を通過して篠ノ井線に入ります。
南松本のタンク車群が見えてくると、松本はあと少し。
松本車両センターの車両群が見えてきて…
5:03、松本に到着しました。
大糸線へ
松本は上高地方面へ向かう松本電鉄上高地線との接続駅。
今日は特急アルプスに接続する臨時快速列車の運行があります。
その臨時列車に乗り換える方を下ろし、少し空席が出たところで松本を発車します。
ここから先、列車は大糸線へと入っていきます。
まずは特急「あずさ」の名前の由来、梓川を渡ります。
しばらくすると列車は安曇野と呼ばれるエリアへと入っていきます。
田園風景の向こうにそびえるのは北アルプスの山々。
雲を被ってはいますが、ところどころで山頂が見えています。
まだ残雪が残っているんですね〜
列車は信濃松川で運転停車。
松本行きの上り普通列車と行き違いです。
もう一度梓川を渡り、
立山黒部アルペンルートの玄関口、信濃大町に停車。
道祖神が出迎えてくれました。
アルペンルートは今年をもってトロリーバスが廃止となることもあり、鉄道ファンにも大注目。
アルペンルートへ行く方もそれなりにいるようで、列車からはある程度まとまった乗客が降りていきました。
↑今年で廃止となる立山トロリーバスの乗車記はこちらから
信濃大町を発車しても引き続き北アルプスに沿って走っていきます。
しばらくすると、車窓に大きな湖が広がりました。
仁科三湖のひとつ、木崎湖です。
大糸線のハイライトであるこの湖、アニメファンにとっては「おねがいシリーズ」の聖地としても有名です。
続いて列車は青木湖の横を通過。
ここから列車のスピードが少し落ち…
少し遅れて最後の運転停車駅・神城に止まります。
神城から2駅。
6:28、6分ほど遅れて列車は終点の白馬に到着しました。
白馬の駅名標と一緒に。
降り立つと少し肌寒く、東京との気候の違いを感じます。
所属区の大宮総合車両センター東大宮センターへと回送されるE257系をお見送り。
白馬といえば北アルプスの麓の地。
ここからはアルプス観光を楽しみたいと思います。
続きます。
★乗車データ
9095M 特急アルプス 白馬行き 新宿(23:58)⑦→白馬(6:22 6:28) E257系2000番台 NA-13編成
※2024年7月12日(乗車駅基準)乗車
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※この記事は暫定版です