札幌~旭川「60分」在来線高速化を検討、新千歳空港駅「スルー化」も JR北海道



JR北海道は利用者が多い在来線の高速化に取り組む方針を決めた。同社が4月1日に公表した「JR北海道グループ中期経営計画2026」(2024~2026年度)で、「中期経営計画2026以降を見据えた事業構想」の一つとして盛り込んだ。

在来線高速化のイメージ(最高速度160km/hの特急が運行されていた北越急行ほくほく線)。【撮影:草町義和】

JR北海道が高速化を検討するのは、函館本線・千歳線の札幌~新千歳空港46.6kmと函館本線の札幌~旭川136.8kmの2区間。最高速度はどちらも120km/hで、現在の最短所要時間は札幌~新千歳空港が33分、札幌~旭川が1時間25分だ。

JR北海道は軌道強化や線形改良、最高速度の向上、高架化による踏切解消などに取り組み、それにより札幌~新千歳空港を25分、札幌~旭川を60分と大幅に短縮することを目指すとしている。

JR北海道は北海道新幹線・新函館北斗~札幌の延伸開業までは新幹線工事に注力するとしつつ、延伸開業後は「特にご利用の多い在来線区間の輸送品質向上に取り組み、収入増加へ繋げるとともに、北海道の活性化へ貢献します」とし、在来線高速化の検討対象として2区間を挙げた。

JR北海道が高速化を検討する在来線2区間のルート。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

中期経営計画では最高速度をどの程度引き上げるかは盛り込んでいない。札幌~旭川の所要時間を60分に短縮する場合、途中駅での停車時間なども含めた表定速度は約137km/hになることから、最高速度は160km/h程度まで引き上げることを想定しているとみられる。

新幹線以外の鉄道では、基本的には非常ブレーキをかけた際に600m以内で列車を停止できるようにすることが求められる。この場合の最高速度は130km/hで、これ以上の速度を出す場合は新幹線と同様に道路との交差を完全に立体化するなど、安全対策を強化する必要がある。

現在、新幹線を除く鉄道で160km/hの営業運転が行われているのは、京成電鉄の成田スカイアクセス線・印旛日本医大~空港第2ビル(千葉県)。成田空港アクセス特急「スカイライナー」がこの区間を160km/hで走行している。北越急行ほくほく線・六日町~犀潟(新潟県)では2015年まで、同線を経由して越後湯沢~金沢を結ぶ在来線特急「はくたか」が160km/hで走行していた。成田スカイアクセス線は踏切がなく、ほくほく線も六日町駅付近と犀潟駅付近の2カ所を除き踏切は存在しない。

JR北海道はこのほか、新千歳空港駅のスルー化の検討も2026年度以降を見据えた構想として中期経営計画に盛り込んだ。現在の新千歳空港駅は千歳線支線の終点。札幌方面からの直通列車は運行されているが、苫小牧方面や帯広方面からは南千歳駅で列車を乗り換える必要がある。

新千歳空港駅のスルー化で考えられる新線の整備方向(赤点線)。【画像:国土値地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

2018年、新千歳空港駅と苫小牧・帯広方面を結ぶ新線を建設してスルー化を図ることをJR北海道が検討していることが明らかになり、2019年には正式な構想として位置づけられたが、その後具体化に向けた動きは見られない。

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