札幌〜函館を結ぶ特急「北斗」、札幌〜帯広を結ぶ「とかち」や、帯広の先釧路まで足を伸ばす特急「おおぞら」、さらには平日朝に手稲〜札幌間で運行されるホームライナーに充当されるこの車両。原生林を強力なエンジンで静寂を切り裂くように走る姿は見てるだけで惚れ惚れしちゃいます。
車内に入ってみましょう。車内はまるっこい紫色の「グレードアップ指定席」が並び、床にはひし形の模様が描かれ、分かりづらいですが通路直上の天井は紺色となっているこの車内、どこか欧州らしさを思い浮かべたあなたは正解。実はJR北海道は最近までデンマーク国鉄と連携しており、この車内もデンマーク国鉄の設計陣がデザインしたみたいで、北の玄関口新千歳空港駅のデザインも設計してきました(残念ながら改装によって現在は見れない)。ちなみに座席のリニューアルは指定席から始まったためグレードアップ指定席と呼ばれていますが、最近は自由席にもこのグレードアップ指定席がバシバシ充当されます。北斗、おおぞら、とかちは自由席もこの座席です。
座席です。
肉厚な座面と、背の高い背もたれ、そして大きくて柔らかい枕があるため座り心地は結構良いです。ただ、背もたれがちょっと硬い?かなと言う感じですかね。札幌函館間の特急北斗は全部乗り通すと3時間半ほどかかるので適度な硬さなこの座席が一番ベストなのかもしれません。
座席の設備を紹介。リクライニングはフルで倒すと体感結構倒れます。枕は上下に可動できて自分の体に一番馴染むところで使えるのですが、少し可動に力がいるといいますか、JR東日本の在来線特急にある可動枕に比べると少し動きが鈍いんですよねぇ。こういうのをたまにキズというのですね、多分。
テーブルは一般的な大きさ。ペットボトルを置ける窪みがついているのもお馴染みですね。逆にペットボトル用の窪みがないテーブルも見かけませんがね。
ドリンクホルダーもあります。JR北海道は最近振り子機構や車体傾斜機構を使用しない、また機構を搭載していない車両が増えたため、車体がペットボトルがテーブルから転がり落ちるほど傾いている状態はありませんが、ペットボトルを固定できるのでとても便利です。
ドリンクホルダーの横には網ポケットがありまして、常設的に「北海道の列車の旅を楽しむポイント」という日本語がどこかわからなくなるレベルの多国語表記で書いてあるマナーブックと、「The JR Hokkaido」という車内誌が入れてあります。長い乗車時間のお供にいかがでしょうか。
テーブルの上を見るとゴミ袋などがかけられるフックがあります。
この座席にはチケットホルダーというものもあり、自由席だと自由席特急券をホルダーに差し込むと車掌さんが検札してくれます。指定席の場合は発売してる席を車掌さんのタブレット端末で確認できるため検札は省略されるため、切符の保管場所ということになりますね。
続いてひじ掛けを見てみましょう。ひじ掛けは弧を描くような形状をしており、肘をかけると自然的な姿勢といいますか。ストレスを感じないように考慮されています。
一方座席中央の肘掛は太く、相席となった時の心理的な距離感が保てます。2人同時に肘をかけられるということはできなさそうですが、なんとなく肘がかけやすくなるかなぁという気はしましたね。
車両最前列は前に座席がなくなるため、固定式のテーブルを壁に取り付けています。半円状のテーブルで通路側に出るときにテーブルと干渉しないように配慮がなされています。
まだまだ座席は続きます、こちらは車いす対応の座席。普通は一人掛けの座席に車いすを固定できる紐がついているはずなのですが、この車両はなぜか1列分座席をつけずに車いすを置くスペースを作りました。そして車いすスペース直後の座席を車いす対応席とすることで、車いすの方でも安全に移動できるようになりました。
グリーン車の隣の車両にこの座席があるようです。
車いすに座ったまま移動できるようにテーブルも備わっています。これ新幹線などで
使われているオフィスシートと呼ばれるやつですね。いったん上に引き出してから、下におろすという少々癖のあるテーブルです。
また車椅子の介護の方が座る席?は方向によってはテーブルがなくなってしまうため、中央の肘掛にインアームテーブルが備えられています。