12:41 備中高梁停車
総社駅を出発して17分、備中高梁駅に到着です。
備中高梁駅は伯備線内のダイヤ編成において1つの重要な基準駅となっていて、岡山方面からの普通列車の約半数は、この駅で折り返し運転を行う様にダイヤが組まれています。
お。こんなところにレア車。
2番線には国鉄DD51型機関車が停車中です。
かつて国鉄時代に600両以上製造されたこの機関車。
時代が進むにつれて退役が進み、現在国内で運用されているのはたったの10両という絶滅の危機に瀕している車両です。
備中川面で待合せ
現在時刻は12:50。
備中川面駅では上り列車との待ち合わせによる停車をします。
やってきたのは特急やくも14号岡山ゆき。
6両編成での運転。
この行き違いの光景が見られるのもあと僅か。
今のうちに381系電車の勇姿をしっかりと目に焼き付けよう。
列車が過ぎ去った後の駅名板が物悲しい。
381系電車が勇退した後には最新式の273系電車が投入されるが、果たして行き違い時にはどんな姿を″魅せて″くれるのだろう。
行き違いを終え、移りゆく高梁川の姿を横目に見ながら、次の停車駅へと向かいます。
13:11 新見停車
さて、新見駅が近づいてきました。
奥の方にはオレンジ色の国鉄115系電車の姿が見えます。
手前はキハ120形気動車でしょうか?
定刻通り6番線に到着です。
新見駅は芸備線、姫新線との乗り換え駅で、ホームは2面4線構造となっています。
この駅は発車番線に面白い特徴があり、ホームで割り当てられているのは1・2番線(芸備線・姫新線)と5・6番線(伯備線上り・下り)。
つまり、3・4番線が存在しないので、おそらく5・6番線がこれに相当するはずですが、なぜこの様な番線設定なのか詳しいことはよくわかりません。
もしも目に見えない発車番線があったら面白いなと、某映画のシーンを思い出しながら新見駅を後にします。
パノラマグリーン車登場
新見駅を出発してすぐ高梁川に別れを告げ、四季が移り変わる様に、山間部の田園風景へと車窓が変化していきます。
ちょうど稲刈りが終わった後の風景は、これから始まる厳しい冬の季節の到来を少し感じさせますが、『地球沸騰化』が話題になった2023年、どんな冬が訪れるのだろう。
おお!これは!
途中、通過となる足立駅で、私の頭も興奮で″沸騰″しそうになりました。
岡山方面ゆきの反対ホームには、パノラマグリーン車を連結した特急やくも16号が待合せのため停車しています。
やはり381系の顔はこれが最高。
本当に ふ つ く し い 。
ちなみにこの特急やくも16号は臨時列車となっているので、レアなパノラマグリーン車を拝められて少し得した気分になりました。
その後、再び長閑な田園風景を眺めながら、次の停車駅に向かいます。
私の″沸騰した頭″を冷ましながら(笑)
13:53 根雨停車
新見駅を出発して42分。
13:53に根雨駅停車です。
先ほど、パノラマグリーン車を拝んだ足立駅の次の駅(新郷駅)で岡山県区間が終わり、ここはもう鳥取県。
ここから先は、これまでの山間部の車窓から平野部の車窓へと変化していきます。
381系電車が直線区間を″光速″走行する様子も見られそう。
米子までの車窓は変幻自在
米子駅まであと13分。
まだ山間部が残る区間を走行中ですが、山肌の中腹には米子自動車道の高架橋が見えます。
白い荷台のトラックが見えますが、ストレートはこっちの方が速そう。
米子駅まであと6分。
山の標高が低くなってきました。
赤い架け橋がキレイ。
米子西部自動車学校。
教習生がんばれ!
米子駅まであと3分。
伯耆大山駅貨物線内を歩く鉄道職員の方々。
お勤めご苦労様です。
伯耆大山駅で伯備線は終点となり、この先は山陰本線。
米子駅まであと90秒。
私は″工場萌え″の趣味は無いが、電車の車窓から眺めると何故かつい見入ってしまう。
変幻自在の車窓を眺めていたらあっという間に着いてしまいました。
14:17 米子停車
米子駅は、伯備線、山陰本線、堺線の3路線が乗り入れる、鳥取県内で最もホームの数が多い駅(3面6線)となっています。
1日の利用者は約2,500人程ですが、空の玄関口となる『米子空港』直通となる堺線が接続するなど、鳥取県内の交通の要衝となる重要な駅の1つとなっています。
米子駅を出発すると、100〜120km/hの光速走行を連発。
カーブの光速走行は381系電車の真骨頂ですが、元々の加速性能も高いので、ストレート区間も十八番。
この先は島根県内に入り、旅の終点も段々と近づいてきます。
14:26 安来停車
米子駅を出発して9分。
島根県内最初の停車駅となる安来駅到着です。
岡山駅を出発して2時間21分が経ち、岡山→鳥取→島根と3県168kmを縦断。
ずいぶんと遠くへやって参りました。
安来駅を出発してすぐ、ふと空を見上げると、米子空港へ滑空する航空機が『山陰地方へようこそ』と言わんばかりに出迎えてくれています。
さらに、揖屋駅ではキハ187系特急スーパーまつかぜ10号鳥取行きのお出迎え。
私自身この車両を生で見るのは初めてなので、思わず見入ってしまう。
そして、中海のほとりを進むと、その先は松江駅です。
14:43 松江停車
現在14:42を回ろうとしています。
車窓は都市部の風景に様変わり。
島根県の県都、人口20万人を誇る松江市に到着です。
松江駅は2面4線のホームを有していて、1日に約4,200人が利用する大きな駅。
北西に約2kmほど進んだ場所には、山陰唯一のローカル私鉄一畑電車(通称ばたでん)北松江線の終点『松江しんじ湖温泉駅』があります。
両路線とも、『宍道湖』のほとりを進むので、季節や時間帯によって風光明媚な車窓を楽しめる絶景路線となっています。
空と宍道湖のあいだに
さて、今回の旅のハイライトがやって参りました。
車窓右手に広がる宍道湖の絶景です。
ふと、中島みゆきの名曲『空と君のあいだに』のメロディーが頭をよぎる。
空と宍道湖とのあいだには、今日もやくもが風を切る♫
2羽の白い鳥が湖面をぷかぷか。
とても気持ちよさそう(笑)
途中下車をして宍道湖の雄大な景色を楽しみたい所ですが、今回は窓ガラス越しに目で楽しませてもらいます。
ちなみに私の地元長野県には、湖のほとりを進む鉄道路線として大糸線の仁科三湖がありますが、山陰本線の宍道湖の車窓は、山が低くてスッキリしているところがとても好き。
湖のほとりを進む鉄道路線は全国的にも数が少ないですが、宍道湖は2つの鉄道路線が湖を挟んでいる(北側に一畑電車北松江線、南側にJR山陰本線)大変珍しい場所です。
今度来た時は、一畑電車からの車窓も堪能しよう。
ずっとこの景色を眺めていたいですが、終点ももうすぐ。
14:50に玉造温泉駅、そして15:00に宍道駅停車です。
終点の出雲市駅を前に、車内は私以外の乗客が全て降りて貸切状態に。
こうして改めてこの車内を眺めると、グリーン車独特の『いかにも特別車両である』という空気がよく醸し出されています。
本当にすばらしい車両だ。
15:02 終点出雲市到着
始発の岡山駅を出発して3時間07分。
終点の出雲市駅に到着です。
岡山駅を出発した時はお昼時でしたが、すっかり日が傾き、駅名板が夕日に照らされて少し寂しさを誘います。
『ゆったりやくも』のロゴがカワイイ。
途中『ぐったりはくも』になりかけましたが、それも含めて381系電車の旅です(笑)
ここまで乗せてくれてありがとう。
おわりに
今回は、国鉄特急型381系電車で運用される特急やくも号に乗車した時の記録について取り上げました。
381系電車は、日本初の振り子特急として1973年のデビューから、これまで中央西線の『特急しなの号』や紀勢本線の『特急くろしお号』等でも運用され、日本の高度経済成長末期から令和の時代に至るまで、延べ50年間に渡り活躍し続けてきた歴史ある電車です。
2024年4月を目処に、後継の273系電車に順次置き換わる事が決定していますが、恐らく定期運用から外れた後も、しばらくは臨時列車等の波動用車両としてその勇姿を拝む事ができるかと思われます。
そう遠くない未来に、完全に姿を消してしまう381系電車。
だが、曲線通過時の速度を本則+20km/hで走行する事を可能にした、当時としては日本最高峰の高速走行性能を備えた電車であった事や、車掌が酔って嘔吐した等の逸話が複数ある事、そして何より、古くさい感はあるが、現代の列車にはない旅情を掻き立てる独特のエクステリアである事など、381系電車は、ずっと私達の記憶に鮮明に残り続ける名列車だと個人的には思う。
引退するその日まで、381系電車は今日も伯備線の険しい山中を、たくさんの人の″想い″をのせて走り続けます。
私のブログをここまで閲覧していただき、感謝します。