北陸新幹線金沢-敦賀間の新ダイヤが掲載された時刻表を見て、いろいろと疑問に思うことがある。
今回は敦賀駅の乗り換えに焦点を当ててみたい。

 

 

 


 

敦賀駅の構内図(JTB時刻表から引用)
一目見て、なぜ同一ホームの対面乗り換えにしなかったのかと思う。新八代、武雄温泉、新潟で対面乗り換えの先例があるのに、この構造は腑に落ちない。敦賀駅周辺の地理的要因からやむを得ないようだが、北陸新幹線が大阪までつながるのは未定だ。今後少なくとも何十数年も乗り換えを強いられることを思うと、これでいいのかと疑問がわく。


敦賀駅での乗り換えパターンを時刻表から読み解いていく。
JR西日本は、新幹線と特急の乗り換え時間を8分としたが、実際にはばらつきがある。

 


例1 金沢方面から大阪・米原方面
 

 

 

つるぎ1号敦賀着6時57分、サンダーバード2号同発7時05分(乗り換え8分)、しらさぎ2号同発7時11分(乗り換え14分)


つるぎ5号敦賀着7時59分、サンダーバード6号同8時07分発(乗り換え8分)、しらさぎ52号同発8時11分(乗り換え12分)


一つの新幹線の乗客を二つの特急列車に振り分けるため、後に出る方は乗り換え時間が長くなる。接続する順番は、しらさぎが先でサンダーバードが後になるケースもある。



例2 大阪・米原方面から金沢方面

 

 


 

しらさぎ15号米原着21時26分、サンダーバード47号同着21時33分、両者の乗り換え客を乗せて、つるぎ48号同発21時42分。(しらさぎは乗り換え16分、サンダーバードは乗り換え9分)


サンダーバード49号敦賀着22時16分、しらさぎ63号同着22時20分、両者の乗り換え客を乗せて、つるぎ50号同発22時28分。(サンダーバードは乗り換え12分、しらさぎは乗り換え8分)


ところで、今回のダイヤ改正からサンダーバードとしらさぎは全車指定席となった。なぜなのか。この乗り換えパターンからその理由が見えてくる。
これは私の推測だが、例えば、先にしらさぎが着いて自由席の客がつるぎの自由席に座る。後から着いたサンダーバードの自由席の客がつるぎの自由席に座ろうとしても空席がない場合もあり得る。後に着いた客は不利になる。自由席の早い者勝ちをなくすため、全車指定席にしたのではないか。

 


例3 最も乗り換え時間が長いケース

 

 


 

しらさぎ1号敦賀着9時27分、つるぎ8号同発9時46分。(乗り換え時間19分)


例2で見たように、敦賀に先に着く列車は12分が標準だ。しかし、しらさぎ1号は7分も前に敦賀に着く。これは東海道新幹線ひかりの米原着が改正前と変わらないため、しらさぎ1号の米原発車もダイヤ改正前と変わらないため敦賀着が早くなる。必然的に敦賀での乗り換え時間が長くなってしまうのだ。
今回のダイヤ改正では、敦賀-米原間のしらさぎも、敦賀ー大阪間のサンダーバードも、改正前とほぼ同じ時刻である。つるぎの時刻は両者に合わせるように設定している。これは難しいダイヤ設定で、JRもかなり苦心したと想像する。


例4 不思議なケース

 

 

 


 

サンダーバード13号敦賀着11時02分、つるぎ14号同11時17分。(乗り換え時間15分)

このパターンで接続する特急は一つなのに、乗り換え時間は8分ではなく15分と長くなっている。なぜか?
その原因はつるぎ14号の前を走るはくたかにある。
はくたか562号敦賀発10時58分、金沢着11時57分
つるぎ14号敦賀発11時17分、金沢着12時02分

せっかくの速達タイプなのに先行する各停タイプを追い越さない。越前たけふと加賀温泉駅には待避線があるのにもったいない話である。なぜ、追い抜きのダイヤを組まなかったのか。あるいは速達タイプを先に発車させて、各停タイプをその数分後に発車させるダイヤを組まなかったのか。


全体的に今回のダイヤ改正では、東京-金沢間の時刻は改正前とほぼ同じとし、かがやきとはくたかは新開業区間へ延長運転するようなダイヤになっている。おそらく過密ダイヤの東京-大宮間は簡単に変更できないため、本数の少ない金沢-敦賀間のあいている時間帯につるぎを運転させているのだろう。


敦賀開業を祝うムードに水を差すつもりはないが、新幹線が出来ても乗り換えを強いられ、移動時間はほぼ変わらないケースは時刻表を見ればすぐわかる。おまけに料金も高くなった。巨額の建設費に見合うだけの恩恵を受けるのは一部に限られると言わざるを得ない。