神奈川県から静岡県に通じている鉄道路線は3つあります。うち2つは日本の大動脈、東海道新幹線とJR東海道本線です。神奈川と静岡の行き来は、多くの人はこの2路線を使うことでしょう。

 では、あと一つはどこか。それが、今回ご紹介するJR御殿場線です。

 

調査日:2024(令和6)年3月2日(ダイヤ改正前なので、列車の行先・時刻が現在と異なっています)

 

1.JR御殿場線について

 JR御殿場線は、国府津駅(神奈川県小田原市)~沼津駅(静岡県沼津市)間の60.2kmを結ぶ路線で、起点・終点いずれもJR東海道本線の乗換駅となっています。

 JR東海道本線は、小田原・熱海・三島を経由して沼津へ向かうのに対し、JR御殿場線は箱根の北側にある松田・山北駅を経由し、静岡県に入って進路を南西→南へと変え、御殿場・裾野を経て沼津へ至ります。

 

 

 JR東海道本線経由の場合、国府津~沼津間は48.5kmなので、御殿場線経由のほうが12km長いです。また、東海道本線は複線かつ本数も毎時3本程度あるのに対し、御殿場線は全線単線で、本数も毎時1~2本程度となっています。

 国府津や横浜・東京方面から沼津へ行くのであれば、東海道本線一択なのですが、今回はあえて御殿場線で沼津へ行くこととしました。

 

2.御殿場線に乗ってみた

 旅のスタートは国府津駅から。東海道本線を下り、御殿場線に乗り換えます。

 

 国府津駅には自動改札機が設置されていますが、1機だけ黄色のIC専用改札機が別に設置されていました。

 

 

 JR東海道本線は、東京~国府津~熱海間をJR東日本が管轄していますが、御殿場線は全線がJR東海の管轄下にあります。よって、東海道本線はJR東日本のSuica、御殿場線はJR東海のTOICAエリアに含まれています。

 SuicaエリアとTOICAエリアをまたいでICカードを利用することはできないのですが、国府津駅の自動改札機はSuicaエリアにのみ対応しているため、御殿場線利用者(TOICAエリア)のために専用改札機が設けられているというわけです。

 

 さて、ホームに向かい、御殿場線の列車に乗り込みます。御殿場線の列車は3番線から発車します。

 

 

 御殿場線 国府津9:10→御殿場9:59、10:04→沼津10:40

 

 ホームには、普通御殿場行きが既に入線していました。静岡地区の313系で、全車ロングシートです。土曜日ということもあり、ハイカーが多く乗っており、席がさらりと埋まるくらいの混雑ぶりでした。

 

 9:10、国府津駅を定刻通り発車。御殿場線は全線の3分の1が神奈川県に属していますが、全線JR東海が管轄しています。神奈川県なのにJR東海の電車に乗るという、ちょっと不思議な気分を味わえます。

 

 

 

 日本の鉄道は左側通行のはずですが、なぜか右側を走っていきます。一見複線のように見えますが、実はこの区間も単線で、左側の線路は国府津車両センターという車両基地に続いています。左に停まっているE231系は、国府津車両センターから出区してきた車両です。

 やがてその線路が分かれると、まっすぐに北西方向に進んでいきます。次の下曽我で早くも行き違いを行います。下曽我駅で列車を待っていた人はざっと20~30人ほどいましたが、ほとんどは対向列車の国府津行きを待つ乗客でした。

 上大井でハイカーが多く下車していき、車内は空いてきましたが、ガラガラというほどでもありません。相模金子を出ると次は松田駅に停車。

 

 

 右奥に見える単線の線路は、小田急小田原線との連絡線です。1日3往復設定されている特急「ふじさん」がここを経由しています。

 松田駅のすぐそばには、小田急小田原線の新松田駅があり、小田急線との乗換駅となっています。そのため、松田駅からは再び乗客が増え、立ち客が少し出るまでになりました。

 列車は東山北、山北の順に停車。山北駅での行き違いはないはずですが、普段御殿場線に入線しないはずの373系が停車しており、こちらの到着を待って発車していきました。

 この臨時列車は、快速「さわやかウォーキング号」だったようで、なんと浜松発上大井行きという184.6kmのロングラン列車でした!!上大井駅付近ではこの時期、梅が見ごろを迎えるため、そのための臨時だったようです。車両運用の都合で、浜松始発としたのだと思われますが、にしてもすごい列車が爆誕したものです(^^;;;

 

 山北駅を出ると、急坂とカーブが連続します。ここから御殿場まではひたすら上り坂が続いていて、御殿場線の難所でもあります。

 かつてはこの御殿場線が「東海道本線」だったのですが、急坂急カーブでスピードも出せず、新線が建設されることとなりました。新線は小田原・熱海を経由し、伊豆の山々を長大トンネルで直線的に越えるというもので、かなりの難工事でしたが、1934(昭和9)年にその長大トンネルである丹那トンネルが開通したことに伴い、東海道本線は熱海経由となり、御殿場経由のルートは「御殿場線」と改められて現在に至っています。

 山北駅や谷峨駅でハイカーの大半は下車し、再び車内が空いてきた状態で静岡県に入ります。東名高速道路はすごく高い場所に通っています。

 

 足柄駅を出ると、次が終点の御殿場です。景色が開けてきます。

 右側に広いスペースがあり、もう1本線路が引けそうな感じがしますが、これはかつて複線だった名残です。元・東海道本線ということもあり、複線化されていましたが、戦時中に不要不急路線として単線化された経緯があります。

 天気が良ければこのあたりで富士山を正面に望むことができるのですが、あいにく富士山は雲の中・・・あせるそうこうしているうちに御殿場に到着、向かい側に停車していた普通沼津行きに乗り換えます。

 

 

 普通御殿場行きはロングシート3両だったものの、乗り換えた先の普通沼津行きはクロスシート2両でした。それもあってか車内は混雑…ということで写真や動画の撮影はしないで列車に揺られます。

 御殿場からはひたすら坂を下っていきます。御殿場~沼津は地元利用も多く、日中でも毎時2本運行されています。沼津が近づくにつれて乗客は増え、立ち客を多く乗せた状態で沼津に到着。乗ってきた列車は、折り返し普通国府津行きとなりました。

 

 

 同じホームの向かい側には、東海道本線の普通熱海行きが停車していました。御殿場線の列車から乗り換えられるようなダイヤになっており、御殿場線→三島方面への移動が一定数あることが窺えます。

 

 

 

 

 沼津市は「ラブライブサンシャイン」のロケ地でもあり、アニメのファンが”聖地巡礼”で沼津を訪れることも多いようです。JR東海も「ラブライブサンシャイン」とコラボしています。

 

 いかがでしたでしょうか。御殿場線の起点、国府津駅や沼津駅へは東京から1時間~1時間半の場所にあり、アクセスしやすいです。また、本数も毎時1~2本あり、景色も良く、ローカル線の旅初心者にもとてもおすすめです。

 首都圏にお住いの方で、まだ青春18きっぷが余っているという方は、ぜひ御殿場線の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか??爆  笑

 

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