賀田は木材の集積・積出港として発展した海辺の美しい町。釣りの愛好家にはよく知られているようですね。 


さて、紀勢本線が開通した1959年の賀田の人口は1831人、1983年には1249人と1959年比の2/3になり、さらに現在は408人と1959年比の22%にまで落ち込んでしまい、また少子化により若年層が少ないようで、昨年度の地元中学校の卒業生は10名程度とのこと。

(尾鷲市の高齢化率は45%と全国平均よりかなり高く、若年層の比率は9%)


地方は車社会なので、鉄道のメインユーザーは高校生と言われる通り、乗車人数の大幅な減少の要因は少子化に尽きると思います。


もちろん車社会の影響も大きいですが、これは何十年も前からのことであり既に織り込まれているので、少子化による高校生など学生の減少が、昨今の鉄道利用者の減少を牽引していると言えるのではないでしょうか?


ちなみに今はこの辺りの各駅停車は2両編成ですが、

  (新鹿駅付近を行く各駅停車)

1980年頃の通学時間の列車は5両編成だったことからもそれがうかがえます。(賀田駅のホームは6両くらい停車出来そうですね。)


また保護者などが送迎したり、並行して地元の尾鷲高校へはすぐ近くまで行く尾鷲市ふれあいバス(コミュニティバス)があるので、そちらに流れていることも考えられます。

   1日5往復ですね。(尾鷲市のHPから)

賀田駅は集落から500mくらい離れた川向かいのやや不便な場所にある上、尾鷲駅から尾鷲高校へは徒歩で10分掛かるのに対し、バスは集落内を走る上、尾鷲高校はバス停(尾鷲市病院前)のすぐ近く。

なお、蛇足ですが、Wikipediaなどでは津波対策のため賀田駅はこの不便な場所に設置されたと書かれており、それも理由の一つなのでしょうが、実際には、南に位置する尾鷲市南輪内センター(旧出張所)がある曽根町との関係でこの場所が選ばれたのではないでしょうか?

このような事例は地方の鉄道でたまに見られます。

それはさておき(カッコよく「閑話休題」と言ってみたいですね(笑))、
JRは1日10往復ある上、運賃は330円(3ヶ月の定期なら高校生は20,400円)なのに対し、
  (尾鷲市HPから)
バスは1日5往復で運賃は500円(定期なら3ヶ月30,000円(他に学期ごとの設定もあり))とやや割高ですが、集落内にいくつかバス停がある上、朝はJRとほぼ同じ時刻に便があり、徒歩を含んだ所要時間を考慮すると
尾鷲高校へはJRより楽な上、速いんです。
(参考)
・JR   賀田駅709 → 尾鷲駅732 徒歩10分  742着
・バス 賀田駅708 →(賀田町内を回って)→   尾鷲市病院前740 徒歩1分 741着

それに、賀田駅までの利便性や安全性を考えると、少しお高くてもバスが優位かも知れませんね。

これは高校生だけでなく、自家用車を持たない方にとっても同様ですね。
 
ちなみに,、コミュニティバスと言ってもハイエースなどではなく、三重交通の立派な中型バスなんです。 

  (尾鷲市のHPから)

また、言わずもがなですが、東紀州の中核病院である尾鷲総合病院へは、目の前に停留所があるバスが断然有利ですね。


こうした事情もありますが、やはり全国的にさらなる人口の減少と都市部への生産年齢層の流出が危惧されており、生産年齢層が減少すると必然的に若年層も減少するので、乗車人数が劇的に増加に転じることは、残念ながらかなり難しいのではないでしょうか。


ところで、昨今バスの運転手不足が問題になっていますが、鉄道の運転士不足も深刻になりつつあるとのこと。


その辺りの事情を考えると、鉄道にせよバスにせよ、公共交通の維持はかなり困難と言えそうです。


なかなか厳しい時代ですね…。



〜#3に続きます