E653系の実現しなかった転用計画を振り返る【E653系しらゆきは予定外の誕生】


こんにちは!
今回は今から10年ほど前に計画されていたE653系の転用計画に関する記事を書いていきたいと思います。
さかのぼること13年前、常磐線E657系が導入されることにより、上野~仙台間で運転されていた651系スーパーひたち号が置き換えと同時にいわき駅で分断されることが明らかになっていました。当時、定期列車では、7両編成と4両編成を連結し、11両編成でいわき駅まで運行。その後いわき駅で、解結し、4両編成のみ仙台駅へ直通するという運行形態がとられていました。しかし、E657系は一編成10両となり、付属編成が誕生しないことから、E657系は仙台駅までは乗り入れない予定になっていたのですね。そこで、スーパーひたち号の代わりとして、いわき~仙台間をシャトル運行する特急列車が新設される予定となっていました。この特急の使用車両をどうすのかということになりますが、当時651系と共に活躍していたE653系が選ばれることになりました。E653系に関してもE657系での置き換え対象となっており、置き換えられた付属編成を使用することになっていました。基本編成の7両側はいなほに使われることが決まっていたのに対し、付属編成の4両側はいわき~仙台間のシャトル特急に使われることになったのです。当時、常磐線特急はこのように系統分離が行われる予定となっていたわけです。
当時のニュース記事がこちらです。

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まだ愛称名すら決まっておらず、公募が実施されていました。このニュース記事は愛称の公募に関する記事ですね。
そんな計画ですが、この計画は実行されないことになってしまいます。それは、2011年3月11日に起こった東日本大震災の影響です。津波が発生し、更に原発事故が起こったこともあり、常磐線の東北寄りは不通に。そのため、いわき~仙台間を常磐線で運行することが出来なくなってしまいました。このことにより、当然ながら、いわき~仙台間の特急構想は中止に、E653系は転用先を失うことになりました。
基本編成に関しては、当初からいなほ号への転用が予定されていましたが、付属編成に関しては、シャトル特急への転属予定でした。しかし、常磐線への転用計画が白紙になったことで、E653系付属編成は急遽転用先を失うことになってしまいました。しかし、車両も新しくまだ使えるため、廃車にはならず、転用されることになります。そこで付属編成の転用先に選ばれたのが、特急しらゆき号です。特急しらゆき号は2015年の北陸新幹線開業に伴い誕生した特急で、えちごトキめき鉄道新井駅~JRの新潟駅を結ぶ特急です。こちらに転用が決まったのですね。この特急は新設特急でしたので、もしE653系が予定通り常磐線に転用されていた場合、当然ながらE653系のしらゆきは誕生しなかったでしょう。もしかすると特急しらゆきという列車さえ誕生していなかったのかもしれません。東日本大震災が起こってしまったがために、予定外に生まれたのがE653系による特急しらゆき号というわけです。もし東日本大震災が起こっていなかったら、しらゆきはどのようになっていたのでしょうかね。

E653系しらゆき

その後、常磐線は2020年に最後の不通区間だった富岡駅から浪江駅が開業し、常磐線は再び繋がりました。特急列車はどうなったのかというと、結局のところ、品川~仙台間直通列車がE657系により運行されることとなりました。10両編成で仙台駅に乗り入れることとなり、いわき~仙台シャトル特急は復旧後も幻に終わりました。
今回はE653系の転用計画に関する記事でした。
最後までご覧いただきありがとうございました!