【30年前の日記から】タイ国鉄チェンマイ線 山線をゆく 38列車 チェンマイ→バンコク | 旅一郎のブログ

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国鉄(日本国有鉄道)が、最後の全盛期を迎えた昭和47年ー53年までをテーマにした、汽車旅のブログです。

旧型客車亡き後、日本の鉄道旅行は本当につまらなくなりました。そのため海外ネタも載せています。

当時の雰囲気を伝えるものは鉄道にかかわらずアップします

乗車日1994年3月3日。当時の日記です。
タイ国鉄は当時から値上げしておらず、また交換レートも当時1B=4円、2024年現在4.5円とさほど差はない。ホテルは同等のもので1000円〜なので3倍くらいか。



 3月3日は朝から何もすることがなかった。
 昨日バンコクから37列車快速でチェンマイに着いたが3等座席のためレポートする気にもなず。疲れをとるためすぐホテルへ行く。

 2人部屋で80B(320円) 、ホットシャワー・トイレ付、きれいな部屋だった。
 翌日、昼頃から30分ほど歩いて駅にゆく、腹がへったのでラーメン(15B)を食べる。中華三味のようでうまい。
 駅に戻ると、発車1時も前から列車は入線していた。

▲チェンマイ駅に入線した38列車、ここのホームは涼しくて昼寝には最適だ。

 行き止まり式ホームを歩いてゆく。後ろから3等車が6両、2等車と連なり、前4両が寝台車で私は前から4両目の5号車に乗る。

 扇風器が回っているがムシ暑い。ひさびさの寝台車なので心が弾む。この寝台は内装がオロネ10ようなプルマン式で、外板はシル・ヘッダーとあわせてマロネ 40のようでもある。2等はリクライニングシートで日本と同じ。3等はこれまた旧客(43型を思わせる車両である。ただ窓が下降式なのが残念、(一部に上昇式もある。)
食堂はないようなので駅の立売りでフライドチキンともち米を買う。20B(80円)

 パラパラと乗客がふえてきた。2等車や寝台には日本人の姿もみえる。
いつもは座席派の私だが、今回は寝台を利用た。というのは3等座席151B(600円)、2等寝台345B(1400円)でその差800円ほどだからだ。
 2等座席の255B(1000円)ではその差はさらに縮まる。タイ国鉄のチケットはコンピュータ化され、全国どこでも予約できるので予定の決まっている人は先に切符を買っておくとよいだろう。
15:15着の103D、 3両編成のDCをうけて15:30 タイフォンを2回鳴らして発車。

▲ブルマン式2等寝台車

 駅を出ると左にカーブ。夕日を背に南下してゆく。熱でレールが変型するのを防ぐためだろうかジョイント音が細かい。10分ほどして駅を過ぎる。
 このあたりから木々が増えだすが、まだ平地である。ここちよい風が夏の香りをはこぶ。

 チェンマイといえば山深いイメージがあるが意外に平地で実はタイではバンコクに続く2番目の都市であり、日本領事館をはじめケンタッキー等ファーストフードの出店も盛んな都市である。
空はどこまでも青く夏色だ。

 15:53 一つ目の停車駅ランプーンに着く。
3等車に多くの乗車があった。タブレットを交換する。

 この駅を出ると、列車は山に向かう。左右にカーブしながらエンジン音がしだいに大きくなってゆく。時折、枯れ木が目にとまり、見た目は冬景色だが気温は暑い。駅を通過するとこんどは桜が満開列車の中で四季が楽しめる。

 16:30頃 白いコンクリートの橋を越えると急に山深くなった。スピードは20km/hほどになり、カーブをくり返す。33%以上あると思われる急勾配をゆく、これぞチェンマイ!

▲ Sカーブをくりかえし山頂へゆっくり進んでゆく。

 もうずいぶん登ってきた。 16:45、3分おくれてクンタンに着く。スイッチバック式の駅で谷のまん中にある小さな駅だ。タブレットを交換し、発車。
 ブレーキをゆるめると、客車が逆走してしまう。坂がきついのだ。列車はゆっくり前進する。こんな山線を蒸気時代はどう走っていたのだろう。チェンマイの駅前には蒸気が保存してあったが、9600型よりも小さくとても登れそうに見えない。

 すぐにトンネルに入る。サミットである。エンジン音もいくぶん軽くなった。トンネルを抜けるとこんどは下り、平地に入ると急にスピードが増した。すごいスピードだ。

 ホンチャットで運転停車する。タイフォンを鳴らしやってきたのは3両のDRC(デラックスレイル・カー)だ。
日本製のちょうどJRの新型特急のようなスタイルだ。

 17:39 ナコーンランパンに到着、かなりの乗客があった。

 反対側のホームには2両編成の混合列車が停車中、タブレットの交換をする。 
17:50定刻、「カーン」と鐘の音が鳴き、発車。鐘の合図には覚えはないが、なんとなく旅情をさそう。

ナコーンランパンで多くの乗客がのりこむ

★タイ国鉄チェンマイ線の時刻表
これはタイ語(パーサータイ)版でローカル列車も
載っている。
時刻表はおもな駅でもらえる。日本のような冊誌
形式ではなくパンフレットのようだ。
南版と北東版があり、それぞれに英語版、タイ語版がある。
英語版はローカル列車を省略しているため、2種類もらったほうがよい。(もちろんタイ語がよめ
るなら英語版は必要ない。)
バンコク・チェンマイ間の直通列車はDRC(特急)1、急行 1 、快速4。普通は直通列車はなく途中で1泊しなければならない。
バンコクに近づくほど列車は多くなり、ドンムアン(空港)-バンコク間は1時間に2本程度になる。

 18:13 山の上のカーヴした信号所で交換のため
停車 チェンマイ行き列車が通過してゆく。
 外はかなり暗くなってきた。空も少し雲が出ている。
 焼け畑のものかなしい景色をゆっくり目に走る。トウモロコシ畑の向こうには山がいくつも見える。それが小型の古墳のようにみえ。気味がわるい。人気も全く感じない。
 車内はくつろいだ雰囲気で食事の時間になった。食堂車はないが 出前のサービスがあり、よく利用されている。しかしチェンマイで買ったチキンがあるのでそれを食べる鶏肉はくさみもなく、固めでおいしい。モチ米も鶏の油にあっていた。 のどがかわいたので車販でコーラー
(15B)を買う。外では10Bなのでやはり車販は高い。

▼駅で買ったフライドチキンとモチ米・ビニールにつつんであり清潔そうだ。

18:40 たそがれのメーモに到着、こぎれいな
にサビた蒸気用の給水塔があり、印象的だった。そこだけを見ていると昭和40年代のバラック
の夕日(なんのことか?)のようで不思義な懐かしさが漂う。

 外はすっかり暗くなった。山の中を走っている。こんな所で列車からおちたら大変だ。文明を
感じさせるものは唯一この列車の明りだけ。いよいよ真っ暗になった。山肌にヘッドライトだけが光るのが見え、命を知らしめているようだ。ここにおきざりにされたら と思うとゾッとする。恐いので窓を閉めた。
 19:00すぎ車掌が来た。ベットの組み立てだ。私は上段なので今まで肩身が狭かったが、これで大丈夫である。しかし思ったより狭い。とはいえリネンがきれいなのでGood。中国とは段ちがいだ。外人料金がない分。こちらの方が安いし。

 ベッドがてきてからは早々と横になるしかない。小窓はないが暗いので思じことだ。また
見ているとつらい。

19:41 駅に着く。座席車に多くの人が乗りこむが、寝台車は静かだ。車掌が上ぶとんをもってきた。

 21:15 アタラデット着、女の子が寝台車に乗りこむ、駅は座席車の方に売り子がいるだけだ。
 客車二両の混合列車と交換する。駅に停車中、虫の声がとても趣き深い。まだ起きている人がいるらしく話し声がきこえる。

 23:00を回っても車内灯はついたまま、カーテンが薄いのですけてみえる。もう話し声もない。
静けさが支配していた。レールの音だけが続く。
 
 いつの間にか眠っていた。人が何か言っている。車掌が起こしにきたのだ。時刻は5:20。
もうすぐバンコクなのに寝台をたたむようだ。
空はまだ暗いが左手に高速道路が走り、オレンジライトがまぶしい。ドン・ムアンの空港はもう過ぎてしまっていた。
 駅に到着。バンコクの一つ手前の駅である。
定刻なら5:11である。もうバンコク市内なので
外灯が明るい。右手には小川が流れている。
 歩く人に一日のはじまりをおぼえる。
 5:32、駅を発車、すぐエアポート行DCとすれ
ちがう。トゥクトゥクも走っている。
 サンセン 5:35着。もう一駅でおわりだ。反対側のホームにはチェンマイ方面にゆく乗客が多く列車を待っていた。37分発車。 
 しばらくして王宮ホーム前をスピードを落とし
て通過。ポイントをゆっくりまたいで最徐行。

 5:55 25分遅れで、ゆっくりとバンコク中央駅 ・ホアランポーンに到着した。
到着と同時にたくさんの乗客がホームにあふれ出た。日本人をはじめとする外国人も多かった。

▲ 5:55   25分遅れてホアランポーン(バンコク中央駅)到着。ヨーロッパ式の行き止まり駅でドームが美しい。