京成電鉄の宗吾車両基地「拡張」工事本格化 新車両工場の整備でどう変わる?



京成電鉄は4月11日、宗吾車両基地(千葉県酒々井町)を拡張する工事の起工式を現地で開催した。老朽化した現在の車両基地に代わる新しい車両工場を建設する。すでに準備工事と整地工事が進められていたが、起工式を機に工事が本格化する。

宗吾車両基地の新しい車両工場の予定地。【撮影:草町義和】

現在の宗吾車両基地の面積は10ha。この南側に拡張用地として6.2haの土地が確保された。このうち4haを使って高架構造の人工地盤を整備し、法定の定期検査(全般検査・重要部検査)に対応した新しい車両工場(3.2ha)を設ける。

京成電鉄によると、新車両工場を設ける場所は地盤が非常に悪いことから、盛土ではなく高架構造を採用したという。また、基地の拡張に伴い周辺の町道の付け替えや拡幅を行うほか、踏切を1カ所廃止する。

宗吾車両基地の新車両工場のイメージ。【画像:京成電鉄】
現在の宗吾車両基地と新車両工場の位置。【画像:京成電鉄】
新車両工場は現在の宗吾車両基地を南側に拡張する形で整備される。【画像:京成電鉄】
新しい車両工場は現在の宗吾車両基地(奥)を南側(手前)に拡張する形で整備される。【撮影:草町義和】
新車両工場の用地ではすでに整地工事が行われている。【撮影:草町義和】
新車両工場の整備に伴い周辺の道路も付け替えや拡幅が行われる。【画像:京成電鉄】

現在の車両工場は4両編成や6両編成の定期検査を前提に整備されたが、新車両工場は8両編成に対応。年間の検査車両数は現車両工場が最大220両なのに対し、新車両工場は最大250両に強化される。

また、現車両工場では門型クレーンを使って車両を移動しているが、新車両工場はトラバーサーを設置して車両を平面移動させる。これにより天井を低くすることができ、工場全体を冷暖房化することが可能に。労働環境の改善を図る。

起工式で行われたくわ入れ。【撮影:草町義和】

昨年2023年12月に工事会社が決まり、今年2024年1月に着工。準備工事や整地工事がこれまで進められてきた。本年度2024年度から工事が本格化し、2028年度末の完成を目指す。2029年度からは現車両工場の撤去工事が行われる予定。跡地には留置線や社員の教育施設などの整備が想定されるが、現時点では未定という。

工事の手順。新車両工場は高架構造で建設される。【画像:京成電鉄】
現在の車両工場は新車両工場の完成後に撤去される。跡地の活用法は未定。【撮影:草町義和】

宗吾車両基地は京成本線・宗吾参道駅の南側にある総合的な車両検査施設。1966年に建設され、1982年には津田沼第1工場・第2工場を宗吾に移転する形で統合した。築造開始から50年ほどが過ぎて老朽化が進んでいることから、敷地を拡張して新しい車両工場を整備することが計画された。

京成電鉄がアクセス輸送を担っている成田空港では、2029年3月に第3滑走路(C滑走路)が完成する予定。年間の発着回数が現在の30万回から50万回に増強される。宗吾車両基地の拡張は成田空港の機能強化も視野に入れたものになる。

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