ダイヤ改正前後の時刻を徹底比較するコーナー、今回はJR東日本八王子支社編です。ここでは中央線快速電車の変化について、改正前後のダイヤを見比べながら分析します。

https://www.jreast.co.jp/press/2023/hachioji/20231215_hc01.pdf

 

1.中央線快速電車 朝夜時間帯

 中央線快速電車では、朝夜時間帯のダイヤが一部変更となります。変更点は大きくみて次の3点です。

(1)特急「成田エクスプレス」の中央線直通取りやめ、新宿発着に縮減

(2)平日朝東京方面の快速電車の所要時間短縮

(3)特急「はちおうじ」2号 設定時間帯繰り下げ

 

 これを念頭に置いて、平日朝の改正前後のダイヤを比較してみましょう。

 

<改正前 ~2024.3.15>

「凡例」 茶色:快速 青:中特(中央特快) 赤:特急「成田エクスプレス」 紫:特急「はちおうじ」2号

 

<改正後 2024.3.16~>

「凡例」 茶色:快速 青:中特(中央特快) 赤:特急「成田エクスプレス」 紫:特急「はちおうじ」2号

◇差分は立川~新宿間の所要時間差を示す。 ※高尾6:18発快速東京行きは八王子6:25着

 

 快速列車の所要時間が短縮され、最大7分短縮となります。要因は特急「成田エクスプレス」にあります。改正前においては、快速列車が国分寺や東小金井、三鷹で特急「成田エクスプレス」に追い抜かれるため、数分停車している便があります(青色で塗られた部分)。改正後は成田エクスプレスの待ち合わせがなくなり、停車時間が短縮するため、速達化が図れるというわけです。立川~新宿間で所要時間に差がない列車でも、八王子や豊田から新宿への所要時間が短くなっている便もあります(「快速☆」の列車)

 なお、土休日は成田エクスプレスに追い抜かされる快速列車が少ないこと、夜間の下り列車は間隔調整や他の列車の待ち合わせなどもあり、平日朝のみの所要時間短縮となったようです。

 特急「成田エクスプレス」については、1日2往復の設定ということもあり、そこまで需要は大きくなかったとみられます。少なくとも、新宿や東京への通勤需要のほうが圧倒的に大きいのは確かで、それを踏まえたダイヤ変更といえるでしょう。

 ここで、平日朝の東京行き特急列車のダイヤの変化もみてみましょう。

 

 特急「はちおうじ2号」が約12分繰り下がり、新宿7:05着、東京7:19着となりました。ピーク時間帯は東京駅着7:30~8:30頃と思われるので、その時間帯に極力近づけたといえます。

 改正後の「はちおうじ2号」のダイヤをみると、改正前の特急「成田エクスプレス7号」の時刻とほぼ同じです。成田エクスプレスが乗り入れをやめて、より通勤需要に合う形にしようということとみられます。

 折しも、特急「成田エクスプレス」用の車両(E259系)を、特急「しおさい」用へ回さないといけなくなったという事情もあり、今が成田エクスプレスの中央線からの撤退のタイミングということなのかもしれません。

 

2.中央線快速電車 大月直通増加

 日中の中央線快速電車について、高尾発着の列車5往復が大月発着に延長されます。これにより、改正前後でどのように変わるのか、平日ダイヤを例にみてみましょう。

 

(1)下り 大月・甲府方面

<改正前 ~2024.3.15>

<改正後 2024.3.16~>

 

 ご覧のように、中央特快4本及び快速1本が大月まで延長されます。中央線のダイヤは原則として、高尾駅を境に運転系統が分かれていて、東京方面、甲府方面からやってきた列車が高尾駅でそれぞれ折り返すようになっています。

 しかし、朝夕時間帯を中心に一部の便は、高尾駅をこえて東京~大月間を直通しています。今回のダイヤ改正では、この大月直通列車が増えるというわけです。

 相模湖エリアや上野原、大月の両市にしてみれば、東京や新宿から乗り換えなしでアクセスできるようになるので便利にはなるのですが、高尾駅で12分停車している便がある、乗り継ぎが悪くなっている面もあり、一概に便利になるとは言えないのが現状です。

 余談ですが、現在高尾14:09発普通長野行きという、245kmも走るとてつもなく長い普通列車があるのですが、改正後は大月発長野行きに短縮されます。それでも、210kmもの距離を走るので、ロングランですね照れ

 

(2)上り 新宿・東京方面

 

<改正前 ~2024.3.15>

 

<改正後 2024.3.16~>

 こちらは下りほど大きな変更はなく、乗り継ぎも比較的良好です。現状を見る限り、上り列車の乗り継ぎを優先してダイヤが作られているのではないかと思います。大月や上野原から新宿、東京へ一本で行ける機会が増えるのは便利ですが、乗り継ぎについては一部悪くなっています。

 なお、上下とも運転本数に変更はありません。

 

3.まとめ

 いかがでしたでしょうか。1つは成田エクスプレスの中央線乗り入れをなくすことで、朝時間帯の通勤需要により応えるダイヤ改定になったといえます。

 中央線快速電車の大月乗り入れの増加は、私は意外だと思いました。近年は普通・快速列車の短区間化、短編成化がなされる傾向にある中で、中央線快速電車だけはこの傾向と逆をいっているからです。

 このような変更を行う理由は不明ですが、ゆくゆくは東京~大月もしくは高尾~大月間でワンマン運転化を計画していて、今回の変更はその布石ではないか、という説があがっており、私はこれが一番しっくりくる理由だと感じています。

 大月直通の増加により、山梨県東部と東京との行き来は便利になりますが、高尾や大月での乗り継ぎはよいわけではなく、利便性が向上するとは言い難い面があります。次回以降、そのあたりが修正されればなぁというところです。

 名古屋地区も含めて、中央線の快速電車は今回のダイヤ改正で大きく変化することとなりました。次回以降のダイヤ改正のゆくえに注目です。