JR九州は昨年12月15日、今年3月に実施するダイヤ改正の概要を発表しました。今回はこれについて分析します。

 

https://www.jrkyushu.co.jp/railway/dai2024/pdf/press_kyushu24.pdf

https://www.jrkyushu.co.jp/railway/dai2024/pdf/press_kagoshima24.pdf

https://www.jrkyushu.co.jp/railway/dai2024/pdf/press_miyazaki24.pdf

 

※記事中の図は、上記プレスリリースから引用しています。

 

〇新幹線・特急列車関係

1.九州新幹線 みずほ603号 停車駅追加

 新大阪7:23発鹿児島中央行き「みずほ603号」が、新たに久留米駅に停車します。関西や福岡市から久留米、久留米から熊本、鹿児島へのアクセスが向上します。

 現行ダイヤでは、久留米駅に停車する熊本方面の列車の運転間隔が10時台だけ50分ほど空いており、これを是正するための措置と思われます。

 

2.鹿児島本線・日豊本線 特急「ソニック」(博多~小倉~大分・佐伯)

(1)博多行き特急「ソニック」56・58・60号が、新たに福間駅に停車します。これにより、小倉駅から博多方面へ向かう特急「ソニック」は、17時以降毎時1本程度福間駅に停車します。

 「ソニック」の福間駅新規停車は、昨年7月のダイヤ修正時にも行われましたが、連続しての実施となりました。北九州エリアから福間へ帰る利用が一定数あると見込んでの措置だと考えられます。

 

(2)特急「ソニック」60号の運転時刻が最大13分繰り上がります。これにより、博多駅で福岡市営地下鉄空港線の最終列車(JR筑肥線直通 筑前前原行き)への乗換時間を確保します。

 現行ダイヤでは、ソニック60号の博多着が23:58で、筑前前原行き最終列車は博多0:07発なので、乗換時間は9分となっており、乗換は可能なように思います。ただ、このソニック60号は、(1)で挙げた通り新たに福間駅に停車するため、そうなると博多駅での乗り換え時間が厳しくなってしまうということで、運転時刻を繰り上げたものとみられます。

 

3.西九州新幹線・佐世保線特急 「かもめ」「リレーかもめ」(博多~長崎)「みどり」(博多~佐世保)

(1)午前中に博多行き特急「リレーかもめ」14号が増発されます。

 現行は「かもめ」14号から、「みどり(リレーかもめ)」14号に乗り継ぐダイヤになっていますが、佐世保から博多へ向かう乗客と、長崎から博多に向かう乗客が混在する状況となっています。リレーかもめを増発することでこれを分離し、混雑緩和が図られます。

 

(2)佐賀7:29発博多行き特急「かささぎ204号」は廃止となります。前後10分に別の特急が設定されていること、佐賀から博多への短距離列車で利用者が集まらなかったことが要因とみられます。

 代替として、後続の特急「かささぎ104号」(佐賀7:37発)は、6両から8両に増車となります。

4.特急「ひゅうが」(延岡~宮崎~宮崎空港)

 特急「ひゅうが」が1往復(朝の宮崎方面行と、深夜帯の延岡行き最終列車)減便となります。これにより、宮崎から延岡へ向かう最終列車は26分繰り上がり、宮崎22:53発普通延岡行きとなります。

5.観光用特急列車(D&S列車)の減便・停車駅変更

(1)三角線の観光特急「A列車で行こう」は、3往復から2往復へ減便となります。なお、三角行き2本については、網田駅で25~30分長時間停車するダイヤとし、網田駅での立ち寄りがしやすくなります。

 

(2)日南線の観光特急「海幸山幸」は、2往復から1往復へ減便となります。また、南郷行き下り列車については、飫肥駅に13分停車します。減便は残念ですが、飫肥駅でちょっとした催しが行われると思われ、その点は楽しみです。

 

(3)指宿枕崎線の観光特急「指宿のたまて箱」3往復については、全列車が喜入駅に停車していますが、改正後は全列車が通過となります。

 

〇一般列車

1.鹿児島本線

(1)区間快速の快速運転区間延長 

 日中に毎時2本運行されている区間快速のうち1本について、折尾~福間間、鳥栖~羽犬塚間でも快速運転を実施します。これにより、快速列車の速達性が向上します。

 向上するというよりは、少しだけ元に戻る、というほうが正しいかもしれません。コロナ禍以前は日中でも小倉~久留米・羽犬塚方面全区間で快速運転をする列車(快速)が走っていたことを考えると、元には戻っていないため、厳しい現状がうかがえます。

 なお、これに伴い、海老津発着の普通列車が折尾発着に延長され、区間快速通過駅の停車本数を確保するとともに、折尾駅で筑豊本線(福北ゆたか線)直通列車と乗継が可能になり、小倉~赤間方面の乗り継ぎが便利になります。

(2)臨時列車の定期化及び運転区間延長

 現在、平日に毎日運転されている臨時列車2本(福間7:08発快速南福岡行き、南福岡8:05発普通吉塚行き)が、平日運転の定期列車となります。また、南福岡8:05発普通列車は、福間行きに延長されます。

(3)夕方時間帯 快速・区間快速の行先・運行区間変更

 以下の通り変更となります。快速列車の運行区間を長くし、区間快速の運行区間を短縮することで、遠近分離を図るものとみられます。

(4)最終列車変更

 門司港21:20発(博多23:16発)普通荒木行きが、久留米行きに短縮されます。

 これにより、久留米~荒木間の最終列車が30分繰り上がります。繰り上げ幅は大きいですが、繰り上がるのは1区間のみなので、影響は大きくないとみての変更と思われます。

 

2.篠栗線(福北ゆたか線)

 長者原8:04発普通博多行きが増発されます。これにより、通勤時間帯の混雑緩和が図られるとともに、香椎線の宇美発西戸崎行き(長者原7:01着)から乗り継ぐことも可能となり、利便性が向上します。

 

3.日豊本線

(1)小倉エリア 最終列車繰り上げ

 中津22:38発普通小倉行き最終列車の運行時刻が5分ほど繰り上がります。特急ソニック60号の運行時刻繰り上げ(中津22:36発→22:24発に変更)に伴う変更と思われます。これにより、小倉23:38発普通門司港行きに新たに乗り継ぐことができるようになります。

(2)宮崎エリア 列車増発・増車

 朝時間帯に高鍋~佐土原間で1往復増発されます。また、夕時間帯の普通列車1本が2両から4両となります。

  

4.豊肥本線

 肥後大津18:12発普通熊本行きの発車時刻が、肥後大津18:05発に変更となります。あわせて、熊本までの所要時間が5分短縮され、熊本18:44発普通八代行きへ乗り換えられるようになります。

5.長崎本線

 昨年12月20日から臨時列車として設定されている、江北22:03発普通肥前鹿島行きが定期列車となります。この列車は博多発、武雄温泉発の特急「リレーかもめ」、鳥栖発の普通列車から乗り継ぐことが可能です。

6.日南線

 1往復設定されている快速「日南マリーン号」の設定時間帯が変更され、観光に使いやすい時間帯に設定されます。

7.鹿児島エリア

 鹿児島中央駅の最終列車の発車時刻(鹿児島本線:川内行き 日豊本線:国分行き 指宿枕崎線:五位野行き)が、23:32発から23:35発に変更となります。これにより、新大阪からの「さくら571号」(鹿児島中央23:25着)からの乗換に余裕を持たせる形となります。

<まとめ>

 いかがでしたでしょうか。地道な接続改善が多くみられ、福岡都市圏では快速運転の一部復元など、少しコロナ禍以前に戻るような動きもみられるものの、それでもコロナ禍以前と比べてしまうと運行規模が縮小したままという感は否めません。

 博多駅の朝ラッシュ時間帯の停車本数も、現在臨時列車として設定されている列車の定期化だけで、それ以上の増発はありませんでした。減便した列車の復元は、なかなか難しいことを実感させられます。

 今回の改正により、利用者の動きがどう変わるか、引き続き注目です。