車両は東城駅にて撮影。

 
今回の【駅】シリーズは、
岡山県北西部、新見市西寄り山間部の神代川沿いに広がる農村地帯に位置する芸備線の駅で、備中神代～備後落合の途中駅で事実上唯一の交換可能駅、そして1番ホームには中国地方で2～3本しかなく、4月下旬～5月上旬に開花するというサトザクラ「御衣黄(ギョイコウ)桜」の木がある、
矢神駅 (やがみえき。Yagami Station) です。
 
  
駅名  
矢神駅 (駅番号なし)  
  
所在地  
岡山県新見市 (旧・阿哲郡哲西町)  
  
乗車可能路線  
JR西日本：芸備線  
 
隣の駅  
備中神代方……市岡駅  
広島方…………野馳駅  
  
訪問・撮影時  
2022年4月  
 
 
駅概要  
駅形態……………地平駅(1930年開業)。
駅舎………………あり(東側に平屋建ての木造駅舎があります)。
出入口……………東側のみ。西からは約200m南の踏切を渡って東へ。
バリアフリー……非対応(段差はないものの、改札ラッチが狭幅。車両も非対応。車いすでのご利用時はJR西日本へご連絡を)。
点字ブロック……なし。
駅前広場…………なし。最寄りのバス停留所は約50m～80m東の新見市道沿いにあります。
 
 

 

 

駅舎です。3枚とも西方向を望む。
芸備線の東側を並行する南北方向の道路(旧・国道182号)から西へ分かれる路地の終端に矢神駅があります。
開業ほどなくして完成した木造駅舎が現役で使用されていますが、左側の駅事務室部分が撤去される形で減築され、かなりコンパクトになってしまいました。
出入口に段差はありませんが、無用の長物となった改札ラッチが邪魔になり、車いすは自力でホームへ行くのが困難になっています。また点字ブロックも無く矢神駅はバリアフリー非対応です。
また、出入口左側には郵便受けのような簡素な郵便ポストが設置されています。
出入口の右側には男女共用便所の小屋があります。こちらも1930年に建てられたものが使用されています。
駅舎手前にはやや広いスペースがありますが、これは駅前道路で、駅舎の手前で左へ曲がっています。道路沿いには屋根付きの無料駐輪場があります。
 
 

駅前です。東を望む。
奥に延びる駅前通りは、すぐ前方で左右方向(南北方向)の旧国道182号線に突き当たります。
旧国道182号沿いには集落が形成されています。商店もゼロではありませんが、少ない印象です。国道の東側は山林が広がっています。
また、矢神駅は旧・哲西町の中心部にあり、約350m南には哲西町役場がありました(現在は新見市と合併し、旧役場は解体されています)。
約5km南東の山中には鯉が窪湿原があります。それに因み、約1.5km南の国道182号線沿いには「道の駅鯉が窪」があります。レストランや農産物直売所が入居しています。
道の駅の北隣には新見市哲西支局や新見市立哲西こども園などで構成される複合公共施設「きらめき広場・哲西」があります。
 
 

駅前です。1番のりばより西を望む。
西側は駅裏で民家が少なく、手前を左から右へ流れる神代川の谷に田畑が広がっています。
神代川の対岸を国道182号が左右方向に通っており、奥に連なる山々の麓を中国自動車道が並走しています。
 
 

駅舎内です。西を望む。
左側には窓口があったと思われますが、撤去されて跡地は事務室or倉庫になっていると思われます。
 
駅員配置………なし(1983年以降は無人駅)。
自動改札機……なし(無人駅なのでそのまま列車に乗車して下さい)。
ICカード………利用不可(エリア外。もしICエリア内から乗り越しの場合は全区間現金精算になります)。
出札窓口………なし(昔は左側の事務室or倉庫の場所にありました)。
自動券売機……なし(車内で整理券を取り、下車駅で支払います)。
自動精算機……なし(車内精算です。乗り越しの場合は事前に運転士へ申し出て下さい)。
トイレ…………あり(駅舎の北側に男女共用の設備あり。多機能トイレなし)。
売店……………なし(駅前北側の旧国道182号沿いに商店がありますが、営業しているかどうかは不明)。  
コンビニ………なし(1km圏内に店舗はありません)。
 
無人駅ですが、改札ラッチが残されています。味があっていい景色ですが、車いすが通れなくなっています。
改札口の先は下り2番のりばで、段差なく移動可能です。
1番のりばに出て左へ曲がり、構内踏切を渡ると1番のりばです。構内踏切前後はスロープになっていて、段差がありませんが、スロープの傾斜は急で、手すりがありません。
また、私の訪問時、駅舎の天井ではツバメが巣を作っていました。
 
 

2番のりばより改札口を望む。東を向いて撮影。
改札ラッチは今も残されています。
左のベンチ上には岡山地区独特の書体が特徴的な駅名標があります。
 
 

上り1番のりばに設置の建植式駅名標です。非電照式ですが、反射板が使用されています。
JR西日本の標準デザインで、下部はJR西日本のコーポレートカラーである青色です。
尚、芸備線には紫色のラインカラーが導入されていますが、駅名標には反映されていません。今後の情勢が不安定だから色を変更する経費を出せないのでしょうか？
ちなみに岡山地区の芸備線に駅ナンバリングは導入されていません。
 
 

駅構造……地平駅(概ね南北方向)。
配線………相対式ホーム2面2線(交換可能駅。ホームは千鳥配置)。
 
左手前のホーム(左)が2番のりばで下り備後落合・広島方面、右奥(西)のホームが1番のりばで上り備中神代・新見方面です。

駅舎側が2番のりばです。
2番のりばの広島方に面して駅舎があり、その先のホーム端に構内踏切があります。そのさらに先の右側に2番のりばがあります。
 
ホーム有効長……3両分。
ホームドア………なし。
ホーム幅…………全体的にやや狭いです。
上屋(屋根)………なし。駅舎(2番)または待合室(1番)の庇で雨をしのげます。雨天時の乗降は要注意。 
ホーム上設備……ベンチ(2番のりば)、待合室(1番のりば。内部にベンチあり)。
 
写真は1番のりばより広島方を望む。
 
 

こちらは構内踏切より備中神代方を望む。
右前方が2番のりばで、左後方が1番のりばです。
非電化区間なので架線や架線柱が無く、スッキリとした景色です。
 
 

 

2番のりばより1番のりば及び広島方を望む。
ホーム端に構内踏切があり、その右前方は1番のりばです。
また、構内踏切の左には貨物側線跡があり、その左には貨物ホーム跡があります。現在、この側線は保線用で使用されていると思われます。
 
 

1番のりばより広島方を望む。後方に構内踏切があり、左後方に2番のりばと駅舎があります。
こちらの1番のりばには待合室が設置されています(空調なし)。
また、ホームの広島方の端近く(奥)には後述のサトザクラ(御衣黄桜)の木があります。
 
 

 

こちらは1番のりばより備中神代方を望む。
手前の広島方ホーム端付近は現在使用されておらず、草木が線路際まで迫っています。
線路際まで伸びてきているのがサトザクラ(御衣黄桜)の木です。
また、ホーム端の先には構内踏切があり、渡った先に2番のりばと駅舎があります。
 
 

こちらが1番のりばにある御衣黄桜(ギョイコウザクラ)の木です。広島方を望む。
一見、花が咲いていないように見えますが、実は御衣黄桜は緑色の花を咲かせるのが特徴で、私の訪問時は見事に花を咲かせていました。
この花を見に遠方から来る人も多いようですが、そのほぼ全てが車のようです。芸備線は本数が少なすぎて、列車での訪問は現実的ではありませんね…。
御衣黄桜はサトザクラの一種で、中国地方には2～3本しかないようですが(桜の木にある案内板を参照)、2本か3本かは分かるだろう…と思ってしまいましたｗ
　
　

 

1番のりばより2番のりば及び広島方を望む。
ホーム端に構内踏切があり、その右前方は2番のりばです。
2番のりば側には貨物側線跡があり、構内踏切前で行き止まりになっています。

また、2番のりばに面して駅舎があります。

 

 

2番のりばより備中神代方を望む。
ホーム端の一部分は嵩上げされていません。
この先、すぐに神代川を渡り、その神代川が形成した谷に広がる山あいの農村風景の中を、国道182号や中国自動車道と並走する形で北上します。やがて右へカーブして谷が狭くなると沿線に民家が増加し、市岡駅へと至ります。
 
 

1番のりばより広島方を望む。
ホーム端の左で保線用側線が下り線に合流し、その先で上下線が合流します。矢神駅は下り線(2番のりば)が直線で、上り線(1番のりば)が分岐・合流する構造です。
この先、神代川が形成した谷に広がる山あいの農村風景の中を、国道182号や中国自動車道と並走する形で南下します。途中、左手にある「きらめき広場・哲西」や「道の駅鯉が窪」の裏手を走ります。その後は右へカーブして、田園風景の中を南西へ走ると谷がやや狭くなり、野馳駅(のちえき)へと至ります。芸備線における岡山県内最後の駅で、その次の東城駅から先の駅は全て広島県内にあります。
 
 
あとがき  
下車(乗車)時・・・ありません (自動車で訪問しました)          
 
周辺の多くの駅において交換設備が撤去された中、当駅は2面2線を保っています。東側に古びた木造駅舎がありますが、減築されてコンパクトになっています。まぁ簡易駅舎に改築されたり駅舎そのものが無くなるよりはマシですが…。1番ホームにはサトザクラの木があり、私の訪問時も2組が見物に来ていました。駅前は農村地帯ですが、東側の山沿いには南北方向に集落が形成されています。
  
鉄路のみで  
東京からですと東海道・山陽新幹線で岡山駅まで行き、伯備線特急『やくも』に乗り換えて新見駅で下車します(岡山～新見は普通列車でも可)。そして芸備線の東城行きまたは備後落合行きに乗り継いで当駅下車です。東城まではそこそこ本数があるので(それでも平日で1日6本だけですが)、東城以西の超閑散区間よりは行きやすいです。タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です(最大滞在時間：2023年時点で約3時間半少々)。
一方、大阪からですと新大阪駅から山陽新幹線で岡山駅まで行き、以降は上記のルートで到達できます。東京からより移動距離が少ないものの、芸備線の列車本数が少なすぎるため、日帰りでの滞在時間は東京からと同じ約3時間半少々になってしまいます…。
(飛行機でのアクセスは考慮していません) 
 
食料・飲料 (500m以内)  
コンビニ・・・・・・なし (駅近くに小さな商店がありますが、商店が営業しているかは不明)。   
飲食チェーン店・・・なし (約1.5km南の「道の駅鯉が窪」内にレストランがあります。営業日・営業時間注意)。 
 
東京、大阪とも到達難易度が非常に高いですが、芸備線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は矢神駅でも途中下車してみて下さい！
 
(参考：さいきの駅舎訪問、地理院地図、Google地図、Wikipedia)