JR東日本長野支社は昨年12月15日、今年3月に実施するダイヤ改正の概要を発表しました。今回はこれについて分析します。

https://www.jreast.co.jp/press/2023/nagano/20231215_na01.pdf

 

※記事中の図は、JR東日本長野支社プレスリリースから引用しています。

 

1.特急「あずさ」増車

 特急「あずさ」2往復が、9両から12両に増車されます。

 夕夜間の時間帯を中心に、12両に増車されます。なお、あずさ46号は南小谷始発ですが、南小谷~松本間は9両で運転し、松本で3両を増結して、12両で新宿へ向かうダイヤとなります。

 

2.特急「信州」時刻変更

 平日を中心に運行されている特急「信州」について、長野行きの時刻が変更されます。また、田沢駅に新たに停車し、篠ノ井駅は通過に変更となります。

 現行ダイヤでは、改正後の特急「信州」とほぼ同時刻で平日運転の臨時快速(塩尻6:57発→松本7:10発→長野8:10着)が運行されていますが、こちらは廃止されます。臨時快速のほうが通勤通学の利用が多い時間帯に走っており、ならばそこに特急を走らせて収益増加を図るのが狙いとみられますが、臨時快速がそのまま有料特急に変化するので、利用者からすれば値上げ感は否めないでしょう。

 ただ、現行の特急「信州」は快速よりも遅いうえに、設定時間帯も中途半端なので、何がしらのテコ入れは必要だったとは思います。

 

3.篠ノ井線 普通列車増発

 塩尻~松本間で、普通列車が上下5本増発されます。

 現行ダイヤで設定されている列車と発車時刻が近しい列車もありますが、運転間隔の調整が図られるものとみられます。

 

4.中央本線・大糸線・小海線 普通列車増発・減便

 小淵沢発の松本方面行き普通列車が1本増発となります。これにより、18時~21時台の普通列車の運転間隔がほぼ毎時1本となります。

 中央本線の小淵沢発下り列車は、現行ダイヤでは普通列車が2時間ほど設定されていない時間帯があるため、その点は是正されます。一方、夜間帯を中心に各線で減便が目立つ結果となりました。

 

5.小海線 最終列車繰り上げ

 小海線小淵沢発の時刻が一部変更となり、20:04発の小諸行きは1時間ほど発車時刻が早まります。また、前述の通り小諸~中込間で夜間帯は1往復減便となります。

 

 

 プレスリリースの内容と現行ダイヤの時刻表をもとに、改正前後の比較表を下図の通り作成してみました。

 ご覧の通り、小海~中込間の最終列車の時刻が1時間ほど繰り上がります。中込~小諸間の最終列車の時刻は繰り上がらないようなので、小淵沢19:02発(改正後)の列車は、中込駅で長時間停車して小諸駅へ向かうと思われます。

 プレスリリースの通り減便すると、中込~小諸間で約2時間ほど列車の設定がないことになります。さすがにこれでは間隔が空きすぎに思えるので、どのように列車間隔を調整しようとしているのか、要チェックです。

 

6.小海線 パターンダイヤ導入

 日中の小海線(小諸~中込間)において、パターンダイヤが導入されます。これにより日中(10~15時台)の発車時刻が統一され、分かりやすくなります。

 小海線の小諸~中込間は、毎時1本設定されているものの、発車時刻が統一されていませんでした。今回のダイヤ改正できっかり1時間間隔となり、非常に分かりやすくなるといえます。併せて、同区間ではすべてのドアから乗降が可能となります。

 

7.中央本線(辰野~塩尻)減便及び運転間隔見直し

 中央本線の旧線区間(辰野~塩尻)間では、日中時間帯に2往復が減便となり、併せて運転間隔の見直しが行われます。

 朝夕は大きな時刻変更はありませんが、日中は3時間間隔での運転となります。通勤通学以外での利用が少ないことがうかがえますが、運転間隔を統一したことはよかったと思います。

 

〇まとめ

 いかがでしたでしょうか。今回のダイヤ改正は、ローカル線では減便基調といえそうです。全般的には、夜遅い時間帯の利用が特に少ないという傾向があると思われ、それに対応したダイヤ改正という感がします。

 一方で、中央本線や篠ノ井線では増発が行われ、小海線ではパターンダイヤを導入するなど、輸送改善の動きもみられる改正となりました。これにより利用がどう増えていくのか、今後の変化にも注目です。