山陰本線の長門市~小串「一部再開」夏にも 水害で運休中、粟野川橋梁は橋脚改築へ



大雨の影響で運休が続く山陰本線・長門市~小串(山口県)について、JR西日本は3月27日、今後の復旧工事の進め方などを発表した。早ければ夏にも一部区間の運行が再開される。

山陰本線の列車。【画像:K.M=KARIBITO/写真AC】

長門市~小串の50.6kmは昨年2023年6月30日からの大雨の影響を受け、長門粟野~阿川の粟野川橋梁など69カ所の被災が確認された。現在は代行バスが運行されている。復旧工事は粟野川橋梁を含む人丸~滝部21.6kmと、同橋梁を含まない長門市~人丸13.9kmと滝部~小串15.1kmに分けて進める。

長門市~人丸と滝部~小串の2区間は、速やかに順次工事に着手。線路内に流入した土砂の撤去や流出した盛土・砕石の復旧などを進める。工事の完了は着手後3カ月程度の見込みで、工事完了後に2区間の運行を再開する。工事が順調に進めば今年2024年6~7月ごろには運行が再開されそうだ。

人丸~滝部は粟野川橋梁について、傾斜した橋脚1基の改築に加え、これ以外の橋脚や橋桁の修復を実施。それ以外は長門市~人丸・滝部~小串と同様、線路内に流入した土砂の撤去や流出した盛土・砕石の復旧を進める。各種協議や届出のほか設計など準備ができ次第、現地工事に着手する予定。順調に工事が進めば着手後1年半程度で復旧工事が完了するという。

2023年6月の水害の影響で運休中の区間(赤)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

JR西日本は1月に被災した施設の調査結果と今後の見通しを発表。復旧工事の工期を1年半としていたが、粟野川橋梁を含まない区間の部分的な運行再開も検討するとしていた。

一方でJR西日本は1月の発表に続き「ご利用の少ない山陰線の鉄道としての持続可能性の確保について、沿線の自治体の方々とご相談をさせていただいており、今後、具体的な議論の進め方についても、引き続き、調整をしてまいりたいと考えています」とコメント。鉄道の維持を前提にした活性化策の協議が今後本格化するとみられる。

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