『脱出ゲーム 香川県からの脱出』に登場する、歴史上の人物ゆかりの場所を巡る旅。
このゲームとはほとんど関係ないのですが、近くまで来たので、築地のお寺にお参りすることにしました。
- 京急に乗って泉岳寺へ(乗った車両は北総鉄道)
- 泉岳寺で赤穂四十七士のお墓に線香を2本ずつ供える
- 泉岳寺・赤穂義士記念館と義士木像館と摩利支天とオッペケペー
- 世界貿易センタービルのない浜松町から芝大門と芝大神宮へ
- 増上寺の三解脱門と本堂とカフェと、東京タワーと麻布台ヒルズ
- 増上寺の黒本尊は、特別な御利益があるという阿弥陀様
- 増上寺・圓光大師堂で法然上人にお願いとご報告
- 築地場外市場は賑わっていた
- 築地本願寺で親鸞聖人に愚痴をこぼす。疲れてたのかな。
- 築地本願寺カフェTsumugiでチキン南蛮
築地('23.9.25)
本日最後の目的地、築地本願寺に着きました。
ここの本堂は閉まるのが早いので(季節問わず午後4時閉館)、開いているうちに来られて良かったです。
数年前に1回か2回来たことはあるのですが、やはりこのアバンギャルドな本堂には目を奪われます。
1934年、伊東忠太が設計した建物で、重要文化財。
伊東忠太といえば、昨日訪れた平賀源内のお墓も、伊東忠太の設計です。
本願寺(西本願寺)の江戸の別院は、1617年(元和3年)、浅草の近くに建てられました。
しかし1657(明暦3年)の明暦の大火(振袖火事)で全焼し、江戸幕府による区画整理のため、元の場所で再建できませんでした。
そのため、佃島の門徒が中心となって、海の埋め立て工事が行なわれ、寺を再建するための土地を築きました。この新たな土地は「築地」と名づけられ、寺は1679年(延宝7年)に再建が叶いました。
このときの本堂は明治時代に入っても健在でしたが、1923年(大正12年)、関東大震災に伴う火災で焼失。
1934年(昭和9年)、伊東忠太の設計による、現在の本堂が完成しました。
伊東は橿原神宮や平安神宮、明治神宮、大雄山最乗寺など、数多くの社寺の設計を手がけましたが、この築地本願寺の本堂はとりわけ個性的です。
伊東は世界各国を回って建築学を研究した建築史家でもあり、また当時の浄土真宗本願寺派法主・大谷光瑞(鏡如)も、仏教のルーツを探るためシルクロードを探検した人物でした。2人の思惑が合致して、インドを中心に、中東や西洋、日本の建築様式も取り入れた建物になったようです。
大きな本堂に機能が集約されている上、古くからの墓所は杉並区の和田堀廟所(京王井の頭線・明大前駅の近く)に移転させたため、本堂の前は広々とした空間になっています。
屋外に建っていた親鸞聖人の像。
『脱出ゲーム 香川県からの脱出』に、親鸞聖人は出てこないのですが、法然上人のセリフの中で悪人正機説に触れています。
また、親鸞聖人が鎌田(今の千葉県市川市行徳のあたり)で自ら彫ったと伝わる親鸞聖人像が、香川県の善通寺(弘法大師空海の生誕地)に建てられた「親鸞堂」に納められており、そのことにも触れています。
親鸞聖人像の近くに、慰霊碑などが並んでいました。
台湾物故者遺骨安置所(第二次世界大戦時に台湾で亡くなった日本人の遺骨を納めていた)。陸上交通殉難者追悼之碑。
佃忠兵衛(佃島初代名主)報恩塔。酒井抱一(江戸時代のいわゆる琳派の代表的な絵師)の墓。九條武子夫人歌碑など。
赤穂浪士(赤穂義士)の間新六の墓もここにありました。
遺族の意向で泉岳寺に埋葬されなかった間新六は、ここ本願寺に眠っているようです。
泉岳寺の「刃」で始まる戒名とは別の、浄土真宗の法名(帰真釋宗貞信士)が刻まれています。
本堂にまつられた、御本尊の阿弥陀如来様と、親鸞聖人、聖徳太子様などに礼拝。
浄土真宗の場合、仏様に何かを祈願することはなく、阿弥陀様の発願のおかげで極楽へ行けることに感謝する意味での祈りなので、今までの寺社と違って、『香川県からの脱出』のヒット祈願は行なわず。
しかもこのゲームに親鸞聖人は登場しないので、「ゲームに登場させたことのご報告」もしていません。
ではなぜここに来たのかといいますと。
どうも最近、旅行から帰ると何か悪いことが起こるケースが多いのですが、旅の途中に浄土真宗のお寺にお参りしたときには、特に何も起こっていないと気づいたのです。
ですから、ゲームとの関連は薄いですが、築地本願寺を旅程に組み込んでみました。
「阿弥陀如来の救いを信じていれば、特に何もしなくても極楽へ行ける」というのが浄土真宗の教え(だったはず……)。浄土真宗のお寺に行かなかったり、神社や他宗派のお寺に参拝したりしてもペナルティはないと思いますし、ましてや阿弥陀様が祟るなんてことは絶対にあり得ないことなのですが、一応念のため。
(※なお、「浄土真宗のお寺にお参りしたときは特に悪いことが起こっていない」は、後に全くの記憶違いだったことが判明。2022年6月の旅行では、愛知県一宮市の真清田神社で水野裕子さんの活躍を祈ってから間もなく、水野さんが椎間板ヘルニアで入院されましたが、このときは一宮市の前に京都で西本願寺に参拝してました。)
(※もっとも、今回の旅から帰った後、別段悪いことは起こりませんでした)
2日間歩き回って疲れていたこともあり、本堂の内装に見とれながらも、広い外陣に並んでいた椅子に座ってしばらく休憩。
詳しくはよく覚えていませんが、親鸞聖人の画像(掛軸)に向かって、何か小声で長い時間話しかけていた記憶があります。
浄土真宗には「現世祈祷に頼らない」という思想があるので、ここで自分のゲームについてどうお祈りするか凄く考えまして。
「何とかゲームの認知度が上がるよう、もっと頑張ってプロモーションします。……でも過去の自分のゲームでも著書でもそうでしたけど、これがなかなかうまくいかないんですよねー」と、愚痴モードに入ってしまいました。
「このゲームをより多くの方に知って頂くことで、香川の人々を救済……あ、阿弥陀様による救済とは違う意味で、現世の方ですね。どうにか自力で工夫して……あ、修行とか功徳を積むとかして極楽へ行こうとするっていう意味の“自力”ではなくて、もちろん“他力本願”という言葉の本来の意味は存じ上げておりますので……」
まとまらない、まとまらない。
「阿弥陀如来の本願によって極楽へ行ける」というのは来世の話で、現世についてはまた別に、神道とか他宗派とかでやってる祈祷を組み合わせてもいいような気がするんですけどね。
でも浄土真宗では、「神仏に祈祷をしたところで現世利益が得られるわけではない」という考えのようです。どこよりも現実的な考えを持つ宗派なのかもしれません。
親鸞さんや、その師である法然さんが生きた時代は、治承・寿永の乱(いわゆる源平合戦)を中心とする戦乱の世で、また自然災害や疫病もたびたび発生し、庶民がたいへん苦しんでいた時代だったようです。
また、お釈迦様の入滅から2000年以上経ち、その正しい教えが失われる「末法」の世に入ったと考えられていました。
ですから、「戦争、疫病、災害は、神仏頼みでは防げない」という実感があったのかもしれません。
私も過去に何度か自分のことを「パワースポットクラッシャー」って書きましたけど、パワースポットと呼ばれている場所を何ヶ所も訪れてお参りしているのに、なかなか運気が上がりません。
特に恋愛運にはさっぱり恵まれず、仕事運もあまりよろしくない。
だいいち、バブル崩壊で就職活動の様相が一変するなんて、一個人が防げるような話じゃない。1970・80年代生まれは、世代まとめて運が悪い。
ゲーム制作にしても、私より十年上の世代か、二十年下の世代なら、個人開発で利益を得るのも可能だったでしょうが、私の若い頃は、ワンマン経営の小企業が大きくなって、ベンチャー企業と大企業の悪い所が両方含まれているような会社に入って、大きな作品の一部分だけを担当するしかない時代。
最近も、使ってた広告媒体の会社など数社が、いきなりの方針転換でシッチャカメッチャカになって使いづらくなる事態に陥りました。こんなの事前に想定しようがないです。
……ここまで細かくはないですが、これに近いような愚痴を、親鸞聖人の画像の前で、ぶつぶつつぶやいていたような気がします。
こういうような、個人の努力ではいかんともしがたいところを、良い方向に持っていってほしくて、神仏へのお祈りに頼ることになるのです。
人間って(僧侶も含めて)みんな「凡夫」だから、そうなっちゃうのも仕方ないよね、でもそういう人でも阿弥陀様は極楽に連れていってくださいますよ、というのが親鸞聖人の教えですよね、多分。(←私がいろいろ間違って思い込んでるような気もしますが)
※『脱出ゲーム 香川県からの脱出』のヒット祈願で、ゲームの登場人物ゆかりの地を巡る旅は、以前にも何度か行なっています。よろしければこちらも御覧下さい。
大津・建部大社と堺・大鳥大社(日本武尊)、神戸・須磨寺(尾崎放哉) 岡山・吉備津神社と吉備津彦神社(桃太郎) 安倍晴明神社と、あべのハルカス、道頓堀、特急ひのとり
池上駅 池上本門寺(日蓮) 矢口渡駅、蒲田の屋上観覧車 東急多摩川線・武蔵新田駅から新田神社(1)(新田義興、平賀源内) 新田神社(2) 新田神社(3)
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※これまでの「日本縦断紀行」はこちら。
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