水路の造形(1)石積み擁壁の展開図を描く。 | 16番ゲージレイアウトのこと..など

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16番ゲージの鉄道模型レイアウト・白縫鉄道川正線の制作記です。

 最初に考えていた水路の断面図はこうでした。

最初に考えた水路の断面図

 石積みの擁壁が直立していますね。

 それなのに、試作した水路の擁壁は斜面になりました。特に理由は思い当たりませんが、こっちの方が見慣れた形状なので、自然と手が動いたのでしょうね。

水路の試作品

 やっぱり、こっちの方が良いですね。擁壁は斜面にすることに決めました。

擁壁の試作品

 擁壁の石積みは、上写真のように、1ミリ厚のスチレンボードに表現するのですが、ここで問題が発生しました。

 川正線の水路は、真っすぐではなく、微妙なうねりや大きな曲がりがあるのです。

川正線の水路形状

 そして、擁壁が真っすぐでない場合、下図のとおり、直立した擁壁と斜面の擁壁では展開図の形状が異なるのです。

斜面のある曲がった擁壁の展開図例

 きっと誰もが気付くことだと思いますが、迂闊な私はこのことに気付かず、長い長方形の石積みの制作を黙々と続けていたのでした。

 それがある程度できたところで、水路に沿ってスチレンボードを曲げてみたら、全く地形にフィットしません。心の中で怨嗟の声を上げましたよ。

 

 かくなる上は捲土重来、再チャレンジです。

 そのためには、擁壁の展開図を正確に描かなければなりません。

 試行錯誤の末に辿り着いた作図方法について、こんな形の擁壁を例に、CADを使った作図方法を説明してみます。

擁壁の試作品の形状

 まず、擁壁の高さと傾斜角度を決め、擁壁を横から見た図を描きます。

擁壁の断面図

 次に、水路の底面形状を切り出して、スキャナーで読み取り、CADに取り込みます。

 私のスキャナーは現寸で読み取ることができないので、定規を一緒に読み取って、CAD上で拡大・縮小を行い、現寸に合わせます。

 そして、擁壁を上から見た図を描きますが、その準備として、CAD上で水路の底面形状を写し取ります。この時、曲線部は短い直線で構成します(私の経験では、実際の測量でも、曲線部は短い直線を組み合わせていました)。

擁壁作図手順1

 形状を写し取った線は、擁壁の底辺になります。これに以下の作業を加えて、擁壁を上から見た図を完成させます。

 

①擁壁の底辺と上辺の間の、上から見た距離は、図1の底辺の長さに等しいので、それぞれの底辺から5.53ミリ離れた平行線を描きます。

擁壁作図手順2

②平行線の交点と対応する底辺の端点を結べばできあがりです。

擁壁作図手順3

 これで、上から見た図は、四角形の集合体になりましたね。

 次は、この四角形ひとつひとつを平面図に描き起こします。

 平面図とは、擁壁面を垂直に見た場合の形状のことを指しています。

擁壁作図手順4

 平面図を描き起こす方法は以下のとおりです。上の図2で赤丸で囲んだ四角形を例に説明します。

 上の図から四角形を抽出し、底辺を水平に直したところからスタートです。

 

①上から見た図と平面図の違いは、Σの長さです。平面図のΣの距離は、図1の斜辺の長さと同じです。

②上辺となる線分Bを線分Aから17.87ミリ離れた位置に移動します。

③線分Aと線分Bの端点同士を結びます。

擁壁作図手順5

 

 この作業を繰り返して、四角形の平面図を組み合わせると、こんな展開図ができあがります。

 

擁壁作図手順6

 

 展開図を切り抜いて、水路の底面と合わせると・・、ぴったりです!

擁壁の試作品

 考えてみれば当然の作図方法ですが、ここに辿り着くのにかなり苦労しました。

 この作業、意外に時間がかかり、しばらくはパソコンがお友達です。パソコンを睨みながら、鉄道施設とは関係のない図面を引いていると、「これは鉄道模型?」という思いがしてきますが、私の模型鉄道には不可欠なものなので、これも鉄道模型です。

 さて、そんな作業を続けていると、川正線の運転もダイヤ運転なんかに拘らず、特急列車をぶっ飛ばしたくなりました。

 まあ、言うほど飛ばしてはいませんが、少年時代に憧れた特急列車も、たまには良いものです。

 本日も、ご訪問ありがとうございました。