KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

京成グループ 車両の動き(2023年度)

2024.04.17

京成グループにおける2023年度の車両の動きをまとめてみよう。

D42206.jpg

京成3100形 3151編成
2023.12.19/大 町

▲3157編成の導入で7編成が揃った3100形。3100形の新造はこれにて終了か・・・?

D33660.jpg

京成3400形 3438編成
2020.3.12/ユーカリが丘〜京成臼井

▲3157編成の導入に伴い廃車となった3400形3438編成。4月中旬に実施されたデジタル列車無線への完全移行に伴い運用離脱し、6月の3157編成の導入を待って廃車となった。3400形は残り3448編成のみとなる

京成電鉄

- 新 造 - カッコ内は入線日
3157-8-3157-7-3157-6-3157-5-3157-4-3157-3-3157-2-3157-1(6/13)

- 廃 車 - カッコ内は最終運行日
3438-3437-3436-3435-3434-3433-3432-3431(4/14)

まずは京成。ここ数年は列車無線のデジタル化に伴う予備車の存在や2度にわたる脱線事故の影響などでイレギュラーな車両の動きが続いていたが、2023年度は1編成(8両)を導入して1編成(8両)が廃車になるだけの単純な動きとなった。

導入されたのは3100形3157編成で、日本車両製。3100形の成田スカイアクセス線仕様3150番台の7本目にあたる編成である。廃車となったのは3400形3438編成で、4月中旬に実施されたデジタル列車無線の完全移行に合わせて運用離脱した。また、3157編成の導入に伴い、成田スカイアクセス線仕様で最後の1編成となっていた3050形3056編成が京成本線に転用。オレンジ色をまとった3050形が消滅している。

3157編成の導入により成田スカイアクセス線の運用に必要な7本分の3100形が出揃ったことから、3100形3150番台の新造は終了するものとみられる。3100形の京成本線仕様については、2024年度以降3200形の導入が明らかになっていることから、京成本線仕様は実現せずに、このまま3200形の導入に移行する可能性が高くなっている。

D36485.jpg

京成3050形 3056編成
2021.2.24/新馬場

▲成田スカイアクセス線での運用を終了した3050形。オレンジ色のカラーリングは2019年11月の3100形導入に合わせて登場したものだが、わずか4年足らずで見納めとなった

一方、気がかりなのは3400形と3600形のチョッパ車が1本ずつ、すなわち3448編成と3688編成が残ってしまっていることだ。仮に脱線事故がなかったとしたらデジタル列車無線の完全移行とともにチョッパ車は全廃できていたはずで、当初の計画とは異なる状況に陥っているものと考えられる。今後導入される3200形が編成車両数の可変である仕様であることを踏まえれば、その目的は3500形の置き換えであることは明らか。その中で、どうやって3448編成と3688編成を終了させるのか、今後の京成の車両の動きにおいて注目点のひとつになろう。

このほか、3700形では機器更新という新たな動きも出てきている。北総7300形・7800形・9800形を含めてこの動きがどこまで波及するのか気になるところだ。

新京成電鉄

続いて、新京成の車両の動きも見てみよう。

D39065.jpg

新京成8800形 8804編成
2022.3.6/検見川〜京成稲毛

▲80000形80046編成の導入に伴い廃車となった8800形8804編成。8800形の6両編成化に伴い、中間車を集めて組成した編成であった

- 新 造 -
80046-80045-80044-80043-80042-80041

- 廃 車 -
8804-6-8804-5-8804-4-8804-3-8804-2-8804-1
8805-6-8805-5-8805-4-8805-3-8805-2-8805-1

- 更 新 -
8814-6-8814-5-8814-4-8814-3-8814-2-8814-1

新京成では2023年度も昨年度に引き続き80000形を新造、4編成目となる80046編成が登場した。80046編成の導入によって置き換えられたのは8800形8804編成。8804編成は旧8808編成・8848編成・8872編成の6両編成化に伴い余った中間車で組成された編成だったが、最古参である旧8808編成の2両を含んでいたことから廃車の対象になったものと思われる。昨年度に廃車された8801編成6両と合わせて、1986年に導入された8800形のトップナンバー旧8808編成は全車引退した。

さらに、3月には80000形の5編成目となる80056編成が入線。4月2日より営業運転を開始した。これに伴い、8805編成も廃車となっている。なお、上記のとおりに2023年度は80046編成のみを新造したのに対して8804編成と8805編成が廃車となって見かけ上6両減となっているが、これは8805編成の代替となる80056編成の導入が年度を跨いだ4月1日となったためで、全体としてはプラスマイナスゼロである。

年度につき概ね1編成が対象となっている8800形のリニューアル工事については、8814編成がその対象となった。車体のリニューアルと機器更新を実施し、10月に運用復帰している。8814編成のリニューアルにより、8800形のリニューアル車は9本となった。当初の予定では8800形のリニューアルは9編成を対象としていたので、予定通りならば2023年度をもって8800形のリニューアル工事は完了したことになる1)

さて、80000形を順調に導入している新京成だが、はたして80000形の導入がこのまま続くかはなんとも不透明な状況となっている。それはもちろん、親会社である京成への吸収合併を控えているためだ。新京成は2025年4月に会社そのものが消滅する。京成の一部となることで、車両の導入に関する方針がこれまでと大きく変わる可能性がある。

そしてその京成も、前述のとおり新型車両は3100形から3200形に移行しようとしている。京成が新京成を吸収合併することの目的のひとつは、スケールメリットを活かした効率的な協働体制の実現であったはずなので、新京成線に導入される車両も3200形、あるいは3200形をベースにした車両に移行する可能性もある。なんなら、京成本線に導入した新車の玉突きで3000形が入ってくる可能性すらあり得る?? いずれにせよ8800形を置き換えていく必要がある中で、京成は今後どうやって8800形を置き換えていくか、また会社が合併する中で新京成車と京成車の仕様の違いをどうするのか、話題は尽きない。

  • 1)ただし、8815編成のみ機器更新を未実施。

スポンサーリンク

  • 京成
  • タグはありません

関連記事

2024.03.23

京成3700形 機器更新車が登場

京成3700形に機器更新車が登場。デビューから今年で33年を迎える京成3700形。ここ最近は、車体改修工事の実施や脱線事故とそれに伴う廃車、北総鉄道へのリース・返却など何かと話題に事欠かない車両...

京成3700形 機器更新車が登場

2023.11.29

新京成8800形8804編成 営業運転終了

新京成8800形8804編成が営業運転を終了、廃車へ。11月に80000形80046編成を導入した新京成電鉄では、これに伴う車両の動きが発生している。8800形8804編成が廃車となった模様で...

新京成8800形8804編成 営業運転終了

2023.11.20

新京成80000形 80046編成が登場

新京成80000形80046編成が登場。11月2日、新京成80000形の4次車にあたる80046編成が営業運転を開始した。充当したのは551系統で、くぬぎ山6時20分発新津田沼行が初の営業列車と...

新京成80000形 80046編成が登場

2023.07.04

京成3400形3438編成 営業運転終了

京成3400形に廃車が発生。3100形の導入などで2020年度より廃車が進行している3400形だが、3438編成が営業運転を終了している。最終運行は4月14日(A23→59K運行)。それから宗吾...

  • 京成
  • タグはありません
京成3400形3438編成 営業運転終了

2023.06.24

京成3100形 3157編成が登場

6月中旬より、京成3100形の4次車にあたる3157編成がお目見えしている。4次車の特徴と営業運転開始までの動きをまとめておこう。京成電鉄では、2023年度の新造車として3100形3157編成を...

  • 京成
  • タグはありません
京成3100形 3157編成が登場

最新記事

2025.04.26

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

表現するならば、「激震」。4月1日、京成グループでは傘下のバス事業会社の再編を実施した。京成電鉄の完全子会社となる京成電鉄バスホールディングスを持株会社として新たに設立。その上でグループ15社...

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

2025.04.20

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

今年も春がやってきた4月20日、臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。同日に北総鉄道がイオンモール千葉ニュータウン提携駐車場で開催するイベント「ほくそう春まつり」に合わせて運転される恒例の...

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

2025.04.15

京成グループ 車両の動き(2024年度)

京成グループにおける2024年度の車両の動きをまとめてみよう。2024年度の車両の動きの目玉は、やはり3100形以来6年ぶりの新型車両となる3200形が登場したことであろう。今年度は日本車両製の...

  • 京成
  • タグはありません
京成グループ 車両の動き(2024年度)

2025.04.10

京成電鉄 松戸線が開業

Hello! Matsudo Line 4月1日、京成電鉄は新京成電鉄の吸収合併を実施した。これに伴い、新京成線は同日より京成松戸線として運行を開始。1947年12月に新津田沼〜薬園台で産声を...

京成電鉄 松戸線が開業

2025.04.06

京成3000形 「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマーク(2025年)

今年も桜に染まるまち、佐倉。京成電鉄では、3月中旬より3000形において「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマークの掲出を行った。同社と佐倉市が毎年この時期に実施している観光キャンペーン「桜に染まる...

京成3000形 「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマーク(2025年)

スポンサーリンク