西日本鉄道は19日、今年3月16日にダイヤ改正を実施することを発表しました。今回はこれについてみていきます。
https://www.nishitetsu.co.jp/ja/news/news20240119/main/0/link/23_086.pdf
1.新駅開業
ダイヤ改正にあわせ、雑餉隈~春日原間に「桜並木」駅が開業します。なんかおしゃれな名前ですね駅は福岡市博多区に位置し、周辺には住宅街が広がっているようです。なお、普通列車のみ停車し、急行・特急は通過となります。
2.平日日中の特急運転復活
現在、平日日中(10時台~15時台)は特急の運転をとりやめていますが、ダイヤ改正後は特急運転が復活します。本数は特急2本/h、急行4本/h、普通3本/hとなり、コロナ禍以前に戻るので、その点においても利便性向上といえます。
3.平日朝 急行停車駅追加
平日朝の西鉄福岡行き急行列車10本について、高宮・西鉄平尾に新たに停車します。これにより、この10本の急行については、大橋~西鉄福岡間は各駅に停車します。
朝の各駅停車は大橋駅で急行に追い抜かされるダイヤとなっているため、西鉄福岡に早く行きたい人が急行に集中します。そこで、大橋から先は急行も各駅に停車させ、同時に大橋駅での追い抜かしをなくし、西鉄福岡まで普通列車を先行させることで、急行に偏りがちな乗客を各駅停車へ分散させる狙いがあると推測します。
急行や快速の停車駅を増やし、一部区間を各駅停車化して混雑集中を防ぐ施策は、これまでも東急田園都市線や東京メトロ東西線、JR京葉線でも実施されており、これを西鉄でも取り入れる、ということなのでしょう。
4.特急停車駅追加
特急が新たに春日原に停車します。西鉄は特急停車の理由として、「路線バスとの接続など、結節点としての機能を持っている」「春日市、大野城市双方の拠点駅である」ことを挙げています。
春日原駅には、西鉄バス、即ち自社のグループ会社が運行している路線バスが3系統、そして春日市のコミュニティバスが2路線乗り入れており、近隣都市へのアクセスも可能です。
ここで、春日原駅の位置を地図で見てみましょう。
春日原駅は春日市に位置していますが、春日市役所へ約0.7km、大野城市役所へ約0.6kmと、両市の中心部がどちらも徒歩圏内に位置しています。また、駅前にはイオン大野城SCもあり、通勤通学客だけでなく買い物客の利用も期待できます。
さらに、イオン大野城SCは大野城市コミュニティバス「まどか号」も乗り入れており、市内各地へ移動しやすくなっています。
一方、西鉄のライバルとなるJR鹿児島本線も、春日原駅から0.5km離れたところに春日駅があります。しかし、こちらは普通列車しか停車せず、停車本数では西鉄が圧倒しています。そのため、特急も停車させることで、春日市・大野城市の住民の利用を西鉄が一手に握ろうという意図があるとみられます。
5.観光列車 平日の運行形態変更
観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」について、平日は木曜・金曜に2便設定されていますが、改正後は木曜・金曜各1便に減便され、以下の通り変更となります。
<現行> ※木曜・金曜 共通
西鉄福岡駅→花畑駅<乗降不可>→西鉄福岡駅(アーリーランチコース)
西鉄福岡駅→柳川駅<降車のみ可>→大牟田駅(レイトランチコース)
<改正後>
木曜運転 西鉄福岡駅→花畑駅<記念写真撮影など>→西鉄福岡駅
金曜運転 西鉄福岡駅→太宰府駅<78分停車、観光可能>→柳川駅<降車可>→大牟田駅
金曜日は休前日であり、他の平日より観光利用が見込めるため、大宰府や柳川を経由するルートにしたものと思われます。柳川到着も14:06と現行よりも早まるなり、柳川での観光もより楽しめるようになります。
平日は土休日ほど利用が見込めないため、メリハリを利かせた改正といえるのではないでしょうか。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。日中の特急復活により、日中はコロナ禍以前とほぼ同じダイヤとなることが、明るい材料といえそうです。
並行するJR鹿児島本線でも、区間快速の快速運転区間延長はされる予定であるものの、コロナ禍以前よりは運行規模が縮小されたままのため、JRと西鉄で対応が分かれる形となりました。
春日原への特急停車は、福岡市の近隣都市からの利用を一手に取り込むという狙いがあり、朝ラッシュの急行停車駅追加は、一部区間を各駅停車化することで混雑や運転間隔を平準化したいという狙いがうかがえます。まとめれば、福岡市中心部に近い部分をテコ入れしたといえます。
利用が戻りつつあることをうかがわせる西鉄天神大牟田線。今後どのような変化がみられるか注目です。