みなさんこんにちは。前回からの続きです。

3月16日の「北陸新幹線 敦賀〜金沢間開業」と入れ替わり、長年親しまれた在来線特急が姿を消した、敦賀から先の「北陸本線」。


全国的にも稀少な「特急街道」を最後に味わいたいと、大阪発「特急サンダーバード」に乗り、昨年11月に石川・金沢周辺をさまざま日帰り乗り鉄した際の道中記をお送りしています。



ただいま「鶴来駅(つるぎえき、石川県白山市)」。金沢市内から乗り鉄して来た「北陸鉄道(北鉄)石川線」の終着駅です。


周辺を探索する前に駅舎内で展示されていた、かつて使用されていた鉄道部品の数々を拝見しています。

ワンマン運行には欠かせない、自動放送をするためのテープ。路線バスのそれと同じだったとは。再生デッキは専用のものを使います。


さて、本題の「石川線」はかつて2009(平成21)年まで現在の終着「鶴来駅」からさらに2kmほど南下、古刹「白山比咩神社(はくさんひめじんじゃ)」の本宮からほど近い「加賀一の宮駅」まで延びていた、ということを前回記事で触れました。グーグル地図より。


ところが、さらに数々の展示の中に見つけたのは「白山下」というこの行き先板。

あらたな発見ですが、これはどのあたりにあった駅なのでしょうか。



加賀一の宮まで区間廃止になった2009年以前の時刻表を順番にひっくり返していますと、見つけました。鶴来や、くだんの加賀一の宮よりさらに先へ線路は延びていたことがわかります。



出典は「国鉄監修 交通公社時刻表 1985年3月号」より。いまから40年近く前のものまで遡ります。



ちなみに、この年の春のダイヤ改正の目玉は「東北・上越新幹線 上野延伸開業」。


3年前の1982(昭和57)年、大宮駅まで暫定開業していた両新幹線が、都心の上野駅に地下線で乗り入れるという大きな事業でした。



さらに「新花巻駅(岩手県花巻市)」「水沢江刺駅(同水沢市、現在は奥州市)」が「東北新幹線」に開業したのもこの改正。緑帯がさわやかな「200系」が主役の頃でした。


そして、茨城・筑波では「科学万博(つくば万博)」が開幕したのもこの春。余談でした。



本題に戻りまして、加賀一の宮からさらに先へ延びていた路線について。現在の地図に重ねてみますと、このような位置関係にありました。

ここ鶴来からは約20kmほど、山あいの狭隘なところへ、手取川に沿いながら分け入ったところに「白山下駅」はあったそうです。


ではここでも、先日記事でも取り上げたシリーズ書籍「各駅停車全国歴史散歩18 石川県(北國新聞社編・河出書房新社発行 昭和58年10月)」より、拾ってみます。


沿線随一の手取渓谷
鶴来から電車は手取川沿いの渓谷をゆっくりと走る。この一帯は春は新緑、秋は紅葉の渓谷美が楽しめる沿線随一の名所である。

中でも(途中駅の)釜清水(かましみず)から白山下まで約7km続く手取峡谷は、両側がするどく切り立つ絶景で、秋ともなるとハイカーの訪れが絶えない。


霊峰・白山に抱かれて
白山下

白山麓地方一円の山岳レジャー基地が白山下駅。夏は白山登山、冬はスキー場への出発点となっており、大層なにぎわいを見せる。
駅は石川郡鳥越村河原山(現在は白山市河原山町)に位置し、標高は247m。

日本三大霊山(注釈∶他は立山・富士山)の一つ白山(標高2702m)へは、ここからバスに乗って登山口まで1時間30分。夏山シーズンの7月上旬から8月末までは、まさにピストン輸送の忙しさを見せる。


金沢市内の出発点・野町からは電車、バスで登山口まで約3時間20分。

北陸鉄道は登山客の便を図るため、春・夏・秋山シーズンに「白山登山クーポン」を発売し、料金はおとな6600円、こども5200円。
電車、バスの往復乗車券と宿泊施設の宿泊券をセットにして割安だ。(P168・170)


鶴来から先は「手取川(てどりがわ)」に沿って「白山下駅」まで鉄道は延びていた訳ですが、峡谷のはざまを列車は、白山の山深い山中に分け入っていたことがわかります。自然の中を縫うように走る「山岳鉄道」だったのですね。


ハイカーの需要が、鉄道を中心にあった頃。

割引乗車券のくだりなど読むだけで、野町からの「石川線」はさぞかしにぎわっていたのだろうと感じるのですが、書籍が発行された昭和の終わりから平成にかけては道路網の整備が進みアクセスはクルマに移って行ったのでした。


ただ現在でも白山麓は、金沢近郊からのレジャー地として人気を博しているというのですが、ではかつてそこまで列車が通っていた頃のダイヤというのはどのようなものであったのか。
さらに、ひもといてみます。加賀一の宮にて。

次回に続きます。
今日はこんなところです。