名古屋鉄道は1月15日、今年3月16日に実施するダイヤ改正の概要を発表しました。今回はこれについて分析します。

https://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2023/__icsFiles/afieldfile/2024/01/15/24-01-15daiyakaisei(3.16).pdf

 

※記事中の図は、名鉄プレスリリースから引用しています。なお、時刻表については、名鉄の時刻表検索をもとに当局で作成しています。

 

1.早朝・深夜帯の中部空港アクセス増強

(1)平日朝の金山7:11発急行中部国際空港行きが、弥富始発(弥富6:21発)に変更となり、名古屋から中部国際空港への直通列車が1本増えます。弥富~名鉄名古屋間は普通列車として運転し、名鉄名古屋~中部国際空港間は急行として運行されます。

 代わりに、現行ダイヤの弥富6:21発普通河和行きが、金山始発に短縮されます。改正前後の比較表は下記のとおりです。

 

 要は、中部国際空港行きと河和行きの始発駅を入れ替え、名古屋から中部国際空港への直通列車を仕立てた、というわけです。

 

(2)中部国際空港23:05発快速急行一宮行きが増発され、中部国際空港発23時台の運行本数が2本から3本になります。また、名鉄名古屋23:52発特急東岡崎行き最終列車の発車時刻が5分繰り下がり、神宮前駅で中部国際空港23:31発名鉄岐阜行き最終列車から特急東岡崎行き最終列車に乗り換えることができるようになります。

 

 現行ダイヤでは、知立・東岡崎へ到達するには中部国際空港23:13発急行新鵜沼行きに乗る必要がありますが、改正後は23:31発の特急名鉄岐阜行き(最終列車)でも到達できるようになり、便利になります。

 深夜帯の改正前後の時刻表は次の通りです。

<現行(改正前)>

<改正後>

 

 現行ダイヤでは神宮前始発の急行列車ですが、これが中部国際空港始発に延長される形で増発となりました。神宮前で快速急行から急行へ種別変更となります。

 

2.朝夕時間帯の輸送力増強

 朝夕時間帯の一部列車について増車となります。コロナ禍よりも通勤通学需要が回復していることがうかがえます。

 

3.名古屋市営地下鉄との直通列車減便

 名鉄犬山線~名古屋市営地下鉄鶴舞線及び名鉄小牧線~名古屋市営地下鉄上飯田線の直通列車が減便となります。

 中でも犬山線~地下鉄鶴舞線の減便規模は大きく、日中の直通列車は廃止となり、平日の朝夜と土休日の朝のみの運行となります。小牧線~上飯田線については、平日の朝ラッシュ直後及び土休日の夕方に減便が実施される予定です。

 名古屋市営地下鉄も同日にダイヤ改正を実施するのですが、地下鉄鶴舞線の日中の運行本数は毎時8本から毎時6本に減便される予定であり、名古屋市営地下鉄の減便のあおりを受けて名鉄も減便するという印象を受けます。

 

4.名鉄広見線 ワンマン運転化

 名鉄広見線の犬山~新可児間については、平日の特急「ミュースカイ」を除き、全ての列車がワンマン運転となります。また、平日の朝時間帯を除き、名鉄犬山線との直通運転は廃止され、犬山~新可児間で折り返し運行する運行体系となります。

 これに伴い、中部国際空港~名鉄名古屋~犬山~新可児間を直通して走る準急列車については、中部国際空港~新鵜沼or犬山間の運行に変更されます。

 

5.新駅開業及び駅移設

 名鉄常滑線の高横須賀~南加木屋間に、新駅「加木屋中ノ池」駅(愛知県東海市)が開業します。同駅には普通列車のみ停車します。また、知立駅付近連続立体交差化事業の進捗に伴い、名鉄三河線の三河知立駅が900mほど豊田市寄りに移設されます。

 

6.上ゲ駅 急行・快速急行新規停車

 現在は普通列車のみ停車している名鉄河和線の上ゲ駅は、快速急行停車駅となります。ものすごい昇格ぶりですが、残念ながら上ゲ駅の利用者が急増したからというわけではなく、変更理由は別のところにあります。

 

<現行(改正前)>

 

 こちらは、現在の名鉄河和線、名古屋方面の時刻表です。(赤字:特急 紺字:快速急行 水色:急行 内海~富貴、太田川~名鉄名古屋間は一部駅のみ掲載)

 知多半田以南(内海・河和~知多半田間)での快速急行・急行については、上ゲ駅だけ通過し、他の駅には全て停車します。朝ラッシュ時間帯(時刻表左側)をご覧いただくと、そのことがお分かりかと思います。

 また、日中時間帯の急行列車は、河和~知多半田間は「普通」、知多半田で種別を変更して「急行」として走っています。全区間を急行にしてしまうと、上ゲ駅を通過することになってしまうため、上ゲ駅に停車するために知多半田までは普通として走る、というわけです。

 続いて、改正後の時刻をご覧ください。

 

 

 上ゲ駅が快速急行停車駅になったことで、全区間急行や快速急行として走れるようになり、種別変更が減って分かりやすくなっていることをお感じいただけましたでしょうか??

 快速急行停車駅には昇格したものの、改正後も現行とダイヤは大差ありません。ただし、朝時間帯は多少停車列車が増加します。

 

7.名鉄築港線 土曜日減便

 名鉄築港線は、土曜ダイヤと休日ダイヤが別に定められていますが、改正後は「土曜・休日ダイヤ」に一本化されます。これにより、夕方時間帯の土曜運転の普通列車4往復が減便となり、土休日は朝時間帯5本、夕方時間帯3往復のみの運行となります。

 

<まとめ>

(1)中部国際空港アクセスについては、早朝深夜の移動が便利になりました。他の空港アクセス路線でも見られる傾向ですが、空港需要の回復により、早朝深夜を中心とした増発がなされており、名鉄でも実施されることとなりました。

(2)朝夕時間帯に増車して輸送力増強する一面はあったものの、コロナ禍に日中時間帯の列車を大きく減便しましたが、そちらの復便に対する動きはありませんでした。逆に、犬山線や小牧線は減便されることとなり、依然として厳しい現状にあることをうかがわせます。

(3)名鉄のダイヤの特徴が、途中駅での種別変更です。種別変更を行うことで、ある区間は急行として速く走り、ある区間は各駅停車として走るなどして、柔軟なダイヤづくりに一役買っているのですが、乗客にとって分かりづらいものになっている点も否めません。その部分を少しでも改正する動きがあったというのが、今回のダイヤ改正の特徴の一つかと思います。

 

 今後もどのような変化があるのか、引き続き注目です。