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tabiwa 周遊パス14種  「北陸おでかけ」だけ3日前購入、有効1日間の理由とは?

なぜエリアの広い「北陸おでかけtabiwaパス」だけが有効期間1日、3日前までの購入なのか?

JR西日本から、2024年2月26日付けで「2024 年度 tabiwa 周遊パス発売について」のニュースリリースがありました。

自由周遊区間内の JR、指定の私鉄、路線バス、船舶などの乗り放題のほか、観光施設入館券等がセットとなった商品で、北陸、瀬戸内、山陰地区を対象に14種類があります。

14種の名称、価格、有効期間、販売期日を見てみます。

 

tabiwa 周遊パス14種類の内訳

①北陸おでかけtabiwaパス、2,900円、有効1日間、3日前までに購入、(以下、同)

小浜線tabiwaパス、2,200円、2日間、当日購入可
③越前tabiwaパス、2,500円、2日間、当日購入可

④とやま周遊2dayパス、1,520円、2日間、当日購入可

⑤岡山香川ワイドパス、3,500円、3日間、当日購入可
⑥岡山ワイドパス、4,200円、3日間、当日購入可
⑦岡山・倉敷 tabiwaぐるりんパス、3,900円、3日間、当日購入可
⑧広島ワイドパス、4,600円、3日間、当日購入可
⑨宮島・瀬戸内tabiwaぐるりんパス、3,600円、3日間、当日購入可
⑩下関・長門tabiwaぐるりんパス、3,500円、2日間、当日購入可
⑪tabiwa四国フリーきっぷ、18,000円、3日間、当日購入可

⑫山陰のんびりパス、4,500円、3日間、当日購入可
⑬鳥鐵旅ノススメパス、4,500円、3日間、当日購入可
⑭松江・出雲tabiwaぐるりんパス、5,150円、2日間、当日購入可

 

もっともエリアが広いのは①「北陸おでかけtabiwaパス」で、14種類のパスの中でも筆頭に掲出されており、⑪の四国フリー切符は除くとして、エリアの広さからは14種類を代表するパスと言えそうです。

今回は、「北陸おでかけtabiwaパス」に絞って、内容を見てみます。

 

「北陸おでかけtabiwaパス」の内容を見る

◆ フリー区間は?

えちごトキめき鉄道上越妙高から直江津を経由して敦賀までの第三セクター路線を含め、小浜線青郷までに加え、越美北線七尾線氷見線城端線の全線、高山線富山-猪谷、大糸線糸魚川-中土、のと鉄道七尾-和倉温泉が含まれ、かなり広大です。

北陸新幹線と特急「しらゆき」(上越妙高直江津)は乗車対象外です。

七尾線の特急は料金別払いで乗車可能です。

 

◆ 設定価格の安さは?

ここでは、最長距離の上越妙高-青郷の運賃を、第三セクター化後の新運賃で見てみます。

〇 えちごトキめき鉄道上越妙高-市振1,550円、69.7キロ

〇 あいの風とやま鉄道:市振-倶利伽羅2,220円、100.1キロ

〇 IRいしかわ鉄道倶利伽羅大聖寺1,330円、64.2キロ

〇 ハピラインふくい:大聖寺敦賀1,750円、84.3キロ

〇 JR西日本小浜線敦賀-青郷1,520円、73.5キロ

〇 上越妙高-青郷で8,370円(391.8キロ)、上越妙高敦賀で6,850円(318.3キロ)です。

この価格からすれば2,900円の価格設定は安価とは言えます。

 

1日間有効で利用されるか?

安価なのはよいのですが、有効期間は1日間です。

広大なエリアは結構ですが、1日で全部乗ることはできるのでしょうか。

七尾線のと鉄道の金沢-和倉温泉と、大糸線糸魚川-中土は片道だけで約1時間、同じく越美北線で約1時間30分を要します。

越美北線大糸線で車窓が見られる時間帯の列車本数は3往復、大糸線は6往復に限られます。

フリー区間の全路線に乗るには2日間が必要で、1日間では不可能です。

 

14種類の中で1日間のみ有効のパスは「北陸おでかけtabiwaパス」だけです。

ほかは3日間または2日間有効です。

エリアの狭いタイプの有効期間が3日間、広いタイプが1日間では、考え方が逆ではないでしょうか。

本来なら有効期間は3日間が適当な区間です。

販売価格との兼ね合いもあるでしょうが最低限、2日間5,000円程度のタイプも設定した方がよいと考えます。

 

3日前までの購入で利用されるか?

3日前までの発売ということは、毎月1日に購入したとしても使えるのはその3日後の4日になるということです。

北陸在住の人が使うならまだしも関東、関西方面から北陸エリアに入って「北陸おでかけtabiwaパス」を購入し、購入日の3日後に使う人はほとんどいないのではないかと思われます。

さらに、3日前購入の上に、当日の有効期間1日限りの条件も重なるのでなおさらです。

14種のパスの中で3日前までの購入条件を定めているのも「北陸おでかけtabiwaパス」だけで、ほかは当日購入ができます。

「北陸おでかけtabiwaパス」だけ3日前購入で制約するのはなぜでしょうか。

特別に安い価格だからか、北陸沿線の人に使ってもらいたい趣旨か、北陸新幹線敦賀開業で在来線も混雑が予想されるからか、第三セクター3路線とJR西日本の意向が一致しなかったのかどうか。

様々な要素を勘案していくと、「北陸おでかけtabiwaパス」だけは関東や関西の人にはあまり使ってほしくない、北陸周辺の人に使ってほしい主旨かと思わざるを得ません。

事前購入とするなら前日までとするのが通常かと考えます。

 

3日前までの購入、有効期間1日間は改善が必要

遠距離から北陸に来た客を意図的に、この企画切符を買いにくくするような販売方法は感心できない措置であり、フリー区間を広大に定めたのはよかったものの有効期間1日だけの設定とした「北陸おでかけtabiwaパス」は今後、利用者の視点での見直しが必要ではないかと考えます。

 

(※ 記載にあたり、旅行総合研究所タビリス、2024年3月6日付け「『北陸おでかけtabiwaパス』2024年度版の詳細。上越妙高までエリア拡大」を参考にさせていただきました。)

 

※写真は本文と無関係です。