TOMIXのキハ181系で新旧製品に差異があることを、以前に投稿した(→こちら)際に、旧製品の床板をTNカプラー対応の現行製品の床板に置換える場合の、加工アイディアが思い浮かんだと記述していましたので、これを試してみることにしました。

 

現行製品と旧製品とで判り易い相違点は、床板がTNカプラーに対応しているか否かですが、現行製品と旧製品とでは根本的に異なる箇所があり、キサシ180を例に簡単に再説明します。

キサシ180の旧製品を分解した状態です。キサシ180の床板は、奥側が旧製品、手前がTNカプラー対応の現行製品になります。手前の現行製品の床板は、分売パーツ(PU-302)として入手できますので、交換すれば直ぐにBMTNカプラーが取付可能になるように思いますが、簡単には実現できません。先ずは台車の止め方が全く違い、旧製品では床板にネジ止めされていましたが、現行製品では床板の穴を介して座席パーツにネジ止めする構造に変更されています。

 

更に、床板を車体に固定する構造も異なります。

旧製品では、車体の側板内側に突起(凸部)があり、床板の側面に彫り込まれた細長い溝と勘合して固定される構造です。着脱できる座席パーツは、ボディに嵌め込んだ状態で床板を車体に固定することにより、床板と窓ガラスの間に挟まれて固定される構造です。
 

現行製品は、窓ガラスの下部にある突起(凸部)が、座席パーツの側面に設けられた溝に嵌って固定されますので、車体には突起物はありません。また、勘合位置も全く異なっています(旧製品の6箇所に対して、現行製品は8箇所)。

 

 

そこで、キハ181系・旧製品で、アーノルドカプラーをTNカプラーに交換する場合の方法を幾つか考えてみました。

①床板を旧製品(未加工)のままで、アーノルドカプラーをTNカプラーに交換する最も手っ取り早い方法は、単純にアーノルドカプラーを台車マウント用の密自連形TNカプラー(Sカプラー対応・黒 品番0391)に交換すればよいと考え勝ちがですが、落とし穴があります。旧製品のDT40形台車にはアーノルドカプラーL(カプラー自体の柄が長い物)が装着されており、台車マウント用の密自連形TNカプラー(品番0391)を装着しても寸足らずとなり使い物になりません。この場合は、現行製品用のアーノルドカプラーS付のDT40形台車(品番PT-306)に、台車ごとそっくり交換する必要があります。

左側が旧製品のDT40形台車、右側が現行製品のDT40形台車と台車マウント用の密自連形TNカプラー(品番0391)です。旧製品はアーノルドカプラーLでカプラーの柄が長いのですが、現行製品では台車側の柄を長くしてアーノルドカプラーSの柄が短くなっているのが判ります。

密自連形TNカプラー(品番0391)の柄の長さはアーノルドカプラーSに合わせてあり、柄の長いアーノルドカプラーLの代りに装着した場合には、連結部分が奥に入り込んでしまうので実用になりません。

 

 

②旧製品の床下を活用しながらTNカプラー対応にするには、現行製品の床板からBMTNカプラー取付部を切り出して旧製品に切り繋ぐ加工をすることで、BMTNカプラーを装着できます。台車はアーノルドカプラーの保持部を根元から切断しておく必要があります。

キサシ180の床板で、上側/奥側が旧製品用(品番2413に対応)で、下側/手前が現行製品用(品番2434に対応)です。現行製品用床板のBMTNカプラー取付部を、旧製品用床板の端部に切り継ぎますが、旧製品用床板の側面にある細長い溝(ボディ装着時の勘合部)が近くにあり、この溝を埋めて仕舞わないように注意が必要です。

 

 

③床板だけを現行製品に交換することに拘った方法です。

3-1.ボディ内部の床板固定爪を活用できるように、現行製品の床板側面に勘合溝(6ヶ所)を彫ります。加工の難易度は高いのですが、ボディが無加工で済ませられるのが利点です。

3-2.台車をネジ止め出来るように、現行製品の床板か、旧製品の座席パーツを加工する必要があります。台車のアーノルドカプラー保持部を根元から切断することで、床板にBMTNカプラーを装着できます。

 

下側が旧製品用床板、上側が現行製品用床板です。旧製品用床板の側面にある細長い溝を、現行製品用床板に彫って綺麗に再現するのは、かなり難しそうです。

 

 

④床板と座席パーツをそっくり現行製品に交換する方法です。

4-1.ボディ内部の床板固定爪(6ヶ所)を切除します。

4-2.窓ガラスを現行製品に総取り換えすることで、現行製品の床板と座席パーツがボディに固定できるようになります。

4-3.台車の止ネジは、旧製品に使用されている短ネジ(5mm)を長ネジ(7.5mm)に交換が必要です。台車のアーノルドカプラー保持部を根元から切断することで、床板にBMTNカプラーを装着できます。

旧製品のボディです。ボディ側面の床下側にある突起(片側3ヶ所、両側で6ヶ所)を切除すると共に、窓ガラスも旧製品用を現行製品用に交換する必要があります。

 

 

今回、旧製品のキサシ180で、床板だけを現行製品に置換えてみようとしているのは、以下の理由からです。

私の持っているキサシ180は、旧製品の完品(奥側)の他、オークションで入手した旧製品のボディ(窓ガラス付)+座席パーツだけのジャンク品で下回りが一切付いていません。

 

ジャンク品のキサシ180を現役復帰させるべく、不足している下回り用として現行製品用の分売パーツから、床板(PU-302),DT40形台車(従来集電方式のPT-306),台車止めネジ(7.5mm)を以前に購入していました。他にウエイトNo.2が2枚必要なのですが入手できていません。

 

このような理由から、前述した加工方法の③「床板だけを現行製品に交換することに拘った方法」を試してみることにした次第です。

3-1.現行製品の床板側面に細長い溝状の勘合溝(6ヶ所)を彫ります。 

下側の旧製品の床板側面にある細長い溝の寸法は、縦1mm×横6mm×奥行0.6mm位です。溝の位置は、左端から9mm・溝6mm・50mm・溝6mm・50mm・溝6mm・9mmで右端です。

 

床板側面の上下寸法は2.1mmで、上辺から0.6mm・溝1mm・0.5mm位で下辺です。また、床板側面の厚み(奥行)は0.9mmしかなく、溝を0.6mm彫って、0.3mmを壁で残さねばなりません。因みにこの溝に対向するボディ側の突起爪はテーパー形状で、最大寸法が縦0.8mm×横4.2mm×奥行0.5mm位あります。

 

溝を彫るための事前準備をします。

溝の横幅に一致している幅6mmのタミヤ製マスキングテープを、溝の位置に貼り付けました。両サイドはTNカプラー取付用の切り込みの壁位置と一致しています。

 

溝の間隔50mmに合わて、マスキングテープ4本の長さが揃うように纏めて両端をカッターナイフで切断しました。

 

長さ50mmに切ったマスキングテープを、溝間をカバーするように貼付けます。

 

溝の位置に貼ったマスキングテープを剥がして、準備完了です。

 

溝彫りに使用する工具は、先端がφ1mmのヤスリになっている電池式ルーターです。歯科医師が、虫歯を削るようなイメージで彫っていきます。

 

溝彫りをすると切削音が響き渡りますが、既に深夜になっており、家族が就寝中ですので一旦ここで作業を中断することにします。(続く)

 

【関連記事】

TOMIX 新旧パーツ混成のキサシ180に追加加工

TOMIX キサシ180に新旧パーツを混成してみる(2)

・TOMIX キサシ180に新旧パーツを混成してみる(1)

TOMIX キハ181系の意外な新旧差異