番外 推進軸落下による長期離脱経験あり、このほど解体、「国鉄色」キハ66・67系110番ユニット | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 
 長崎地区で運行されてきましたキハ66・67系気動車が令和3年6月に運行を終了しまして、間もなく3年になろうとしております。
 
 これまでもご紹介しましたように、このキハ66・67系気動車は、元々は長崎地区ではなく筑豊地区におきまして活躍していた気動車でもありましたが、「福北ゆたか線(筑豊線・篠栗線)」の電化に伴いまして長崎地区へとやってまいりました気動車でもありまして、平成13年より同年6月末まで長崎地区におきまして活躍を続けておりました。
 
 この中には、最も多い青地の「SSL塗装」に加えまして、上の画像もありますように、運行当初まとっておりました「国鉄急行色」に戻された車両、そして橙地の「ハウステンボスライナー塗装」の車両が存在しておりまして、この気動車も3色の姿が見られておりました。
 
 そんなキハ66・67系気動車も、画像にあります最新鋭気動車YC1系気動車の導入・運行開始によりまして全ユニットが運用を離脱、熊本市の川尻信号場などに疎開されておりましたが、既に全ユニットが小倉総合車両センターへ廃車回送されておりまして、既に解体された車も見られております。
 
 
 さて、今回ご紹介しますのは、台車に必要な部品の落下に伴いまして長期離脱を余儀なくされておりましたが、それを克服しまして運用に復帰した上に、1番ユニットとともに国鉄急行色に塗り替えられまして活躍しておりました110(10)番ユニットを皆様にご紹介してまいります。
 
 
 この110番ユニットは、他のキハ66・67系気動車のユニットと同様昭和50年に製造されました車でありまして、新製は直方気動車区(現・直方車両センター)でありまして、当初は現在と同様国鉄急行色をまとっておりまして、筑豊線・篠栗線や、日田彦山線などと言った路線におきまして使用されておりまして、高出力車でもある事を生かしておりました。
 
 
 その後、JR化前に「九州近郊色」であります白地に青ラインの塗装に他のユニットとともに塗り替えられまして、引き続き筑豊地区におきまして活躍を続けておりましたが、キハ66・67系気動車の全ユニットでは、当初の出力は440馬力もありまして、高馬力となっていたのが特徴でありましたが、燃費が悪かった事やオーバーヒートも頻発していた事もありまして、エンジンは換装されておりました。したがって、馬力は420馬力に低下しておりましたが、それでも燃費は向上していたようであります。
 
 
 そして平成13年、冒頭ご紹介しましたように他のユニットとともに長崎運輸センター(当時)に転属しまして、ワンマン改造・青地の「SSL塗装」に変更されまして、長崎地区におきまして活躍しておりました。
 
 
 しかし、平成21年に発生しました、キハ66 10の台車にあります「推進軸」の落下事故によりまして以来2年にわたりまして運用を離脱、小倉工場(現・小倉総合車両センター)に留置されておりました。
 
 ちなみに、その「推進軸」とは、車両を動かすために必要な部品の一つでありまして、エンジンから変速機に伝わりました回転力を、車輪のある台車へと伝える部品の事でありまして、過去にはJR北海道のキハ283系気動車が平成23年に発生しました石勝線のトンネル内で起きました火災・脱線事故では推進軸などの部品が落下した事によりまして全焼するなど惨事に至っておりましたが、この110番ユニットでも同様に部品が落下した事によりまして惨事には至らなかったものの、長期間にわたる運用離脱を余儀なくされておりました。
 
 
 そして、2年にわたります留置の末、ついに運用復帰となった訳でありますが、その運用復帰に伴いまして塗装がこれまでの「SSL塗装」から、国鉄急行色に戻されておりました。
 
 尚、この運用復帰に際しましては、台車などの足回りに関しましても更新がなされた事から、それにより車番もキハ66 10から100番プラスしまして、キハ66-110となりました。また、車番表示では「-(ハイフン)」も付けられておりまして、ハイフンなしとしますと印象が変わっていたのではないかとも思います。
 
 (側面表示)
 
 (車内表示)
 
 
 また、相方に関しましても、こちらもハイフン表示がなされておりまして、キハ67-10となっておりまして、こちらも表示が変わっておりました。やはり同じユニット同士でもありますので、このように変わる事もわからなくないでしょうか。
 
 (側面表示)
 
 (車内表示)
 
 
 さらに、平成25年には相方キハ67-10も台車交換を行いまして、キハ67 110に改番しております。したがって、このユニットのみ台車交換が施された車になっていたと言ったもいいかと思います。
 
 (先頭・キハ67-110)

 

 

 塗装変更後は、上の画像にもありますように110番ユニット個別としての姿あれば、最も多い「SSL塗装」との組み合わせ、さらにはその下の画像の12番ユニットとの組み合わせによる運用も存在しておりました。そして、上の画像1・2にもありましたように、同じく「国鉄急行色」をまとっております1番ユニットとの組み合わせもありましたが、1番ユニット同士となりますと国鉄急行色4両による運行でもありましたので、ラッキーとも言われていた分、特に興味が出る組み合わせであったと言えましょうか。
 
 (「SSL塗装」との組み合わせ)~平成26年撮影
 
 (平成24年ハウステンボス駅にて撮影)~現在ハウステンボス駅ホームでは撮影禁止です
 
 (12番ユニット「ハウステンボスライナー」との組み合わせ)
 
 
 また、この110番ユニットは特にイベント列車でも使用されておりました。画像は、平成25年・令和2年に唐津線などで運行されておりました団体臨時列車の模様ですが、正直普段入って来る事がない列車でもあるだけに、この列車の姿は貴重ではなかったかと思います。
 
 (平成25年撮影、リバイバル「九十九島」時)
 
 (令和2年撮影、「国鉄色キハ66・67形で行く筑肥線唐津線ツアー」時)
 
 
 その後、この特異な110番ユニットも、令和3年6月末に他のユニットとともに定期運用を離脱、離脱後は画像のように熊本市の川尻信号場で疎開留置を行っておりまして、両側に3番・1番ユニットから挟む形で留置されておりました。
 
 
 そして、令和5年12月にこの3ユニットで廃車回送が行われまして、このほどこの110番ユニットは解体されました。これによりまして、「国鉄色」2ユニット中1ユニットが姿を消しましたが、さらに最後の「SSL塗装」でもありました3番ユニットも解体、残されました1番ユニットも今後解体が予想されるだけに、今年中にこのキハ66・67系気動車も実物は見られなくなるようであります・・・。
 
 
 今回は、キハ66・67系気動車の2ユニットあった「国鉄急行色」のうちの1ユニットでありました110番ユニットをご紹介しましたが、この間には正直辛い事もありましたが、気分を一新させるべく「国鉄急行色」に戻した上に、定期列車に加えましてイベント列車でも活躍を続けておりましたので、まさに「辛→幸」であったと言ってもいいかと思います。そんなこのユニットも、残念ながら運行する事がなくなりまして、運用を離脱・このほど解体となりましたが、やはり40年以上も活躍して来た事を思えば仕方ない所でもあったのではないかと思います。とにかく、このユニットに対しましてはお疲れ様と言いたいとも思います。