今回の【駅】シリーズは、
神奈川県小田原市南部、相模湾沿いの断崖に位置する東海道本線【愛称:東海道線】の駅で、駅前には集落があるものの規模が小さく、東海道本線のJR東日本管轄区間において唯一の無人駅かつ最も乗車人員が少ない駅、そして何より駅からの相模湾の眺めがとても素晴らしい駅である、
根府川駅 (ねぶかわえき。Nebukawa Station) です。
駅名
根府川駅 (JT 18)
所在地
神奈川県小田原市
乗車可能路線・系統
JR東日本:東海道本線【愛称:東海道線】
隣の駅
東京方………………早川駅
熱海方・神戸方……真鶴駅
訪問・撮影時
2021年7月
駅概要
駅形態……………地平駅(1922年開業)。
駅舎………………1924年完成(再建)の木造駅舎が西側にあり、現役です。
出入口……………西側のみ。東からは約400m南の白糸川橋梁をくぐって西側へ。
バリアフリー……×(跨線橋は階段のみ。車いすの場合はJR東日本へ連絡を)。
点字ブロック……駅舎内~改札~各ホームに設置。
駅前広場…………○(小規模。バス停留所・タクシー乗り場併設。トイレ有)。
駅舎です。上写真は南東を、中写真は東を、下写真は北東を望む。
根府川駅は断崖にあり、崖上の西側に駅舎があります。駅舎は跨線橋と同じ高さであるため、橋上駅舎と似た感じです。
駅舎は瓦葺きの木造平屋建てで古いですが、完成したのは開業年の1922年ではなく、2年後の1924年です。
開業時には初代駅舎がありましたが、翌年の1923年に発生した関東大震災により地すべりが発生して駅施設が流失してしまったため、その翌年に現在の2代目駅舎が再建されました。
駅出入口は段差がありませんが、跨線橋が階段のみのため、根府川駅はバリアフリー非対応です。
出入口前には飲料自動販売機が設置されています。
駅舎の左隣にはトイレの建屋があります(下写真左。車いす対応トイレ併設)。
また、駅舎前には小さな駅前広場があり、簡易ロータリーが整備されています。
路線バス停留所、「ヒルトン小田原リゾート&スパ」の送迎バスのりば、タクシー乗り場が設けられています。
駅前です。駅舎出入口前より西を望む。
駅舎はホームより高い位置にありますが、駅前集落はさらに高い場所にも形成されています。
前方を県道740号線が左右方向に延びており、左の坂上が集落や白糸川橋梁方面、右の坂下が崖下の海岸を通る国道134号線方面です。
駅前です。南を望む。後方の左側に駅舎があります。
駅の西側には集落が形成されていますが、規模は大きくありません。商店は少なく、駅近くにコンビニは存在しません。
また、別荘の数は分かりませんが、湯河原や真鶴と比較すると少ないと思われます。
リゾート施設もゼロではありませんが少ないです。約2km北西の山中には「ヒルトン小田原リゾート&スパ」があります。
そして、400mほど南へ進むと、海沿いには谷を跨ぐ東海道本線の白糸川橋梁があります。ワーレントラス橋です。
橋梁下の谷にも集落が形成されています。
一方、駅東側は相模湾で、4番線ホームからはよく見えます。
線路と海の間の崖下には国道135号線が通っていますが、断崖が急過ぎてホームから国道や国道沿いに点在している観光客向けの店舗をまともに見られません(東京方の撮影禁止エリアからは国道がよく見えますが…)。
尚、駅東側には民家がほとんどありません。
改札口です。東を望む。
駅員配置………なし(無人駅。改札外にインターホン有)。
自動改札機……△(簡易Suica改札機が入場用・出場用とも各1枚)。
ICカード………『Suica』のエリア内。但し、定期券を除き
JR東海エリアへ跨がっての利用は不可。
有人通路………なし(無人駅のため)。
幅広通路………○(通路は1ヶ所のみで、車いす対応幅。点字ブロック設置)。
窓口……………なし(改札口右側の窓口は板で塞がれています)。
自動券売機……あり(改札口の右手前。ICチャージ可)。指定席券売機なし。
自動精算機……なし(乗り越しの場合は事前に車掌へ申し出て下さい。
ICチャージは改札外の自動券売機で)。
その他設備……乗車駅証明書発行機(改札外)、きっぷ回収箱(改札内)。
付帯設備………ベンチ(改札外)、飲料アイスの自販機(駅舎外)。
トイレ…………改札外(駅舎の外にあります。車いす対応トイレ併設)。改札内は×。
売店……………なし。
コンビニ………なし(最寄店舗は約1.2km南、国道135号沿いの「ローソン」)。
そして改札を通って左へ曲がり、すぐに右へ曲がると各ホームに通じる跨線橋で、ここまでは段差なく移動できます。
尚、跨線橋と各ホームの間は階段しかありませんので、車いすで根府川駅をご利用の場合は事前にJR東日本へお問い合わせ下さい。
写真は北を望む。左が改札口、前方右が跨線橋です。
正面には鯉が泳いでいる池があり、その左側には1923年の関東大震災での犠牲者追悼のために建立された『関東大震災殉難碑』があります(Wikipediaの本文を引用)。
跨線橋側(改札内)より改札口を撮影。南を望む。右前方が改札口、左が跨線橋です。
改札内の方には出場用の簡易Suica改札機、そして集札箱が設置されています。
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跨線橋です。上写真は外側より、下写真は内側より、いずれも東を望む。
支柱や側壁は青く塗られています。結構古いです。
跨線橋の向こう側には相模湾を一望できます。
各種駅名標です。上の2つは電照式で、バックライトはLEDです(中写真は蛍光灯かもしれませんが)。
JR東日本の標準デザインで、多国語が併記されています。
矢印の中央には東海道線のラインカラーであるオレンジ色が標示されています。
駅ナンバリング「JT 18」も併記されています。
また、中写真は4番線に設置されている駅名標で、架線柱に掛けられている小型のものです。
駅構造……地上駅(断崖の斜面にあります)。北北東~南南西方向。
配線………単式ホーム・島式ホーム各1面の計2面3線、
東側に保線用側線と保線基地あり。
かつては左端(駅舎の崖下)に貨物専用の1番線がありましたが、廃止されて線路が撤去されました。1番線は現在、欠番となっています。
左(西)の島式ホームは左が2番線で上り東京方面、右が3番線で上下副本線(待避線)となっています。
右(東)の単式ホームは4番線で下り熱海・神戸方面です。4番線の反対側には保線用側線があり、東京方に保線基地があります。
保線基地の右手には断崖があり、その下に国道135号が通っています。さらに東には相模湾が広がっています。
ホーム有効長……15両分。
近年まで12両分しかなく、15両編成はドアカットを実施していました。
ホームドア………なし(2021年7月時点)。
ホーム幅…………2・3番線は全体的に狭く、両端は特に狭いです。
4番線は中ほどは広いですが、両端は狭いです。
上屋(屋根)………2・3番線は中ほどの約1両分、4番線は中ほどの約5mのみ。
ホーム上設備……ベンチ、飲料自動販売機(2・3番のみ)・待合室(2・3番のみ)。
上2枚は3番線より、下1枚は跨線橋より、いずれも東京方を望む。
神戸方の旧・1番線側には使用されていない階段があります。東京方を望む。
跨線橋がいつ供用開始となったのか分かりませんが、構内踏切の遺構のようにも思えます。
また、旧・1番線の東京方には貨物ホーム跡と思われる構造物が残っています。東京方を望む。左後方が駅舎です。
昔はこの場所で貨物扱いを行っていたと思われます。駅舎の北側に相当し、ホームと駅外道路との高低差も小さいです。
上1枚は2・3番線より、下1枚は4番線より、いずれも熱海方・神戸方を望む。
右から駅舎、2番線~4番線、保線用側線、相模湾の順です。
各ホームの東京方の端は後から延伸された部分と思われ、ホーム幅が非常に狭いです。
列車が通過する際は、この場所から離れて広い場所へ避難して下さい。
発車メロディーは、
2番線……WaterCrown(低い)
3番線……WaterCrown(低い)
4番線……GotadelVient(半音低い)
です。
4番線東京寄りの東側には保線基地があり、車庫も設けられています。
写真は東京方を望む。
上写真は2・3番線より、下写真は4番線より、いずれも東京方を望む。
各ホームとも端は狭くなっていますが、特に4番線側のホームが狭い部分は、いい構図の写真を撮影できるため、「撮り鉄」の人が殺到する恐れがあることから、撮影禁止ゾーンに指定されています。
この先、右側に相模湾を眺めながら断崖の険しい所を北上します。左側は概ね山林です。所々にトンネルがあり、谷あいには集落が見られます。根府川駅から数えて2番目の集落である石橋地区の谷を鉄橋で越えると短いトンネルをくぐり、右手に西湘バイパス・石橋料金所を見て走るともう一度短いトンネルを抜けます。そして相模湾が遠ざかり、右手の住宅地を見ながら北上すると左側にも住宅が現れ、早川駅へと至ります。
2・3番線より神戸方を望む。こちら側も各ホーム端が狭いです。
この先、すぐに白糸川橋梁を渡り、根府川の集落を乗り越えます。左手には相模湾、右手には東海道新幹線が見えます。その後はトンネルの連続で断崖区間を南下し、真鶴町に入ると相模湾が遠ざかります。そして進路を南西に変えると市街地に入り、真鶴駅へと至ります。
あとがき
下車(乗車)時・・・2021年。
何度も通ってきましたが、2021年になってようやく下車できましたw 断崖にある2面3線の駅で、東側は相模湾が一望できます。西側の崖上に駅舎があります。駅前は山の斜面に集落が形成されています。尚、真鶴や湯河原とは違い、リゾート地の雰囲気は感じられませんでしたが、約2km西の山中には「ヒルトン小田原リゾート&スパ」があり、私の訪問時は送迎バスがやって来ていました。
鉄路のみで
東京から・・・当日到達可、日帰り往復可。在来線(東海道線)でダイレクトアクセス可能。
大阪から・・・当日到達可、日帰り往復可。東海道新幹線~熱海で東海道線東京方面に乗換。
食料・飲料 (500m以内)
コンビニ・・・・・・なし (最寄店舗は約1.2km南、国道135号沿いの「ローソン」)
飲食チェーン店・・・なし
大阪からの到達難易度もさほど高くありません。東海道線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は根府川駅でも途中下車してみて下さい!
(参考:JR東日本のHP、Departure Melody Room、地理院地図、Google地図、Wikipedia)