JR西 京阪神エリアの運賃統一へ【電特拡大?】

JR各社/三セク国鉄,運賃関係

JR西日本に関する報道として、京阪神エリアの運賃を統一するための運賃改定を実施するとの趣旨の報道があった。改定予定日は2025年春。

JR西日本 来年春に京阪神エリアなどの運賃体系を統一へ調整

ただし、これは恐らく収入増加だけを目的とした運賃改定ではないと思われる。経緯は以下の通り。

2022年3月1日:鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会でのJR西日本資料(リンク
・認可申請が会社全体のみであること
・複雑な運賃体系が現状に合っていないことを指摘
2023年4月1日:運賃改定(リンク
・特定区間運賃(34区間)と6カ月通勤定期運賃(65区間)を改定
・参照として国有鉄道運賃法5条2項(1,3カ月運賃の割引率は最低50%、6カ月は最低60%)
2023年4月1日:バリアフリー料金制度適用(1段階目・リンク)
2024年4月22日:上記報道
2025年4月1日:バリアフリー料金制度適用(2段階目・リンク)予定
・適用拡大路線(在来線)は山陽線(網干ー西明石)・福知山線(尼崎ー新三田)・山陰線(京都ー亀岡)・湖西線(京都,山科ー堅田)・東海道線(京都ー野洲)・奈良線(京都ー城陽)・片町線(長尾ー松井山手)・関西空港線

JR西日本の意図を読み取っていく。小委員会での資料での指摘はこの通りである。

①京阪神エリアは都市圏が拡大している。特にJR神戸線・JR宝塚線・琵琶湖線はその傾向が強い。新三田駅に至っては昭和61年比で利用者が27倍になっている。そのため、同レベルの輸送サービスエリアには共通運賃が望ましい
②他方で、JR西日本は国鉄から4種類の運賃を継承している。大阪環状線内・電車特定区間・幹線・地方交通線である。このうち前2者は「幹線の割引運賃」として設定されているわけではないため、この区分の変更したり、上限運賃を変更する場合には、会社全体を対象とした認可申請となる(JR東日本の資料のほうが明確に指摘している)。
③また、バリアフリー料金制度を利用する場合、同一運賃区分内で加算境界を設定した場合、距離の短いない方運賃が高くなる価格逆転が生じうる。この不都合の改称には、「運賃区分」と「加算対象」エリアの一致が必要

というところである。実際、バリアフリー料金制度の1段階目の適用は現在の電車特定区間に限っている。今度のバリアフリー料金制度適用に際して運賃区分を変えない場合、

・大阪ー野洲(バリアフリー料金制度適用内・幹線72.5km) 1340+10円
・大阪ー篠原(バリアフリー料金制度適用外・幹線78.1km) 1340円

といったことが起こる。野洲まで電車特定区間とすれば1280+10円となり、この不都合を解消できる、ということであろう。

そのため、今回のバリアフリー料金制度適用に際して、同時に電車特定区間運賃の適用を目していると予想される。報道では「申請」とあるので、タリフ自体を変えるのであろう。

他方で、報道では「大阪環状線や、京都線などの一部の区間では引き上げられる見通し」とあるから、まず、大阪環状線内運賃を廃止し、電車特定区間に合流させることが考えられる(※電車特定区間との差があるのは16km以上であるが、大阪環状線内に指定されていて、最長区間となるのは桜島ー西九条ー玉造の14.5km)。

その他の値上げについては特に思いつかないところである。恐らく競合区間の特定運賃の解消を図りつつ、分割乗車券への対処を進めていくのではなかろうかと思われる。

【参考 関西圏の運賃:バリアフリー加算除く、200kmまで】

km環状線内電特区間幹線運賃幹-電(差額)
314014015010
617017019020
1019019020010
1521023024010
2027032033010
2541042010
3048051030
3557059020
4066068020
4574077030
5082086040
6095099040
701110117060
801280134060
901450152070
1001620169070
12018801980100
14022102310100
16025402640100
18028703080110
20032003410210