関東鉄道「京成電鉄の完全子会社」に 茨城の非電化路線を運営



関東大手私鉄の京成電鉄は4月26日、同社グループの関東鉄道(茨城県)を株式交換で完全子会社化すると発表した。同日、両社の取締役会で決議し、両社間で株式交換契約を締結した。

関東鉄道(左)と京成電鉄(右)の列車。【撮影:草町義和】

関東鉄道1株に対して京成電鉄0.133株を割り当てて交付する。関東鉄道は6月25日に開催される株主総会で株式交換の承認を受ける予定。9月1日に株式交換を実施して京成電鉄の完全子会社になる予定だ。

関東鉄道は取手~下館51.1kmの常総線と佐貫~竜ケ崎4.5kmの竜ケ崎線を運営する鉄道会社。いずれも非電化路線だが常総線の取手~水海道は利用者が多く複線化されている。茨城県南部を中心とした路線バスも運営している。

1922年に鹿島参宮鉄道として設立され、1924年に石岡~鉾田を結ぶ鉄道路線を開業。1944年には現在の竜ケ崎線を運営していた竜崎鉄道を合併した。戦後の1965年、現在の常総線や土浦~岩瀬を結ぶ鉄道路線を運営していた常総筑波鉄道を合併し、現在の社名に改称。1979年に石岡~鉾田の鉄道と土浦~岩瀬の鉄道をそれぞれ鹿島鉄道と筑波鉄道に分社化したが、1987年に筑波鉄道の鉄道路線が廃止され、2007年には鹿島鉄道の鉄道路線も廃止された。

非電化の常総線を走る列車。【撮影:草町義和】
鹿島参宮鉄道時代に運営していた石岡~鉾田の鉄道は鹿島鉄道への分社化を経て2007年に廃止された。【撮影:草町義和】

京成電鉄は1959年から鹿島参宮鉄道と常総筑波鉄道の株式を保有。関東鉄道発足時点の株式保有割合は34.42%だった。2019年、京成電鉄が関東鉄道に対し株式公開買付(TOB)を実施して連結子会社に。今年2024年4月26日時点の株式保有割合は60.54%となっている。

京成電鉄によると、両社の経営環境は人口減少や少子高齢化などを背景に将来的な不透明さがあり、スピード感をもった事業基盤や競争力の強化を図る必要がある。その一方、関東鉄道の連結子会社化により同社とは資材の共同購入など緩やかな連携を図っているが、「両社がともに独立した事業運営を行っている現状においては、経営資源の効率的な利活用や機動的な意思決定等が必ずしも十分に行われていない」とし、昨年2023年11月には関東鉄道に対し完全子会社化を提案したという。

京成電鉄は2022年9月にも新京成電鉄を完全子会社化している。2025年4月には経営の効率化や意思決定の迅速化を図るとして、京成電鉄が新京成電鉄を吸収合併する予定だ。

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