レール削正車 OML-001 / 西広島駅
昨日は新幹線用のレール削正車をUPしましたが、今日は在来線用のレール削正車の写真をUPします。
新山口駅と違って西広島駅での留置だったので、結構な至近距離から撮影することができました。
新幹線の保線車両は新幹線のテーマへ一括していますが、在来線の保線車両は1つに統合していません。
かつての検測車 443系は″国鉄形特急 電車•気動車″ですが、現在の検測車 キヤ141系やDEC741形は″機動車•DC・HV etc.″に分類しています。
保線車両は法律上、鉄道車両ではなく工事機械なので、テーマは″国鉄•JRの車両じゃない その他いろいろ″へ分類しています。
新幹線用レール削正車は遠目での写真でしたが、今回は近くからしっかり見られるので、そのギミックと重厚感が伝わります。
これだけのメカニカルマシーンでありながら、鉄道車両ではないと言われると反対に違和感を感じます。
しかし最先端技術を投入した科学の結晶である故に、鉄道車両ではなく工事機械 = 保線車両であり、メカニカルマシーンなのである訳です。
レール削正車が何であるかは昨日の記事で語ってしまったので、この車両はその在来線用であるとしか言えないのですけれど。
レールの番線に関しても、これまでに西広島駅の説明で何度か解説しているので、今更ではありますが、今一度ここで簡単に述べてみます。
まずレール削正車が止まっている線路は、かつて西広島駅の北側へ広がっていた、西広島貨物駅への引込線で、上り側へ残っている部分が留置線として活用されている状況です。
貨物駅だったので当然ながら下り側にもポイントと引込線があったのですけれど、こちらはポイントごと撤去されていてその痕跡を見ることはできません。
すなわち貨物駅引込線は西広島駅5番線だった訳ですが、レール削正車の右隣の線路が旅客用の4番線です。
貨物ホーム廃止の後、レールを逆U路にまげてレールの終端とするタイプは、第3種車止めと呼ばれますが、これは己斐踏切から写真を撮りました。
こうして保線車両が入線することで、かつての貨物ホームの遺構が有効活用されている訳ですが、枕木が置いてあるだけで車止め標識が無いのは、もう鉄道車両は入らない証しでもあります。
と言うことで、踏切を渡ったので線路沿いに1m未満の生活小路から、ちょっと枯草が邪魔ではありますが、身近から観察します。
レールテック3710・形式はOLM-001と表記されていますが、この車両の形式以外にガラス窓へ型式表示が貼られていました。
-型式認定証- | |
使用制限 | A |
認定番号 | 中統施803RT在 |
保一MC-MS-Z-A | |
有効期限 | 2027年3月31日まで有効 |
登録番号 | 2610 |
認定者 | 西日本旅客鉄道(株) 中国統括本部 施設部課長(保線) |
と読めます。
この″型式認定証″は、もう少し下の方へ写真があります。
レール削正車なのでレールを補正研磨する専用マシンですから、その削る単位はミリ単位になります。
車輪とレールの接触面積は電車と機関車では異なるものの、新幹線とあまり変わらない数値になります。
レールと車輪が接触しているのは、車輪幅の内側部分とフランジの上部のみで、ほぼ折れ曲がったつけ根の部分だけです。
1輪で1.5m㎡弱の接触面で左右両輪、1台車4輪で1両8輪なのは電車で、EF210形だと6軸12輪がレールと接触しています。
新幹線と比べてわずか100~130km/hの速度ではありますが、レール表面に波状摩耗や偏摩耗があると、1両の前後で または 1台車の前後で、レールの高さが違ってきます。
もちろん乗り心地に影響は与えますが、強風時の脱線誘発に繋がる可能性もあり、脱線が発生しなくとも沿線への振動や騒音の被害を与え続けます。
そこで削正作業を実施する訳なのですが、レールと車輪の接触面は非常にデリケートで、仕上げもミリ単位で完成させます。
なので、作業には厳密な設定が必要となるのですが、それはコントロールパネルの操作であるものの、大まかな許容値は常に把握しておかねばなりません。
それが車体に書いてある各種のアルファベットと数字なのですが、最も重要なのはR-50の表記で、半径50mのカーブはわずか1m程度の距離でも、注意しなけれぼなりません。
ましてや半径50m未満のカーブだと、正確な削正ができないので僅か数ミリでも削れなかったり削り過ぎたりを招き、自然疲弊以上の劣化を与えてしまいます。
車両としてそこを通過できない訳では無いようですが、半径50m未満のカーブの距離が長めだと、余裕を持って入線させないケースもあるようです。
そういう急カーブのある線区はどうするのかとの疑問もあるでしょうが、そういう線区にはそういう車両がある訳で、2016年4月8日 の記事でUPした。
ところでレール削正車はコンピュータ集積回路のハイテクメカの塊で、軸重や振動そして帯熱の関係で、本線自走用の駆動システムを搭載していません。
なので、運転席やヘッドライトの装備があっても、必ず牽引車とセットで作業となります。
ラスト2枚は115系やエトセトラが終焉の頃、何度か撮影した故 5番線への分岐点からの風景ですが、こちらを向いている車両が牽引車です。
削正車との連結面側は、国鉄時代からの懐かしいモーターカーの顔立ちですが、こちらを向いている側は保線作業に適した、現代風な顔立ちとなっています。
こんなに身近から見られる貴重な体験であったにも拘わらず、背の高い枯草に覆われて肝心な研磨メカが、しっかり撮れなかったことには悔いが残念に感じていたりしている、在来線レール削正車の記事でした。