小湊鉄道の運転士「身代わり」アルコール検査 国交省が改善指示



国土交通省関東運輸局と小湊鉄道(千葉県)は3月8日、小湊鉄道の運転士が仕業前のアルコール検査を受けずに列車を運転していたと発表した。関東運輸局は小湊鉄道に対し、改善指示を発出した。

小湊鉄道の海士有木駅。【撮影:草町義和】

小湊鉄道によると、この運転士は昨年2023年10月19日にアルコール検査が実施された際、アルコール検知器の電源を切って検査結果が出ないようにした。これに気づいた点呼執行者が再検査を指示したが運転士は拒否。点呼執行者は運行に支障をきたすと考え、自らアルコール検知器を使って身替りで検査を行った。

この運転士はこれ以前にも、点呼執行者が出発指示合図などのため駅務室を離れているあいだ、車掌を身代わりにして検査を受けるという行為を長期間繰り返していたという。実際に酒気帯び運転をしていたかどうかは関東運輸局・小湊鉄道ともに明らかにしていない。

小湊鉄道は原因として「点呼執行者がアルコール検知器を対面で行うよう徹底していなかった」「人物の特定ができないアルコール検知器の使用を続けていた」「当該運転士は助役という立場で、身替りアルコール検査依頼を繰り返し、同乗する車掌が拒否しづらい環境であった」の3点を挙げている。

同社は緊急対策としてアルコール検知器を本人確認機能付きの新型に更新したほか、アルコール摂取濃度の知識と対処法などの安全教育を実施。今後も点呼体制の見直しや再教育を実施して改善を図るという。

小湊鉄道の列車。【撮影:草町義和】

この問題は12月25日、別の運転士と車掌が勤務体制について話していたときに判明した。これを受けて小湊鉄道は調査を実施。今年2024年1月15日に国土交通省関東運輸局に報告し、関東運輸局は1月17日に保安監査を実施した。

関東運輸局によると、保安監査の結果、小湊鉄道が定めた実施要領に必要事項が規定されていないことを確認。教育や訓練などの記録が保存されておらず、実施状況を把握、管理できる状況にないことも判明したという。同局は3月8日付けで改善指示を発出し、実施した改善措置を4月8日までに報告するよう求めた。

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