JR西日本の京阪神「値上げ」と「値下げ」申請 運賃区分の統合・編入で平準化



JR西日本は5月15日、京阪神都市圏の運賃体系を見直すと発表した。京阪神都市圏で複数設定されている運賃区分を統合する。同日、国土交通大臣に普通旅客運賃と通勤定期旅客運賃、通学定期旅客運賃の上限変更認可を申請した。

京阪神都市圏を走るJR西日本の列車。【撮影:草町義和】

認可された場合、JR西日本は来年2025年4月1日に運賃を改定する予定。区間によって値上げされる場合と値下げされる場合がある。

JR線の運賃区分は「幹線」と「地方交通線」に分かれているが、京阪神都市圏の幹線では「大阪環状線内」「電車特定区間」という運賃区分があり、幹線より安い運賃が適用されている。現行の普通旅客運賃の賃率は、安い順に大阪環状線内(13.25円)、電車特定区間(15.3円)、幹線(16.2円)。

改定後は大阪環状線内と電車特定区間を「電車特定区間(新)」に統合。さらに電車特定区間に接続している幹線の一部区間を電車特定区間(新)に編入する。電車特定区間(新)の賃率は15.5円で、現行の電車特定区間から1.3%の値上げだ。定期旅客運賃も大阪環状線内と電車特定区間、一部の幹線を電車特定区間(新)に統合。現行の電車特定区間の運賃から1.3%値上げする。

従来の運賃区分と改定後の電車特定区間。【画像:JR西日本】

このほか、JR西日本は上限運賃変更の認可後、上限の範囲内で各種割引運賃を届け出る方針。新たに電車特定区間に編入される幹線の区間には、鉄道駅バリアフリー料金を設定する予定だ。

並行する鉄道との競合区間などで設定している割安な運賃は、基本的には変更しない。通学定期旅客運賃は大学生用を上限として申請しており、高校生などに対しては1割引、中学生などに対しては3割引の割引定期乗車券を設定する。小学生などに対して設定する割引定期乗車券は、子供の通学定期運賃(通学定期運賃の半額)を3割引した額になる。

鉄道駅バリアフリー料金の金額は従来通り。普通旅客運賃は10円を加算し、通勤定期旅客運賃は1カ月300円、3カ月900円、6カ月1800円を加算する。通学定期旅客運賃には加算しない。

JR西日本によると、会社発足後の輸送改善などによる利用状況の変化を踏まえ、京阪神都市圏内で同じレベルの輸送サービスを提供しているエリアについて、運賃体系を統合して平準化を図ることにした。運賃収入は全体としては増収にならない想定で設定したという。同社はこれによりシンプルで分かりやすい運賃体系にするとともに、バリアフリー整備の加速などサービス向上に取り組むとしている。

値上げ・値下げの区間は

普通旅客運賃(鉄道駅バリアフリー料金含む)の場合、大阪環状線内は初乗り(1~3km)が現行140円のところ10円値上げの150円。10kmまでの区間も10円値上げ(4~6km:170円→180円、7~10km:190円→200円)され、11~15kmは30円の値上げ(210円→240円)だ。現行の電車特定区間も1~3kmは現行140円が10円値上げの150円で4~10kmも10円値上げされるが、11~200kmの区間では現行と同額か10円の値上げ、20円の値上げに分かれる。

一方、改定後の電車特定区間に編入される幹線では、1~3kmが現行と同じ150円だが、50kmまでの区間は同額か10円の値下げ、20円の値下げに分かれる。51km以上の区間は51~60kmが30円の値下げで、距離が長くなるごとに値下げ幅が大きくなり、101~120kmでは現行1980円のところ100円値下げの1880円。181~200kmは現行3410円が210円値下げされ3200円になる。

現行運賃と改定後の運賃。【画像:JR西日本】

おもな区間でみると、大阪~天王寺11.0kmは現行210円のところ30円値上げの240円。大阪~茨木14.6kmは現行230円が10円値上げの240円になる。大阪~京都42.8kmは現行の特定運賃のままで580円だ。一方、大阪~草津65.0kmは現行1170円から50円値下げされて1120円になる。

※一部修正しました。(2024年5月16日16時30分)

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