転轍器

古き良き時代の鉄道情景

早朝の豊橋平野

 「さんすうちい(347M)」と呼ばれた大垣夜行を下車、夜明前に着いたのがここ、豊橋から西へ数キロの所、東海道本線飯田線が並んで豊川放水路を渡る場所であった。何とも不思議なことに飯田線の線路を名古屋鉄道の特急電車が走っているのには度肝を抜かれた。ここに立っているとブルートレインからフレートライナー、名古屋ローカルの80系電車、飯田線の古豪たちと名鉄パノラマカーなど、さまざまな汽車・電車を堪能できた。 写真は全て:S51(1976)/3/26

 私が立った魅惑の鉄道地帯の略図。豊橋から東海道本線の複線と並んでいた飯田線の複線は、豊川放水路手前で上下線が離れ、下り線は土手を下りた辺りで名古屋鉄道本線下り線を分岐する。飯田線上り線は飯田線下り線をオバークロスした名古屋鉄道本線上り線と合流し、1線のトラス橋で豊川豊水路を渡る。

 飯田線下り線は豊川放水路を渡ると大きく右にカーブして25‰下りで東海道本線から離れる。豊橋6:20発中部天竜行623Mが通り過ぎる。中部天竜8:42着。 飯田線下地~小坂井

 名古屋鉄道上り線と飯田線上り線の合流点。飯田線下り線は東海道本線と離れて北西に進路をとり、名鉄下り線新岐阜方を左に分けて画面左、名鉄上り線の築堤をアンダークロスする。飯田線上り線は画面手前に進み、豊川放水路を単線橋梁で渡る。

 飯田線独自の形式、クハユニ56とご対面。  飯田線下地~小坂井

 リベットが並ぶウインドシルとウインドヘッダーのクモハ54001〔静ママ〕は威風堂々としている。 飯田線下地~小坂井

 EF6648〔関〕牽引のフレートライナー 東海道本線豊橋西小坂井

 静岡発米原行1527Mは265.7Kmを走る長距離電車だ。時刻表を見ると、行先は大垣・米原とあり、「米原行の車両は名古屋から連結」の但し書きが添えられていた。静岡からのユニットは大垣まで、名古屋で別ユニットを足して名古屋~大垣間は2ユニットで運用されるものと思われる。 東海道本線豊橋西小坂井

 153系だろうか、湘南色になった167系だろうか。 1522M 東海道本線豊橋西小坂井

 EF65537〔東〕の牽く6レ“みずほ”が通過。名古屋6:11発、次は静岡で8:33着。 東海道本線豊橋西小坂井

 独特なミュージュックホーンの名鉄特急は豊橋新岐阜間約100Kmを1時間20分で結んでいた。 7000系パノラマカー 名古屋鉄道本線豊橋~伊奈

 何とも奇妙な地面を這うような電車が通って行くのに驚いた。この不思議な電車は「いもむし」の愛称の名鉄3400系と称する昭和12(1937)年に登場した18m級2扉流線形電車で、当時の流行を採り入れた由緒ある車輛であった。 名古屋鉄道本線豊橋~伊奈

 名鉄キハ8000系は国鉄キハ80系をトレースして登場、高山本線は飛騨古川まで乗入れていた。先頭車6輛が入った8輛編成は何とも壮観だ。急行“北アルプス”は名鉄神宮前発着で撮影時の豊橋からのこの列車は何だったのかはわからないままだ。 名古屋鉄道本線豊橋~伊奈